名古屋フィルハーモニー交響楽団 第76回市民会館名曲シリーズ | geezenstacの森

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名古屋フィルハーモニー交響楽団

第76回市民会館名曲シリーズ

〈小泉和裕のマイ・フェイヴァリット・ピース〉

 

 

曲目/

▊ グリンカ:歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲
▊ ドビュッシー[ビュッセル編]:小組曲
▊ リスト:交響詩『前奏曲』 S.97
▊ リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 作品34
▊ ビゼー[ギロー編]:劇音楽『アルルの女』第2組曲

 

アンコール

マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナ「間奏曲」

 

小泉音楽監督の「お気に入り」を集めた小品特集は、名フィルが50周年を迎えた2016年の創立記念日に開催し、大好評となった企画です。55周年の今回も、可愛らしい4曲からなる「小組曲」、交響詩の創始者リストの代表作『レ・プレリュード』、舞曲ファランドールで迫力のクライマックスを迎える『アルルの女』など、おなじみの名曲を揃えています。

 

 定期演奏会では無い名フィルを久しぶり聴きました。また名古屋市民会館の大ホールでコンサートを聴くのも久しぶりになります。今年はこの名曲シリーズをシリーズ券で買っていますので、1年間楽しみたいと思います。

 

ミュージック・プラザでのリハーサル

 

 今回のコンサートの曲目はオーケストラの編成に従ってチョイスされたようです。第1曲のグリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲はまぁ小手調べと言うべきものでしょうか、ちょっと小生の好みのテンポよりは遅い演奏ではありました。小生のデファクトスタンダードはショルティの演奏で、疾走感溢れる快速の演奏で親しんでいますが、ここでは試運転的な通常のテンポでの演奏で、各奏者の腕慣らし的な部分もあったような気がします。

 

こちらは市民会館でのゲネプロの様子

 

 2曲目は構成的にちょっと緩やかなテンポのフランスの作品がチョイスされています。小生の席からはちょっと確認しにくかったのですが、コントラバスの弓の握り方が、ドイツ的な握り方とは違ってややセーブされたフランス的な奏法で演奏されてい多様な気がします。そのため、音楽全体が重くならず、会場にはマイルドなフランスの香りのするドビッシーの音楽が溢れました。コントラバスの弓の握り方はこちらを参照ください。

 

 前半の最後は、リストの前奏曲です。実演で聴くのは初めてですが、ここでは重厚な響きを導き出すためにコントラバスは、ドイツの握り方に変えていたような気がします。指揮の小泉氏は、どの曲も前振りを採用する演奏で、スコアはなしできっちりと音楽をまとめていました。レコードなり、CDで聴くと中間でややだれちゃう印象があるのですが、生ではオーケストラのあらゆるパーツが有機的に演奏している様を見ることができるので飽きません。今回の編成は下記のようになっていました。第1ヴァイオリンは7プルトとあり、コントラバスも7本と大きな編成でした。

 

 

 さて、後半は組曲タイプの曲が並びました。最初はリムスキーコルサコフの「スペイン奇想曲」です。この曲は一応4部構成でできていますが通しで演奏されるのが常です。また、バイオリンの独奏が入りますが、これは今回のコンサートマスターの荒井英治氏がなかなか洒落た演奏を披露していました。結構、色彩感のある演奏で、打楽器のリズムも弾むような音色で曲が踊っていました。今回の編成で目についたのはハープが木管とホルンの間に位置していたことです。このためハープの音がオーケストラの響きの中で溶け合って素晴らしい雰囲気を醸し出していました。こういう配置では初めて聴きました。編成の中にハープが含まれるというのも今回の演奏会の特徴でしょう。

 

 また、普通のコンサートでは、曲が終わるたびに指揮者は袖に引っ込みますが、今回は指揮者はそのまま舞台上で演奏者の配置換えを待ってすぐ次の曲の演奏に移りました。

 

 最後は、ビゼーのアルルの女の第二組曲です。普通は古代湖でごまかしてしまう、ファランドールですが、今回はきっちりプロヴァンス太鼓を使用して、きっちりとした演奏が行われました。また、この第2組曲ではフルートとピッコロが盛大に活躍しますが、第3曲のメヌエットなど指揮者は奏者に完全に任せてしまい、フルート、ピッコロ、そしてハープのみの美しい演奏が繰り広げられました。多分、こういう形で組曲を聞いたのは初めてでした。

 

 さて、定期演奏会ならばこれで終了ですが、名曲コンサートとあって、盛大な拍手の後はアンコールが演奏されました。曲はカヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲です。弦とホルンだけの曲ですが、最近のアンコールはこういう静かな曲がブームなんでしょうなぁ。

 

 
 いゃあ、楽しいコンサートでした。