第39回
シンフォニックウインズ定期演奏会
コロナが下火になって、芸術活動も徐々に活況を呈しています。そんな中、「シンフォニックウインズ定期演奏会」に出掛けてきました。吹奏楽のコンサートも久しぶりです。名古屋ではこのシンフォニックウインズと名古屋芸術大学ウインドオーケストラが双璧です。そちらの方は9月のコンサートが12月に延期になっていますが、こちらも楽しみです。
今回のコンサートは、オーケストラのメンバーも160人以上と大所帯で、曲によってメンバーの交代が頻繁にありました。それに伴い、3人の指揮者がプログラムを分けての演奏となっていました。
曲目は、ホルストの作品を除いてフル編成の作品がずらりと並びました。
J.ジルー/翼とともに歩む
A.ゴーブ/メトロボリス
A.リード/交響曲第3番より第2楽章「ボラッツィ」の主題による変奏曲
A.リード/アルメニアン・ダンス パート2
G.ホルスト/前奏曲とスケルツォ「ハマースミス」
天野正道/シネマ・シメリック
M.ラヴェル arr.高 昌帥/「ダフニスとクロエ」第2組曲
最初のジルーの「翼とともに歩む」はオーケストラの全奏で始まります。作り的にはゲームの音楽のような展開で、まるでロールプレイングゲームを楽しんでいるような感覚になる曲です。
2曲目のコープの「メトロポリス」は1929年のドイツのジェシカラング監督の「メトロポリス」を彷仏させる音楽です。「メトロポリス」には手塚治虫のアニメ作品もありますが、それよりも前衛的な作風は前者を連想させます。ストラヴィンスキー風の短い旋律が次から次に登場し展開の早い音楽です。名演と誉高い佐渡シエラの演奏で聴いてみましょう。
今年はリードの生誕100年の記念の年でもあります。そういうこともあってか2曲のリードの作品がフィルアップされています。交響曲第3番の第二楽章はとても静かな曲調の曲です。曲はタイトルを「Variations on the Porazzi Theme of Wagner」といい、モチーフはワーグナーのピアノ曲に《エレジー》という小品があり、どうやらこれがポラッツィの主題のようです。この曲は、妻のコジマに捧げられています。
リードの代表作の1つは「アルメニアンダンス」でしょう。パートツー2のほうはあまり演奏される機会が少ないのですが、こちらのほうもなかなかの佳曲です。吹奏楽コンクールの常連曲でもあります。
後半はホルストの作品から始まります。ホルストの作品は管弦楽曲と言うよりも吹奏楽作品が多く、この曲もその吹奏楽のための作品であまり一般的には知られていないようです。しかし吹奏楽の世界では有名な曲で、こちらもコンクールの課題曲にもなるような作品です。
後半2曲目も吹奏楽の世界ではコンクールによく登場する曲で、こちらも架空のシネマ作品のサウンドトラックのような作品になっています。局長は、第1曲のジルーの作品に構成が似ていて、冒頭はオーケストラの全奏で始まります。展開的には映画のアドベンチャー作品のような構成でワクワク感を持って聴くことができます。
最後はラベルのオーケストラ作品、「ダフニスとクロエ」です。この曲の編曲はいろいろな版がありますが、ここでは大編成用の版が演奏されています。ラベルの作品は、管楽器がカラフルに活躍するのが特色ですが、そういう特性をうまく利用した編曲がなされています。演奏は躍動感があり、ダイナミックスを発揮した素晴らしいリズム感のあるの展開で大いに楽しめました。
アンコールが2曲演奏されました。今日HPで確認するとアンコール曲は下記のように発表されていました。最初の曲は日本初演で、200年ほど前のベートーヴェン時代の作品らしく、吹奏楽の原点とも言うべき軍楽隊の行進曲でした。