シャルル・デュトワのサイトウ・キネン
曲目 ラヴェル:組曲《マ・メール・ロワ》
I. 眠りの森の美女のパヴァーヌ
II. 一寸法師
III. パゴダの女王レドロネット
IV. 美女と野獣の対話
V. 妖精の園
ドビュッシー:《海》~3つの交響的スケッチ~
I. 海の夜明けから正午まで
II. 波の戯れ
III. 風と海との対話
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ストラヴィンスキー:バレエ組曲《火の鳥》(1919年版)
I. 序奏
II. 火の鳥とその踊り
III. 王女たちのロンド(ホロヴォート)
IV. カスチェイ王の魔の踊り
V. 子守歌
VI. 終曲
演奏 サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮 シャルル・デュトワ
会場 キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
3021/09/03
昨日緊急に記事をアップした手前、無視するわけにもいかず、7時にはパソコンの前に座って視聴を開始しました。本当はテレビとパソコンをつないでオーディオシステムで聞こうと思ったのですが、テレビとつないだパソコンの調子が良くなく、本番前の奏者のインタビューは再生できていたのですが、いざ演奏が始まるとグルグルマークが出て固まってしまいました。
急遽デスクトップのMac Proとバックアップ用のiMacを立ち上げそちらで視聴することにしました。Mac Proは普段ブログを書くために使っていて、音楽を聴くためにはあまりいい環境ではありません。iMacがYouTubeを再生するには一番いい環境です。同じ画面を立ち上げながらもiMacの方がいい音がします。
てなことで、二つのパソコンで同時視聴で鑑賞し始めました。ところが聴き始めると2つのパソコンが音がずれているのに気がつきました。これはいかんということで、最終的にはiMacだけで音出しして聴きました。これはパソコンの性能に起因するんでしょうかねぇ。特に後半の曲ほと瀬音のズレが大きくなったような気がします。
まあ、環境的なことはそれぐらいにして、久しぶりに聴くデュトワの音楽は繊細で緻密でした。冒頭のラヴェルの「マ・メール・ロア」はソロの多い曲ですがスーパースターを揃えたサイトウキネンはいとも簡単に演奏してしまいます。毎年メンバーが替わる七夕オーケストラですが、少しも演奏の質がぶれないのはさすがです。そして、デュトワといえば華麗に指揮棒を操って大きなジェスチャーで音楽を作っていましたが、どうでしょう、このサイトウキネンとの演奏では小澤征爾に敬意を評してか指揮棒なしでの指揮に変わっていました。また、指揮台を使わずさう者と同じ目線で指揮をしていました。この変化にはびっくりです。どうした心境の変化なんでしょうかねぇ。
コロナ禍ということもあり、体型的にはややぽっちゃりとなりました。そして、ここでの「マ・メール・ロア」は以前よりテンポはゆっくりになっていました。じっくりと音楽を聴かせるということなんでしょうか、自分でも音楽をする喜びを楽しんでいるかのようです。
演奏の中で、第1ヴァイオリンの最後のプルトで盲目のヴァィオリニスト「和波孝禧」氏を見つけました。思わずツィートでつぶやいてしまいました(^_^;)。1945年生まれですから御年76歳です。まだまだお元気そうでした。でも、出番はこの一曲だけだったようでメンバーリストも薄い色で名前が記載されています。
多分サイトウ・キネン・フェスに第1回から登場しているのはもうこの和波孝禧さんぐらいではないでしょうか。今年のオケのメンバーで、注目はソロでも大活躍のフルートのセバスチャン・ジャコットとオーボエのフィリップ・トーンドゥルでしょう。サイウトキネンもいい奏者を引っ張ってくるものです。ジャコットはライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団の主席で、ミュンヘン国際音楽コンクール、デンマークのカール・ニールセン国際音楽コンクール、日本の神戸国際フルートコンクールで優勝者です。
トーンドルも2008年 若干18歳でシュトゥットガルト放送交響楽団首席オーボエ奏者に就任している逸材で、2020-2021シーズンよりフィラデルフィア管弦楽団首席オーボエ奏者を務めています。
さて、演奏の方は、ドビュッシーの「海」も色彩感溢れる演奏で、諸外国のオーケストラにも引けを取らない第迫力の演奏と見事なアンサンブルで、刻々と変化する海の表情を巧みに描き出していました。この「海」はコンサートマスターが矢部達哉氏でした。サイトウ・キネンは曲ごとにコンマスが変わるというシステムは今でも変わっていないようです。まあ、それだけ実力者が揃っているということでしょう。
後半のプログラムでは豊嶋泰嗣氏がコンマスを務めていました。
プログラムは小澤征爾氏が考えたもののようですが、で湯永遠の指揮を見越した選曲で実にいいプログラムです。小澤征爾のデビューはフランスでしたし、ヨーロッパでのブログラムはフランスものが多かったように記憶しています。そういう意味では、小澤征爾の原点のプログラムなのではないでしょうか。それをデュトワは10本の指で見事にまとめあげていました。
この演奏、9月5日にも再度ライブ配信されます。是非時間のあることはお聴きください。