名古屋シュピールシンフォニカー 第12回定期演奏会 | geezenstacの森

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名古屋シュピールシンフォニカー

第12回定期演奏会

 

曲目:
芥川也寸志: 交響管弦楽のための音楽  
ストラヴィンスキー: 組曲「火の鳥」(1919年版)  
ベートーヴェン: 交響曲第5番「運命」 

アンコール

ヨハン・シュトラウス: ポルカ「雷鳴と電光」

 

指揮:井﨑正浩

演奏:名古屋シュピールシンフォニカー

日時: 2021年9月12日(日) 開演: 13時45分 (開場: 13時) 
会場:愛知県芸術劇場コンサートホール

 

 

 12日の日曜日は午前中から栄に出かけ、まずはの日のコンサートのチケットをゲットします。このオーケストラのチケットは当日の昼12時から会場入り口で配布という方法をとっていました。対コロナ対策で、愛知県も9月30日まで緊急事態宣言が延長されましたから、チケットを配って中止は痛いものがあります。事実この17日に予定されていたコンサートは中止になってしまっています。

 

 まずは、朝起きたらオーケストラのホームページを確認です。そして、コンサートが開催されることを確認して、栄に向かいます。5分前に会場入り口に到着するとすでにに入場券の配布が始まっていました。上限は50%ですから、800枚ほどでしょうか。でも、このコンサートは積極的に告知はされていませんでしたから並んではいませんでした。

 

 

 入り口横にはテーブルと筆記具が用意してあり、即記入です。開場は午後1時ですからちょいと時間があります。その間に8Fの美術館ギャラリーを訪れています。その記事はまた後日アップします。

 

 当日の指揮は井﨑正浩氏でした。この指揮者の演奏を聴くのは初めてですが、その体型からは想像できないようなキビキビとした棒さばきで思わず見とれてしまいました。冒頭を飾るのは芥川也寸志の「交響管弦楽のための音楽」も初めて接する作品です。1950年の作品ですが、どことなくミニマル音楽の雰囲気を持った作品で伊福部昭を連想させます。NHKの委嘱作品で氏の出世作となったものです。キビキビとした演奏で10分弱の曲ですが、もっと演奏されてもいい作品です。こんな曲です。

 

 

 前半の2曲目はストラヴィンスキーの「火の鳥」組曲1919年版です。組曲としては一番まとまりのいい版ですね。この日の演奏ではコントラバスが8挺も並んでいて冒頭の低弦によるユニゾンはさすがに聞きごたえがありました。個人的には、今月デュトワ/サイトウキネンの名演を聞いていてそれがまだひひに残っているのでやや分の悪い選曲でした。オーケストラは必死に指揮者の棒に食らいついていますが、ソロ楽器の活躍が多い作品ですから、特に金管のホルンの不安定さが目立ってしまいました。サイトウキネンのコンサートではラストに演奏されましたが、ここでは前半で演奏されて却って良かったでしょう。

 

 後半はベートーヴェンの交響曲第5番でした。後半も弦の編成はそのままでコントラバス8本です。一応弦は対向配置で、5-5-5-4-4という重厚なスタイルです。今年2回目の鑑賞で、正直言ってあまり期待していませんでした。ところがこれが大きく裏切られました。

 

 第一楽章の冒頭の休符は貯めてからの突撃体制で始まりました。この曲は良く練習を重ねたのか、一糸乱れぬ出だしで、しかも早いテンポで畳み掛けていきます。この出だしでもう引き込まれました。あとは一気呵成に音楽が突き進んでいきます。指揮者は暗譜で、体全体を使ってオーケストラを鼓舞していきます。主題のリピートは初めとはやや違う響かせ方で単なる繰り返しとは違います。そこここに仕掛けがあり、フレーズの終わりをやや持ち上げるような音作りで聴くものを飽きさせません。テンポもけっこう伸び縮みがあるのですが、全体がキビキビしているのでよく耳をそばだてていないと聴き過ごしてしまいます。そんなことで、指揮者の一挙手一投足に目を奪われている間に第一楽章は終わってしまいました。

 

 第2楽章のアンダンテ・コン・モートも巨大な音楽づくりがなされていて、ある意味第一楽章より聞き応えがありました。ここでもテンポは早めで、対向配置をうまく利用した響きで次は何を仕掛けてくるのかという興味を持ちながらオーケストラの響きに酔いしれてました。こういうワクワクゾクゾクする演奏に出会ったのは久しぶりの感覚です。

 

 第三楽章はチェロとコントラバスが大活躍しますが、今回はこの分厚い低弦の編成が功を奏して雄大な響きを醸し出していました。響きに良いしけるというのはこういうことを言うのでしょうか。続けて演奏される第四楽章では羽目を外したようにこの楽章で初めて登場するピッコロ、コントラファゴット、トロンボーンが大活躍します。特にピッコロは指揮者の指示なんでしょう、突出して大きな音で旋律線の中を自由に駆け巡ります。こんな運命初めてです。こういう運命もありなんですなぁ。

 

 さて、アンコールにはシュトラウス2世のポルカ「雷鳴と電光」が演奏されました。このアンコールピースでは打楽器奏者のメンバーがずらりと舞台に登場し、大太鼓、小太鼓それに中太鼓まで登場し、シンバルは二人それにトライアングルまで加わるという贅沢な響きの「雷鳴と電光」となりました。やはり、アンコールピースはこういう曲の方が気持ちがスッ切れして帰路につくことができますなぁ。

 

 今年1番の楽しい演奏会でした。