4つのメーカーが一同に楽しめる
フランクリンミントのレコード
友人から借りているフランクリンミントのレコードセットは、一枚のレコードが複数のレコード会社の音源を使っているものが多々含まれています。この10枚目のレコードがまさにそうです。曲目は以下の通りです。
曲目/
1.ラヴェル/ボレロ 14:50
ジャン・マルティノン/パリ管弦楽団 1974 EMI
2.シャブリエ/狂詩曲「スペイン」 6:37
トーマス・ビーチャム/ロンドン・フィル 1939 CBS
3.チャイコフスキー/大序曲「1812年」17:08
レオポルド・ストコフスキー/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1969 DECCA
4.
シベリウス/交響詩「フィンランディア」 8:23
ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団 1966 SERAPHIM
このフランクリンミントのレコードはタイトルが「100 Greatest Recordings of all time」というもので、必ずしも最新の録音が収録されているわけではありません。要するに歴史的価値のある録音にスポットが当てられているのです。ですから、解説書にも指揮者の名前こそ上がっていますが、演奏者は明記されていません。本当に変わっているボックス全集です。LP2枚のボックスで1万円で、他人任せの演奏者での演奏で満足するというのは小生の尺度では考えられないことです。まあ、どれも素晴らしい演奏ということははょ羽化できますけどね。
要するにボレロの演奏はマルティノンが一番として収録しています。また、マルティノンはシカゴ響時代にもボレロを録音していますがLPで市販されたことはありませんでした。ここでは、定番のパリ管弦楽団の演奏を採用しています。まあ、妥当といえば妥当なんでしょうなぁ。この演奏のライセンスはィモニのフランスと表記されています。つまりはパテの録音ということなんでしょう。
2曲目に収録されている、シャブリエの狂詩曲「スペイン」がビーチャムというのは意外でした。しかも、1939年録音のモノラルです。この選曲はアメリカでなされているもので、アメリカでは注目された演奏なのでしょう。ちなみにこの時代にはパブリックドメインの音源だったと思いますが、音源はCBSスペシャルプロダクツからのライセンスで収録されています。
B面はストコフスキーの「1812年」です。もちろんデッカの音源です。アメリカでのストコフスキーの人気はやはりかなりのもので、この全集でもチャイコフスキーの5番はストコフスキー、4番はジョージ・セル、6番はフルトヴェングラーのものが収録されています。いかにも演奏重視ということがうかがわれます。
さて、このストコフスキーの「1812年」は一般の演奏とはちょっと違います。版だとして英国近衛グレナディア連隊軍楽隊が参加していますし、終盤にウェールズ・ナショナル・オペラ合唱団のコーラスが挿入されていることです。これによってこの曲が一層華やかに聴こえます。まさにストコフスキー節全開です。アメリカ人はこういうド派手な演奏が好きなのでしょう。
最後はバルビローリのシベリウスです。イギリスの識者によるシベリウスは評価が高いものが多く、古くはアンソニー・コリンズを筆頭に先に登場したビーチャムやコリン・デイヴィス、最近ではサイモン・ラトル、そしてこのバルビローリなどがいます。
面白いのはこの演奏のライセンスがSERAPHIMと表記されています。そして、レコード自体はイギリスで製造されています。一体どういうシステムをとっているんでしょうなぁ。ということで、マトリックス番号も独自のもので類似のものはありません。
レコード時代はEMIとパイと2つのレーベルからシベリウスが出ていました。これはEMIに録音したものでしょうが、なぜ廉価版レーベルのSERAPHIMのライセンスなのかはわかりません。名盤なんでしょうが、日本での評価はイマイチです。でも、さすがアメリカです。他の識者を差し置いて、このバルビローリをチョイスするとはいい選択眼を持っています。これは、アメリカではカラヤンがあまり人気がなかったということなのでしょうか?ハレ管弦楽団もこの当時までは輝いていましたねぇ。