レコード芸術 1970年4月号 1 | geezenstacの森

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レコード芸術 1970年4月号

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 この年は大阪万博が開催された年です。1970年3月15日~9月13日の約半年間、大阪の千里丘で日本初の万国博覧会が開催されました。テーマを「人類の進歩と調和」と題していましたが、実際には各パビリオンは音と光に焦点を合わせた演出をたくさん行なっていました。そんなこともあり、レコ芸でも音楽関係のイベントや来日アーティストの紹介のほかドイツ館と鉄鋼館を取り上げています。この鉄鋼館は恒久施設として現在まで残っており、存在を確認することができます。

 


 オープン前にこのドイツ館と鉄鋼館を訪れた西村弘治氏の記事が掲載されています。ドイツ館は地下にパビリオンが作られ、「音楽の園」というコンセプトでベルリン・ドイツ劇場の建築を担当したフリッツ・ボルネマンの設計で4つの地下展示場が音楽的に誘導されるようになっていました。小生もこのドイツ館は訪れ、ここでは実際のノイマン製カッターマシンのSX68が展示されたいたのを見たています。また、ここで販売されていた記念のレコードを今でも大切に保有しています。

 

 

 このレコードはいわゆるサンプラーみたいなもので、500円で販売していました。曲はA面はコリオラン序曲、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」第一楽章、B面はゲーテの「のみの歌」と当時としては未知の作品103の八重奏曲が収録されていたのが一番印象に残っています。

 

 

 さて、このドイツ館のドームにはセンターに置かれた6個のスピーカーとドーム全体の528個のスピーカーから発せられる音と同時に発せられる光がホールを包みました。この仕組み、作曲家のシュトックハウゼンの提唱で生まれたもので、4チャンネルどころではありませんでした。

 

 まあ、万博の思い出はまた別の機会に記事にすることにし、表紙のレコードはアンセルメの最後のレコーディングとなった「火の鳥」が飾っています。キングの広告のページでも大々的に取り扱われていました。アンセルメが手兵ではないニュー・フィルハーモニア管弦楽団を振っていることでも話題になりました。

 

 

 レコード芸術でも志鳥氏はベタ誉めでトップで推薦をつけ、この録音が決定的な名演奏としてレコード市場に長く残るに違いないとしています。このレコードにはリハーサル風景の特典盤も付いており、当時は幻想とともによく聴いたものです。

 

 この号のRCAの広告のカバーレコードはなんとワイセンベルクのハイドンのピアノソナタという驚きの一枚です。こんなのが来日記念盤として発売されていたんですなぁ。ワイセンベルクはてっきりEMIのアーティストと思っていたのでこれは意外でしたが、全く記憶に残っていません。しかし、調べると古楽の草分けワンダ・ランドフスカにも師事していたことがあったんですなぁ。

 

 

 ウィキには書かれていませんが、彼は早くにパーキンソン病を患って演奏活動を退いたために、華やかな活躍に比して、その活動期間は短かったようです。

 

 

 モーツァルトは大全集を録音させたフィリップスですが、ベートーヴェンはこんな程度で寂しいものでした。

 

 

 サヴァリッシュがニューフィルハーモニアとメンデルスゾーンを録音したのはこの時代だったんですなぁ。

 

 

 さて、こちらはコンサートホールの広告です。当時は年に2回ほどこういう広告をレコ芸に掲載していました。この時の掲載では左上がサージェント/ロンドン響のレスピーギ/ローマの松、噴水、その下がリカルド・オドボノゾフの「魔法のヴァイオリン」と題されたアルバム、右上はのちに所有したワルター・ゲールの「白鳥の湖」と「眠りの森の美女」の組曲、下がニキタ・マガロフのチャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番というラインナップです。

 


 レコード1枚500円のキャンペーンで、おまけに、ムードミュージックのアルバム、「虹の彼方に/愛の調べ」がプレゼントされるという企画でした。ステレオ盤が1350円、モノラルが1050円、それに送料が150円かかるという通販システムでした。ただ、もうこの頃にはコロムビアが1000円盤を発売していましたから、その魅力は徐々に失われつつありました。