レコード芸術 1967年12月号
その1
この月はルービンシュタインのショパン/ノクターンが表紙を飾っています。このころのRCAは「DYNAGROOVE」を前面に押し出したアルバムを発売していました。これはレコード針が円錐形であれば有効な録音方式でしたが、この後時代は4チャンネルレコード時代に突入していきます。それに対応したのは楕円針でした。ですから、この「DYNAGROOVE」録音はやがて消えていきます。RCAの凋落の始まりだったのかもしれません。
トップを飾るRCSの新譜紹介は中途半端に白黒で紹介されていて、何を売りたいのか焦点が定まらない時代でした。故ケネディ大統領の追悼演奏会のライブ盤です。指揮はラインスドルフ、オケはボストン響です。こんなレコーディングがあったんですなぁ。もう一枚はケネディ大統領の名著「勇気ある人々」をレコード化した者です。こんなのCDかされたのでしょうかねぇ?
発売元がビクターということで、フィリップスもモノクロの新譜紹介です。こちらはこの当時ブームになっていた45回転のLPの告知です。セル/コンセルトヘボウの「運命」はこれ1曲で発売されました。これで当時2000円です。
カラーで紹介されたページのトップはサヴァリッシュ/ウィーン響の録音セッションの写真です。この年の11月、このコンビで来日しています。この時の録音がNHKのアーカイブにあり、ブルックナーの交響曲第7番が発売されています。
ベームはこの年、バイロイト音楽祭に登場しています。そこで「トリスタンとイゾルデ」を振りましたが、この写真はそのセッションのリハーサルの時のものです。
ウィーン八重奏団は、このころはボスコフスキーは退団し、第1ヴァイオリンはフィーツに代替わりしていました。
この1967年はテレマン没後200年でした。そんなことで、テレマンの「忠実な音楽の師」がDGによって録音されています。テノールはヘフリガー、指揮者はヘルマーザーです。
プレイバックに聞き入る左から録音技師のバラティス、一人置いてウルザーマー、そしてヘフリガーです。
スタンリー・ブラックもレコ芸に登場しています。彼はこの当時、ロイヤル・フィルの指揮者の一人に就任しています。デッカに3枚のアルバムを録音したと記事にあります。確かにディスコグラフィを確認するとロイヤルフィルと「 Russian Fireworks」などを録音しています。
この年、コロムビアは年末称せかようにオーマンディ/フィラデルフィアのベートーヴェンの「第九」を投入しています。このオーマンディの第九はマスタープレス仕様で2,500円で発売されています。
この時はまだCBSは日本コロムビアから発売されていました。名曲をカップリングしたバーンスタインやワルターのアルバムは一枚2,300円、下の方にある小沢と岩城のアルバムは2,000円の扱いです。
そのバーンスタインはすでにヨーロッパに活動拠点を移し、この年からマーラーチクルスが開始され、交響曲第2番「復活」が演奏されました。
颯爽と燕尾服を披露しているのはヴァン・クライバーン。この10月14日のワシントン・こんスチチューション・ホールでの演奏会に際して、飛行機の中にエンゾ服を忘れてしまったらしく、急遽ホワイトハウスに取次背格好の似ているジョンソン大統領の1倍いい燕尾服を借用して演奏会に臨んだそうです。腰回りがダフついているのはそのせいなんですなぁ。