ジャン=ルイ・ジュベールのモーツァルト
曲目/モーツァルト
"Haffner" Symphony No. 35 In D Major K.V. 385
A1Allegro Con Spirito
A2Andante
A3Menuetto
A4PrestoSymphony No. 40 In G Minor K.V. 550
B1Allegro Molto
B2Andante
B3Menuetto
B4Allegro Assai
指揮/ジャン=ルイ・ジュベール
演奏/ハイデルベルク室内管弦楽団
録音/1969 ダ・カメラ・スタジオ ハイデルブルク
日本コロムビア MS1028-AX(原盤 Sastruphon)
昨日のレコードの整理で久々に日の目を見た一枚です。このアルバムに記憶のある方はほとんど70歳前後の人ではないでしょうか。いや、知らない人の方が多いでしょう。多分日本で発売されたジャン=ルイ・ジュベールの唯一のレコードです。日本コロムビアからダイヤモンド1000シリーズで発売された一枚ですが、当時は全く知られていない指揮者でした。もちろん小生もこのレコードには最初見向きもしませんでした。
今だからネットで検索してデータを引っ張ることができますが、当時、日本コロムビアはいろいろなレーベルと契約していました。これは「Sastruphon」の原盤ということになっていますが、こんなレーベルがあったことすら知りません。このレーベルはドイツのBayer Music Groupの廉価版レーベルです。当時の日コロムビアはここと契約していたのでしょう。1969年録音と素性は知れていますので、当時は録音されてすぐにリリースされたものがこのダイヤモンド1000シリーズに組み込まれたという珍しい一枚です。ただ、指揮者のジャン=ルイ・ジュベールについてはどこを調べても出てきません。唯一の情報は1970年代にイギリスに「ORYX」というレーベルがあり、そこからこのモーツァルトとハイドンの交響曲第50、53番のレコードが発売されていましたので名前だけは知っていました。
また、演奏しているハイデルベルク室内管弦楽団は当時は米ターンアバウトあたりに結構録音を残していたと記憶していて、個人的には馴染みのあるオーケストラでした。
このアルバムにはモーツァルトの40番ト短調と35番ニ長調<ハフナー>が収録されています。国内版はありませんが、独「Sastruphon」にはモーツァルトの協奏交響曲も録音を残しています。
この時代の1000円盤は製造工程もレギュラー盤と同じで、まだオイルショック前ということもあり、ずっしりと手ごたえのある盤質です。今となっては40年前の録音になりますが、室内管弦楽団の演奏ということで重量感はありません。
テンポはアレグロの割にはちょっと遅めのテンポ設定で、じっくりと音楽を聴かせるという演奏になっています。当時はカラヤンにしろベームにしろもう少し早いテンポでの演奏が主流でしたから、発売時にこのレコードを聴いていたらょっと違和感があったかも知れません。小生がこのレコードを入手したのはずいぶん後になってからですから、このテンポは納得ができます。何となれば1972年にフレンチポップスの女王のシルヴィ・ヴァルタンが「悲しみのシンフォニー」をヒットさせて、そこで演奏されていたテンポが、遅いものでしたから多分70年代以降は遅い店舗の方が主流になったのではないでしょうか。まあ、ピリオド楽器の演奏が増えてくるとまたぞろ早いテンポが主流になるという時代の変遷はありますけどね。
「ハフナー」交響曲も、まずまずの演奏で、可もなし不可もなしといったところです。そういう意味ではナチュラルなポジションで純粋に曲を聴くことができます。ただ、当時としては初心者用のシリーズの中に組み込まれる曲ということでは、珍しいラインナップでした。