The Royal Philharmonic Collection - Grieg
曲目/
ホルベルク組曲 Op.40
1.Prelude-Allegro Vivace 2:48
2. Sarabande 5:03
3.Gavotte-Musette-Allegretto 4:05
4.Air-Andante Religioso 7:03
5.Rigaudon-Allegro Con Brio 4:08
ペール・ギュント組曲第1 Op.46*
1. Morning(#13) 4:24
2. The Death Of Ase(#12) 5:16
3. Anitra's Dance(#16) 3:33
4. In The Hall Of The Mountain King 2:30
ペール・ギュント組曲第.2 Op.55*
1. Ingrid's Lament(#4) 4:56
2. Arabian Dance 4:41
3. Peer Gynt's Home Coming(#2 2:54
4. Solveig's Song(#19) 5:00
指揮/ユーリ・シモノフ、マルク・エルムレル*
演奏/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
録音/1994/09、1993* CTSスタジオ、ロンドン
FIRST MUSIC FRP-1130
このCDは駅売りやホームセンターのワゴンで販売されていたもので、何種類かのパッケージが存在しました。発売元は「KEEP」株式会社ですが、製造元は複数存在していました。その中でもこの「FIRST MUSIC」が制作したものは良心的で、ソニーの当時の最新技術のSBMを使いプレスされていました。
SBM(Super Bit Mapping)はレコーディングやマスタリングされた20bit・24bitの音楽データをCD用の16bitデータにする技術です。データを変換する際に量子化ノイズの周波数を人間の耳の特性に合うカーブに補正して処理し、マスターテープに近い音質にしているというのが謳い文句でした。
確かに、このロイヤルフィルの音源は全て90年代のデジタル録音ですからこういう仕様が可能だったんでしょう。しかし、このロイヤルフィルの音源は様々なルートにライセンス供給され、各社が競争して出したがために値崩れして安売りルートでばら撒かれました。その中でも、価格と音質でハイCPだったのがこのシリーズでしょう。都合50枚発売されています。ただ、音質にはこだわりましたがロイヤル・フィルを前面に出したがために指揮者がないがしろにされるというとんでもない形でリリースされたのが仇になりました。
小生は他にも色々ロイヤルフィルの音源を所有していて、大体のアーティストは掌握していましたので手持ちのものとダブらないようにチョイスして、このCDを購入しています。
この一連のCDが制作された時代のロイヤル・フィルの首席指揮者はユーリ・テルミカーノフでしたが、RCAの専属でしたからそのコンビのCDは発売されませんでした。そんなこともあってロイヤルフィルは自前のRPOレーベルを立ち上げますがスタンダードな曲は販路がなかったため独自ルートでソースを販売するしかなかったんでしょうなぁ。
さて、何度も来日もしているユーリ・シモノフの「ホルベルグ」組曲です。ここではロイヤルフィルのストリングスセクションを率いて安定的な演奏を展開しています。シモノフはボリショイ歌劇場の首席指揮者を長く勤めていたこともあり、オーケストラを歌わせることは得意です。さりとて、あまりドラマチックな表現はとっていません。サラリと流しながら、締めるところは締めるというコントロールを見せています。第1曲のプレリュードから快調なテンポで駆け抜けます。これはレコード時代、ジョージ・ウェルドン/フィルハーモニアの演奏で親しんできましたがその歯切れのいい演奏と酷似しています。録音が新しいだけ、一層歯切れのいいテンポが際立ちます。
後半はマルク・エルムレルの指揮による「ペールギュント組曲」です。第1組曲冒頭の「朝」はややフルートが野暮ったいのが気になりますが、音楽の流れ自体はマルクレルムもオペラ出身の指揮者らしく、水準以上の演奏です。
第4局の「山の魔王の宮殿にて」も手堅くまとめています。これで、オーケストラのレベルがもう少し上なら申し分ないんですけどねぇ。このシリーズはほとんどロンドンのCTSスタジオで収録されていますが、ちょっと管楽器が近接すぎるセッティングになっているところがこの曲ではマイナスになっています。