竹松舞
PAVANE/パヴァーヌ
1.アダージョ (バーバー)
2.君の声に我が胸ひらく〜《サムソンとデリラ》より(サンサーンス)
3.ラルゴ〜《四季:冬》より(ヴィヴァルディ)
4.亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)
5.涙のパヴァーヌ(ダウランド)
6.アヴェ・マリア(カッチーニ)
7.愛の夢(リスト)
8.G線上のアリア(バッハ)
9.ヴォカリーズ(ラフマニノフ)
10.子守歌(フォーレ)
11.サムシング(ジョージ・ハリスン)
12.主よ人の望みの喜びよ(バッハ)
編曲/井上艦
アーティスト
竹松 舞(ハープ)、井上 鑑(キーボード)、今 剛(ギター)、高水健司(ベース)、山木秀夫(ドラムス) 、朝川朋之(ハープ)、山本拓夫(サックス)、松本由起子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、
金原千恵子グループ(ストリングス)
録音:2002/03/25-29 日本コロムビア第1スタジオ
日本コロムビア COCQ83599
このアルバムは既に廃盤になっています。小生が手に入れたものも、いわゆるジャンク物の扱いであった10枚いくらというのセットの中で発見したものです。そういうものの中から珠玉の一枚を発見した時は、まるで宝物に出会ったような喜びを感じます。
これは、竹松舞さんのの6枚目のアルバムのようで、大きく謳ってはいませんが井上鑑氏のアレンジによる名曲集伴っています。井上氏は自身キーボード奏者ですが、作曲、編曲も数多く手がけています。そして、このアルバムではライナーノートも書いています。そのライナーノートにはストラヴィンスキーの「春の祭典」との出会いで衝撃を受けたさまが描かれていますが、そのストラヴィンスキーの言葉を引用して、このハーピスト、竹松舞を讃えています。
{{{武闘家は沈黙の言葉を語ります。これに対して、演奏家は音節のない言葉を語ります。演奏の際に目から入るものと耳から聞こえるものがよく調和して釣り合いの取れている時に初めて美しい演奏が生まれるのであります。そのような演奏家は耳の教育ばかりでなく、また心の教育わ儲けた人でなければならないのです。}}}
という言葉を引用しています。的確な指摘ですなぁ。同様のCDは多々出まわっていますが、どのようなアレンジが施されても音楽の本質を見失わずに、その核心を的確かつナチュラルに描き出すあたりに、井上鑑しのセンスが光ります。井上艦氏といえば、大瀧詠一を始めJPOPのアレンじゃーとして名を馳せています。クラシック界でも古川展生(チェロ)などのアルバムにも参画しています。そして。ここではタイトル曲でもあるラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」をはじめ誰もが聴いたことのある楽曲が、従来に無い編曲でクラシックの名曲に新しい光をもたらしています。曲によってはストリングスやもう一台別のハープとの共演も含めて自在なアレンジが光ります。
そのアレンジに見事に答えているのが竹松 舞のハープです。その存在感と重厚感には驚くばかり。正に小さなオーケストラです。ハープはダイレクトに爪や指から音を伝えるので、本当にその奏者の心情によって同じ曲でも、聴き手に伝わる音はかなり変わってきます。ヴィヴァルディの冬のラールゴはイメージではテクニックを披露するために、早いテンポでの演奏家が多いのですが、ここでは逆の手法をとって、ゆっくりとしたテンポで演奏されています。
ハープはヴィヴラートができない楽器で傾向的には、宮本文昭の一連のアルバムに通じるものがあります。選曲は竹松愛の方からのリクエストということですが、ここで取り入れられている曲はクラシックのは幅広いチョイスに含めて、ポップスも含まれています。要は音楽に国境はないというスタンスなんですな。ビートルズの作品から「サムシング」が選ばれています。
このCDを通しで聴くと、何度も途中で眠りに落ちてしまいました。覚醒したかと思えば、また眠りに落ちて。。。物凄く音にマイナスイオンが含まれている感じがします。いわゆるヒーリング系のアルバムということが言えます。そういう意味でも、癒し効果もある実に心地よい音楽です。