オーケストラフェスティバル セントラル愛知交響楽団演奏会 | geezenstacの森

geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

オーケストラフェスティバル

セントラル愛知交響楽団演奏会

 
 
 
 愛知オーケストラフェスティバル、第二回目の公演はセントラル愛知交響楽団の公演でした。事前に発表されていたのはチャイコフスキーとドヴォルザークだけでしたが、プログラムを確認するとさらに、ワーグナーの「ニュルンベルグのマイスタージンガー前奏曲」が追加されていました。さらにアンコールとして、ブラームスのハンガリー舞曲第1番が演奏され、久しぶりに充実したコンサートと出会えました。チケットはすべて完売ということでしたが、小生の隣の席だけは空席のままでした。発熱でもしたのでしょうかねぇ。
 
 
 オーケストラの配置ややや左寄りで、下手奥はハープやチェレスタが並んでいてきちきちのスペースでしたが右側は余裕がありました。もうちょっとバランスを考えてもいいのになあと思ったのは小生だけでしょうか。この日の演奏は後日ネットで配信されるのかステージ上にカメラが3台、客席後方やバルコニースペースにもカメラが並んでいました。弦の配置は第1第2ヴァイオリン、チェロ、ビオラで右奥にコントラバスでした。第1ヴァイオリンは6プルトで6-5-4-3-4という編成です。
 
 
 ビオラが一番近い位置という席で、この内声部を受け持つ楽器の動きを追うことができました。
 
 指揮の古谷誠一(こたにせいいち)氏は、これまでなんども聴いていて、派手ではありませんが安定した指揮をする人です。小生などは1970年代から承知していて、それこそ、山岡重信、手塚幸紀、荒谷俊治氏らと同世代です。ただ、どういうわけかwikiの日本の指揮者には名前が挙がっていません。不思議です。
 
 慣らし運転の「ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲」は1970年代の演奏スタイルをそのまま継続しているような遅めのテンポで、言ってみれば小生のツボにはまった演奏でした。古谷氏はこの日も全てのプログラムを暗譜で指揮をしていて、いやが上にも緊張感が漂い、オーケストラをぐいぐいと引っ張って行きました。
 
 2曲めはクリスマスも近いということで、おなじみの「くるみ割り人形の組曲」が演奏されました。古谷氏は非常にレパートリーの広い人で、オペラからバレエまで幅広く手がけています。そういう手堅さもあり、ツボを得た楽しい演奏になっていました。今回のコンサートはどう見ても、コンサートを待っていた中高年というか熟年世代の来場者が多かったのですが、その中でも少なからずの子供連れの家族の間ショゥ者もいました。多分この曲が一番楽しめたのではないでしょうか。
 
 休憩時間の後、後半のプログラムが始まるまでの間、これも告知はされていませんでしたが、セントラル愛知交響楽団ではおなじみのマーシー山本教授(セントラル愛知交響楽団音楽主幹 山本雅士氏)が登場して今回のプログラムの注目点を使われる楽器に注目して解説していました。この「愛知オーケストラフェスティバル」は第1回のコンサートでもそうでしたが、こういう解説というかおしゃべりが入ることによって肩ぐるしさが取れて、リラックスしたコンサートになるような気がします。
 
 後半はメインのドヴォルザークの「新世界」です。演奏は全体的に速めのテンポで、第1楽章の冒頭もホルンの出など溜めは作りませんし、慣用的な呈示部の繰り返しのカットはそのままですっ飛ばします。なにか新しいチャレンジはあるのかな、と期待していた向きはあっさりと裏切られます。最近は呈示部の繰り返しはあまりしないのでしょうかねぇ。そして、肝心のホルンがちょぃと荒れ気味で音が安定していないのが残念でした。比較的松待っていたのが第2楽章でしょうか。今回はヴィオラが近いということでそのセクションを注意して観察していましたが、終盤で弦が第1プルトだけの四重奏の形で演奏する部分など、ヴィオラの旋律が浮かび上がり、普段聽き慣れたハーモニーとは違う聞こえ方がして新鮮でした。
 
 第3楽章は冒頭のみ登場するトライアングルがもうちょっと目立ってもよかったかな、リズムもちょっと重いかなといった感じもありました。
 
 ほとんどアタッカでつながる形で始められた第4楽章は、そういう不満を吹っ切るような快活なテンポでクライマックスに向かって突進していく推進力がありました。そんなことで終わり良ければすべて良し、演奏後は盛大な拍手がホールを包みました。
 

 最近のプロのオーケストラのコンサートでは珍しく、満員と言ってもキャパの半分しかホールを埋め尽くしていませんが、アンコールが演奏されました。それも、ブラームスのハンガリー舞曲第1番ということで華やかな曲で締めくくってくれたことが何よりでした。