世界の女性指揮者ランキング | geezenstacの森

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世界の女性指揮者ランキング

 

 暫く前に、ネットの記事で「世界の女性指揮者ランキング」というものがありました。まあ、世の中男女平等が叫ばれ、気がついてみると世界のオーケストラの女性の進出はすざましいものがあり、超一流のオーケストラは別にして、ほぼ全てのオーケストラで女性の比率は50%ほどに達しているのではないでしょうか。それはアマチュアオーケストラの世界でも同じで、こちらは60-70パーセントに達するオーケストラもあるのではないでしょうか。そんな中で指揮者だけはまだ男性上位の感が否めません。それでも、世界を見渡すと徐々に女性指揮者のウェイトも上がっているように思います。

 

 タイトルの「世界の女性指揮者ランキング」という記事の選定基準は以下のようになっていました。

 

1.格付けの高いオーケストラの音楽監督または常任指揮者に就いている、または経験がある

2.格付けの高いオーケストラの何らかのポジションに就いている

3.格付けの高いオーケストラの指揮を何度も経験している

4.メジャーレーベルで質の良いCDをリリースしている

 

というもので、次のようなランキングでした。

 

第10位 西本智実.

第9位 バーバラ・ハンニガン

第8位 アロンドラ・デ・ラ・パーラ

第7位 ケリー=リン・ウィルソン

第6位 スザンナ・マルッキ

第5位 ジョアン・ファレッタ

第4位 ミルガ・グラジニーテ=ティーラ

第3位 マリン・オールソップ

第2位 カリーナ・カネラキス

第1位 シモーネ・ヤング

 

まあ、10位の西本智実.は現在の日本の状況下ではピカイチでしょう。ただ、CDのリリースが最近はロイヤルフィルとの録音も出てきましたが、ロシアのオーケストラ中心というところがやや引っかかります。

 

 

9位のバーバラ・ハンニガンは元々ソプラノ歌手で、後に指揮も始めました。歌いながら指揮をするという、変わり種指揮者でもあります。ソプラノ歌手であり、指揮者でもあるという二刀流は恐らく彼女が史上初ではないかと思います。2018/2019シーズン、スウェーデンのエーテボリ交響楽団の首席客演指揮者に就任しました。

 

 

8位のアロンドラ・デ・ラ・パーラはメキシコ出身の女性指揮者です。13歳にして指揮者の道を志し、23歳の時、世界20カ国以上の若い奏者で「フィルハーモニック・オーケストラ・オブ・ジ・アメリカス(=南北アメリカ大陸フィルの意味)」をニューヨークで組織。自国メキシコ発のクラシック音楽の発掘と演奏・紹介に力を入れ、デビューCDは、米国ビルボードのクラシック音楽部門でトップ10入り。メキシコでは発売後2ヶ月で「プラチナ・ディスク」を獲得。2017年、クイーンズランド交響楽団にオーストラリア初の女性音楽監督として就任しました。

 

 

7位のケリー=リン・ウィルソンはジュリアード音楽院までフルートを専攻していましたが、指揮にも興味を持ち、フルートと指揮の両方で修士号まで取得しましたが、卒業後は指揮に専念します。2013年から2015年まで、スロベニアフィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任。その後はオペラを中心に活躍し、バイエルン国立歌劇場、ロイヤルオペラハウス、コヴェントガーデン、ウィーン国立歌劇場などの主要なオペラ座で活躍しています。

 

 

6位のスザンナ・マルッキはフィンランドの出身で、初めにノルウェーのスタヴァンゲル交響楽団の芸術監督に就任。2007年7月、BBCプロムズを指揮。2016年、女性として初めて、ロサンゼルス・フィルの首席客演指揮者に就任。着々とキャリアを積んできました。2016年、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者就任。ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者は2023年までの延長が発表されました。

 

 

5位のジョアン・ファレッタはジュリアード音楽院卒のアメリカ人で、1991年、ヴァージニア交響楽団の音楽監督に就任。1999年、バッファロー・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を就任。現在、二つのオーケストラの音楽監督を兼任しています。2011年、バッファロー・フィルハーモニー管弦楽団では芸術監督に就任。契約も2021年まで延長されました。アメリカのみならず、ヨーロッパや日本のオーケストラにも客演しています。

 

 

4位のミルガ・グラジニーテ=ティーラはリトアニア出身の指揮者で、ベルン歌劇場第1楽長、ザルツブルク州立劇場音楽監督、ロサンゼルス・フィルの副指揮者を経て、2016年9月からバーミンガム市交響楽団の音楽監督を務める注目の指揮者です。2019年2月に、ドイツ・グラモフォンと長期専属契約を結んだ最初の女性指揮者です。

 ただ、現在妊娠していて、先ごろバーミンガム市交響楽団を退任しました。

 

3位と1位はもう紹介するほどでもない女性指揮者の大御所ですな。2位のカリーナ・カネラキスは2016年ショルティ指揮者コンクール優勝。その後、世界の主要なオーケストラに招かれ、活躍しています。現在、オランダ放送フィルハーモニックの首席指揮者およびベルリン放送交響楽団の首席客演指揮者を務めています。そして、2020年にはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者への就任しました。

 

 

 さて、ランキングはされていませんが、イタリア人のベアトリーチェ・ヴェネツィも注目株です。今年、名古屋フィルにも登場が予定されていた指揮者でした。1990年に生まれ、2015年ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で指揮を学び首席で卒業しています。2017年よりイタリア/プッチーニ音楽祭首席客演指揮者、2016年よりエレバン/アルメニア国立交響楽団副指揮者及びナポリ/オーケストラ・スカルラッティ・ヤング首席指揮者を務めています。

 

 最近ではブザンソンで優勝した「沖澤のどか」もいますし、先輩格では松尾葉子、三ツ橋敬子もいます。ただ、世界を舞台に活躍しないと埋もれてしまいそうな気がします。頑張れ、女性指揮者たち!!