サイトウキネンのブラース | geezenstacの森

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サイトウキネンのブラース
曲目/ブラームス
1. 交響曲第1番ハ短調Op.68
2. 交響曲第2番ニ長調Op.73
3. 交響曲第3番ヘ長調値Op.90
4. 交響曲第4番ホ短調Op90
指揮/小沢征爾
演奏/サイトウキネン・オーケストラ

収録 1992/09/11 松本文化会館 長野 1
   1991/09/16 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール ロンドン 2,3
   1989/09/12 アルテ・オパー フランクフルト 

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 我が家のVHSに残っているライブラリーの中にサイトウ・キネンのブラームスの交響曲全集があります。1番が1992年の松本で開催された第1回サイトウ・キネン・フェスティヴァルの演奏、第2、3番は1991年のワールド・ツァーに於けるイギリスでの公演の映像をそして、第4番は現在でも市販されているアルテ・オパーで収録されたものです。
 第1番については以前にもブログで紹介していますからここでは割愛します。

 LDで発売された時は交響曲第2、3番の組み合わせで出ていました。LDでは1番はBBC制作、4番はドイツZDFの制作になります。この第2、3番はNHKの制作ということでが発売されていましたが、現在は廃盤になっています。当然同一の内容です。NHKで放送された内容についてのみの感想ということになります。この演奏はワールドツアーの最終年ということでブラームスの2番と3番が演奏されています。2番の演奏に先立ってリハーサルシーンが放送されましたが、そのシーンは興味深いものでした。リハーサルはロンドンから南に下った港町のブライトンで行われました。延べ3日感で18時間のリハーサルです。練習会場は公園の一角にあり一般市民が寛いでいます。

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 映像はその会場に三々五々集まってくるメンバーの様子から始まります。1年に1回集う七夕オーケストラですから近況報告から始まります。リハは3番から始まり、最初小沢征爾は指揮棒を手にしています。近年は演奏会は指揮棒無しで演奏していますね。この全集の中でも一番古い第4番では指揮棒を使った演奏です。それにしてもこのオーケストラのメンバーはたいしたものです。日本を代表するソリスト・クラスの逸材がゴロゴロしています。ヴァイオリンにはN響のコンマスだった徳永二男を始め、潮田益子、安芸晶子、盲目の和波孝禧の姿もあります。ヴィオラには江戸純子、チェロには岩崎恍、堤剛、徳永兼一郎、そして、フルートに工藤重典、このイギリス公演にはクラリネットにはカール・ライスター、オーボエにラインハルト・ホルヒの顔ぶれも。そして、ティンパニーにはもちろんボストン響のエヴァレット・ファースも参加していました。まさに、豪華絢爛の一言です。

 このメンバーですが、得意としているブラームスにも関わらずリハーサルはけんけんがくがくです。チェロのフレーズでの弾き回しや第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンを入れ替えての音だしとかさまざまなチャレンジをしています。このオーケストラにはきちんとしたコンサートマスターはいません。曲毎に変わります。
第1番 潮田益子
第2番 安芸晶子
第3番 徳永二男
第4番 調べきれず・・・

 編成は左から第1、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、コントラバスという構成です。ホールによって木管、金管は若干は位置が違います。このあたりの詳しい事情は分かりませんが、ホールの特性に合わせているのかもしれません。
曲目 CD LD
第1番 1990年8月14-15日、ベルリン、シャウシュピールハウス 1990年8月10日、ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール
第2番・第3番 1991年9月18-20日、オランダ、ナイメヘン、コンサート・ホール 1991年9月16日、ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
第4番 1989年9月15-16日、ベルリン、イエス・キリスト教会 1989年9月12日、フランクフルト、アルテ・オパー

当然、このNHKの放送に当たっては第1番はLDの内容とは違っています。さて、もう一つ、3番の演奏の前にオランダ、ナイメヘンでのCDの録音セッションの模様が収録されているのですが、小澤がクラリネットの音が大きいので押さえる指示を出しているかしょがあります。そこをプロデューサーのウィルヘルム・ヘルヴェックがコンソールの調性卓で調整するからそのままの音量で良いということを言っています。なるほど、録音セッションはプロデューサーや、レコーディング・エンジニアがかなりのウェイトを占めて制作に当たっているのが分かります。演奏会ではやはり指揮者の全裁量が影響するので緊張感はやはりライブの方が上でしょうね。それと、セッションのレコーディングには時間とコストがかかりますから、これからはやはりライブ録音が増えるでしょうね。

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 サイトウキネンにとっては初期のライブ映像ですが、貴重なリハーサルや演奏介護の打ち上げの様子等も収録されていてドキュメントとしても楽しめる映像となっています。今年も、間もなくサイトウキネンフェスティヴァルが開催されます。去年はショスタコーヴィチの5番とベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番がメインのプログラムでしたが、ピアノ協奏曲がぼろぼろでちょっとがっかりしました。今年はベルリオーズの幻想交響曲ということで小澤の十八番の曲なのでやはり期待したい所です。