プランタン管弦楽団第19回定期演奏会 | geezenstacの森

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プランタン管弦楽団

第19回定期演奏会

 

曲目/

W.A.モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
R.シューマン:交響曲第4番 ニ短調 op.120 【マーラー版】
P.I.チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 op.64

 

指揮/中村 暢宏

演奏/プランタン管弦楽団

会場/愛知県芸術劇場 コンサートホール

 

 
 久しぶりにコンサートに出かけました。愛知県の緊急事態宣言最終日でしたが、もともと、このコンサートは5月16日に開催されるものだったのです。それが5月12日に3回目の発令になったものですから急遽この日に延長になったものです。この期間、ほぼほぼコンサートは中止になっていますから、本当に久しぶりのコンサートと言えます。
 
 
 愛知県芸術劇場コンサートホールは4階にありますが、入場を待つ行列は1回まで続くスロープを埋め尽くしていました。
 
 
 席は1席づつ間隔を開けてということで、今回は普段は解放されない3階席のステージ後ろまで用意されていました。それだけ、コンサートに飢えていたんでしょうなぁ。プログラムもかなり魅力的な曲が並んでいます。小生もシューマンの交響曲第4番のマーラー編曲版は注目でした。
 
 最初はモーツァルトの「魔笛」序曲でした。曲の調は変ホ長調。しばし ば壮麗さ、荘厳さ、偉大さといった性格 と結び付けられる調ですが、どうもプログラムには統一性はないようです。アマチュアの場合、ステージへの乗り番と降り番の差でテンションが大きく変わってしまうため、できるだけ多くの団員をステージに乗せることも考えなくてはなりませんが、ここではフルオーケストラの規模での演奏となっていました。そのため、軽快さは無くなっていましたが、よく練習されていたのか冒頭のでも揃いなかなかの好演でした。ただ、演奏後の拍手は試演展的なおざなりのもので残念でした。小生なんか最後まで拍手を続けましたが、いい演奏には惜しみない拍手を送るようにしたいものです。
 
 前半の2曲目がシューマンの「交響曲第4番 ニ短調 op.120 【マーラー版】」でした。レコードやCDではマーラー版は親しんでいますが、実演で聴くのは初めてです。大いに期待をしたのですが、この曲の特徴であるアタッカで繋ぐという響が第1楽章と第2楽章では途切れてしまっていたのは残念でした。また、テンポがやや速く、シューマンの持つ仄暗さの中の深遠な響きが感じられなかったところもやや期待はずれでした。
 
 前半のプログラムが終わって休憩が30分というのもちよっとなんだかなぁという気がしました。トイレ休憩ならまだしも、30分あっては会話の時間が長くなるということを主催者は考えなかったのでしょうか。これは緊急事態宣言中のコンサートのあり方とはちょっと違うなぁと感じました。
 
 さて、後半はチャイコフスキーの交響曲第5番という大曲です。この曲はオーケストラ効果を発揮できる曲ということでアマチュアオーケストラはこぞって取り上げます。第1楽章冒頭のファゴットの響きはまさにチャイコフスキーの響きでした。個人的にはコバケンの指揮する演奏でこの曲を体験しましたからその圧倒的な迫力のある演奏で魅了されたものです。
 
 最近は学生オーケストラの技量も上がって音外しや音落ちなど滅多にないものですが、この日の演奏はそういうアラが目立った演奏になってしまいました。名フィル設立当時がそんな演奏で、特に音楽のベースを充実させるホルンがこけた日には音楽が崩壊しかねないほどの混乱が生じました。今回、コロナ禍で分奏の時間も充分取れなかったかもしれませんが音が浮いていたんですなぁ。本来はホルン4本のところ5本投入していました。しかし、これがマイナスに作用したのか響きに纏まりがありません。後半に行くにしたがって響きにまとまりが出てきたのですが時すでに遅しでした。
 
 また、この曲は第3楽章と第4楽章がアタッカのように間髪を入れずに演奏する方が曲としてのまとまりがあるのですが、今回はしっかり間を空けての演奏となっていて終楽章に向けての盛り上がりがちょっと削がれる展開になってしまいました。また、第4楽章の本来なら拍手が起こってもおかしくない全休止は、あまり休止を取らずに進んでいってしまい、全く肩透かしを食ってしまいました。
 
 そんなこともあり、個人的にはちょっと不完全燃焼のコンサート鑑賞になってしまいました。次回は10月10日に指揮者の中村氏の指揮とヴィオラ演奏が披露されるということでこちらは期待したいですなぁ。