ドロルツ弦楽四重奏団の「皇帝」 | geezenstacの森

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ドロルツ弦楽四重奏団の「皇帝」と

モーツァルトのクラリネット協奏曲

 

曲目/

ハイドン/弦楽四重奏曲第77番ハ長調Op.76 No.3 ("Emperor")

 

I. Allegro    4:20

II. Poco Adagio, Cantabile    9:22

III. Menuetto (Allegro)    5:33

IV. Finale Presto 9:24

モーツァルト/クラリネット五重奏曲イ長調

I. Allegro  6:40  

II. Larghetto  7:53

III.AMenuetto  5:23  

IV. Allegretto Con Variazioni  9:37

 

クラリネット/ハインリッヒ・ゴイザー

演奏/ドロルツ弦楽四重奏団

 エドワルト・ドロルツ

 ハインツ・ベットガー

 ジークベルト・ウェーベルシェール

 ハインツ・マヨフスキー

 
  録音/1957、ベルリン
東芝EMI AW-8528
 

 ドロルツ弦楽四重奏団の名前を久しぶりに発見したので購入した一枚です。この名前を初めて見つけたのはアメリカのセラフィムシリーズでした。
 
 
   
 

 こちらが所有している米セラフィム盤です。こちらでは「皇帝」はB面に収録されていました。でも、「EMPEROR」の文字に惹かれて購入していますからモーツァルトよりもこちらを最初に聴いた記憶があります。ただ、ドロルツ弦楽四重奏団の名前はこの時まで知りませんでした。以下はCDジャーナルの説明です。

 {{{ベルリン・フィル(BPO)の第1ヴァイオリン奏者だったエドゥアルド・ドロルツによるクァルテット。ヴィルヘルム・フルトヴェングラーがベルリン・フィルを率いていた1950年に結成。ガブリエル・ブイヨンに学んだドロルツの情趣豊かで格調高い演奏がドイツで人気を集め、50~60年代に数多くの録音を残す。ヘルヴェルト・フォン・カラヤンがBPOの終身指揮者に就いた55年以降は、洗練されたカラヤン流から離れてドイツ本流の強固な構成と情感に満ちた表現を追求。73年、ドロルツの死去により解散。}}}

ところがHMVの説明では違っています。
 

{{{ドイツ屈指のカルテットであるドロルツ四重奏団は、主にカラヤン時代を支えたベルリン・フィルの主要メンバーから成っており、この録音におけるチェリストのリーバウ以外の3人は同オケの初来日公演にも同行、その後もカラヤンと共に数回来日を果たしています。ドイツのカルテット特有の重厚さ、そして耽美的といえる深みを感じさせるこの演奏は、ドイツ古典派音楽の理想的な音楽造りとなっており、多くのマエストロたちを支えた彼らならではの世界を繰り広げています。}}}

 

 手元にある昭和31年出版の渡邊護氏の「現代演奏家事典(修道社)」て゜はこの団体は全く紹介されていません。ドロルツ自身はベルリンフィルの第1ヴァイオリンに在籍していたことは確かなようですが詳しいことは不明です。ドロルツ以外はベルリン在住のアーティストと門馬直美氏のレコード解説には書かれていますが、ベルリンフィルのメンバーだったとは書いてありません。不思議です。1964年に四重奏団として来日しているようですが、その記録も確認できませんでした。

 

 「皇帝」の演奏はドイツの古い伝統に則ったロマンティックな演奏で、第1楽章はアレグロのそれなりの店舗で快活に演奏されています。しかし、第2楽章は一般の演奏よりも遅い店舗で演奏されていて、ちょっと今の感覚ではついていけないところがあります。こんな演奏です。

 

 

 こういう演奏が1950年台には好まれたんでしょうかねぇ。

 

 B面のモーツァルトのクラリネット五重奏曲も同様な古色蒼然たる演奏で、まるでムード・ミュージックの室内楽を聴いているような感じの演奏です。このロマンティックな表現を聴いていると、フルトヴェングラー時代の様式に通じるものを感じますから、CDジャーナルの解説の方が合っているような気がします。