名古屋芸術大学
第23回 大学院修了演奏会
プログラム
佐々木 唯道【ピアノ】
幻想小曲集 op.12より 第5番「夜に」/R.シューマン
ピアノソナタ第4番嬰へ長調 op.30/A.スクリャービン
土屋 宗太【ピアノ】
ピアノソナタ/H.デュティユー
休憩
鈴木 眞良【ヴァイオリン】pf.西村 玲央菜
歌劇《ポーギーとベス》の主題による演奏会用幻想曲 op.19/I.フロロフ
豊田 萌【ピアノ】
4つの小品 op.119/J.ブラームス
2月25日は名古屋芸術大学の「第23回 大学院修了演奏会」へ出かけてきました。コロナ禍ということで、無料のコンサートですが全席座席指定、さらには、接触確認アプリのココアをインストールの上での来場ということで、年配者にはちょっとハードルの高いコンサートでした。そんなこともあってか、来場者はいつものコンサートよりはちょっと少なめでした。アンドロイドスマホでは不具合のあるソフトです。小生はiPhoneを使用しているのでその点はクリアできて良かったです。
それに対して、スクリャービンのピアノソナタ第4番嬰へ長調 op.30は静のフレーズから始まる曲とあって、コントラストをなしています。演奏者はそういう効果を狙ってこのプログラムで臨んだのかもしれません。ただ、動からの静は難しいようで、実際の演奏は下のアシュケナージの演奏よりは、もう少し早いテンポで演奏されていました。
という構成の曲です。
休憩後の歌劇《ポーギーとベス》の主題による演奏会用幻想曲 op.19/I.フロロフが一番楽しめた曲でした。何しろ主題がガーシュインの「ポーギートベス」ですからよく知ったメロディが次から次へと出てきます。まあ、演奏者はごまかしがきかないという点では一番やりにくかったとも言えます。そういう意味では多少ミスタッチはありましたが、音色は冴え渡っていて、ガーシュインの本領とも言えるジャズ的フィーリングも十分発揮されて中々聴き応えのある演奏でした。いっちゃあなんですが、下の演奏よりはテクニックは上でしょう。
最後はブラームスの4つの小品 op.119でした。ブラームスにこんな曲があったのかと思うほど地味な曲で、こんな曲で勝負しようという演奏者の心意気だけは買いました。 こんな地味な演奏効果の目立たないあまり音響的面白さの希薄な音楽に、真摯に向かい合っていました。そういうこともあってか、4つの作品は切れ目なく演奏され、緊張感が途切れないような工夫も見られました。しかし、そういう意欲はちよっと上滑りに終わってしまい、曲が終わっても拍手が起きないという雰囲気も醸し出してしまいました。