レコード芸術 1970年2月号 2 | geezenstacの森

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レコード芸術 1970年2月号

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 レコ芸主催のレコードアカデミー賞は年々その存在価値を高めていて、1970年は第7回を数えていました。そこで、この号ではレコードアカデミー賞の歴代のブロンズ像とレリーフが句を一堂に集めて披露しています。レコードアカデミー大賞は中央のミューズ像、アカデミー各省には左端のモーツァルトのレリーフ像が送られています。そして、第1回はミューズのレリーフ、第2回は指揮者、第3回ヴァイオリニスト、第4回チェリスト、第5回ハーピスト、そして、第6回はバッハのレリーフ像となっていたようです。

 

 この号では、1969年のドイツ・レコード賞の記事も載っています。これはドイツの「フォノフォルム」誌が主催している賞ですでに35年の歴史があります。ただ、大賞などは設けず14部門を平等に扱っているところはさすが、大人の対応だなぁと思ってしまいます。交響曲部門は3点選出されていて、ショルティ/ロンドン響のマーラー第3番、ベーム/ベルリンフィルのモーツァルト交響曲全集、そして、カラヤン/ベルリンフィルのショスタコーヴイチ交響曲第10番となっています。協奏曲はロストロポーヴィチ/カラヤン/ベルリンフィルのドヴォルザーク/チェロ協奏曲、室内楽はバルトーク弦楽四重奏団のバルトーク、バロック部門ではマリナー/ASMFのヘンデルの合奏協奏曲など、このバロックは声楽部門や合唱音楽が独立していて、それぞれ、ヘンデルのイタリア・カンタータ第1番/レッパード/イギリス室内管、メンデルスゾーンの「エリア」/サヴァリッシュ/ゲヴァントハウス管が選出されていますし、特別賞としては「スィッチド・オン・バッハ」やCPEバッハの「ハンブルク交響曲」/コレギウム・アウレウムともにビートルズのアルバムが選ばれています。ドイツでは「アビー・ロード」とジョージ・ハリソンの「電子音楽の世界」がセットで発売になったようで、新しい電子サウンドとイギリス民謡が融合していることが評価されています。

 

 ところでこの1969年のレコードアカデミーの大賞は何だったかご存知ですか。なんとフィッシャーディースカウ他の「ドイツ歌曲集大全集」が受賞しています。そして交響曲部門ではイッセルシュテットのベートーベンの交響曲第8番、5番のカップリングが選ばれています。このアルバムの8番は今でも、イッセルシュテットの代表盤でしょう。また、管弦楽曲部門では、メーターの「ツァラトゥストラはかく語りき」が選出されています。主要部門はデッカ=キングが受賞していることになります。協奏曲部門では、ドイツと同じドヴォルザークのチェロ協奏曲が選ばれています。まずは順当でしょう。また、オペラではベームの「フィデリオ」全曲が選出されています。余談ですが、ベームのモーの交響曲全集は、翌年に急遽創設した特別賞で選出されています。フォノフォルムの後塵を拝したわけです。

 

 さて、この号の特集は「ドイツ・オーストリア指揮界の相剋」でしたが、たいした内容ではありません。安直な座談会形式でこのテーマを論じています。ただ内容的には指揮界と言うよりも、オペラの世界での動向が中心となっています。日本では、コンサート指揮者とぃう側面が強調されますが、ヨーロッパではオペラがあってこそのコンサートだということがわかります。特集で登場する指揮者も、この側面から論じられていて、マゼール、ホルストシュタイン、ドホナーニ、サヴァリッシュ、アバド、ヴァルヴィーゾ、などが登場しています。その中で筆頭は、まだこの時点で健在であったヨーゼフクリップスです。この人、日本での評価はいまひとつでしたが、ヨーロッパでは絶大な人気を誇っていたのでしょう。

 

 1970年2月ということでこの年の大阪万博への期待が高まりつつあり、この年大々的な演目をひっさげて来日するベルリンドイツオペラの特集が組まれています。エクスポは芸術の面でも多大な貢献をしていたことになります。

 

 

 マゼールは1965年からこのオペラの音楽監督をしていました。そんなことでの特集ですが、この時の指揮者陣は他にヨッフム、ハインリッヒ・ホルライザー、ブルーノ・マデルナという布陣でした。上演されたのは下記の演目で、これだけの作品が数ヶ月の間で鑑賞できるのですから話題になったのも無理ありません。

 

 「ローエングリーン」はマゼールとヨッフムで振り、他は、「ファルスタッフ」M、「モーゼとアロン」(マデルナ)、「コシ・ファン・トゥッテ」H、「魔弾の射手」J、「ルル」Hという割り振りでした。また、マゼールは特別演奏会にも登場し、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」も降っています。

 

 

 ここでは3作品だけ取り上げていますが、全ての作品がグラビアであらすじ付きで掲載されています。

 

 まあ、当時はまだクラシックの聴き始めであった小生は中学生で、これらの記事は読み飛ばしていましたから、今回じっくりと目を通しました。オペラに多少なりとも興味を持ち始めたのは5年後くらいからでしょうかねぇ。