小酒井不木と江戸川乱歩 ~純国産・探偵小説とSFの誕生~ | geezenstacの森

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小酒井不木と江戸川乱歩

 ~純国産・探偵小説とSFの誕生~

 

 

 鶴舞公園の近所に暮らした小酒井不木と、幼少・青年期を名古屋で過ごした江戸川乱歩。探偵小説やSF小説の発展に貢献した二人は、今から100年近く前の大正14年の、ちょうど1月に初めて対面しました。そんな二人の出会いの季節に鶴舞中央図書館では不木・乱歩の展示を行っています。

 

 小坂井不木については2015年までは全く知りませんでした。たまたま参加したJR東海の「さわやかウォーキング」で蟹江町を訪れ、その歴史民俗資料館に彼の碑がありその存在を知った次第です。

 

 小酒井不木は,日本の推理小説の草分け的存在です。名古屋で生まれ,蟹江町で育った彼は,東京帝国大学を卒業後に,東北帝国大学の教授になった医学博士でもあるのです。彼は血清学の研究のために留学した欧米で,肺結核を患ってしまいます。しかし,病床で推理小説に夢中になり、帰国後も結核のため,教壇にあまり立つこともなく,鶴舞公園の近くに住み執筆活動に励んだのです。外国の推理小説の翻訳をしながら,日本初の本格的推理小説「疑問の黒枠」を1921年(大正10)に発表しています。彼のもとには後の江戸川乱歩や横溝正史をはじめとする,若き推理小説家たちが集まります。不木は乱歩の出世作「二銭銅貨」の推薦文を書き彼を世に送り出しています。しかし,病には勝てず,わずか39歳でこの世を去っています。

 

 この展示では名古屋における二人の関係が地図や資料で明らかにされています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 また、二人のゆかりの作品も展示されていてなかなか興味深い展示になっています。

 

 

 付箋のついた書物は貸し出しにも対応していて、なつかしい乱歩の「少年探偵団」や「パノラマ島奇譚」、そして不木の「探偵小説全集」などが借りられます。

 

 また、ネットの「青空文庫」では、不木の日本人による初めての純SF小説「人工心臓」や「恋愛曲線」、また名古屋が舞台の「名古屋スケッチ」、「紅色破邪顕正」などを読むことができます。