服部克久氏を悼んで
日本を代表する作曲家の一人、服部克久氏が11日亡くなったとのニュースを見て愕然としました。また一人、日本の音楽界でクラシックもポップスも分け隔てなく演奏する大家がこの世を去りました。
以下NHKの発表です。
ーテレビ番組や映画などのテーマ曲を数多く手がけ、谷村新司さんの「昴」などポップスのアレンジでも活躍した、作曲家・編曲家の服部克久さんが11日、亡くなりました。83歳でした。
服部克久さんは、日本の歌謡界を代表する作曲家、服部良一さんの長男として昭和11年に東京で生まれて音楽に囲まれた幼少期を過ごし、高校を卒業後、フランスのパリ国立高等音楽院に留学しました。
帰国後は、草創期のテレビ業界や映画など幅広い分野で作曲活動を行い、人気アニメ「トム・ソーヤーの冒険」や民放の音楽番組「ザ・ベストテン」のテーマ曲、NHKの連続テレビ小説「わかば」の主題歌など、数多くの音楽を手がけました。
また、テレビ番組「新世界紀行」のテーマ曲にもなった「自由の大地」などのオリジナル曲を集め、オーケストラによる演奏にこだわったアルバム「音楽畑」シリーズをこれまでに20作以上を発表し、コンサートも国内外で精力的に開催してきました。
編曲家としては、さだまさしさんや山下達郎さん、竹内まりやさんなど、人気アーティストの楽曲の弦楽アレンジを数多く手がけ、谷村新司さんの代表曲「昴」では、ホルンを使った雄大なイントロで名曲を彩りました。
日本作編曲家協会の会長や東京音楽大学の特別招聘教授も務め、後進の育成など音楽界の発展に貢献したほか、平成17年から宮崎県都城市の総合文化ホールの初代館長も務めました。ー
テレビの創世記から活躍した人で、服部克久の名前を最初に目にしたのはテレビドラマの「遊星王子」でした。1958年の作品で氏が最初に手掛けたテレビ作品です。
そして、1966年に放送された「サンダーバード」の日本語バージョンは氏の編曲によるものです。
こういう子供向きの作品から、歌謡曲、ひいてはポップスシーンにも大きな足跡を残しています。それは1983年から始まった氏のライフワークとも言える「音楽畑」シリーズで、日本に良質なイージーリスニングオーケストラが無かったことから始まったプロジェクトで、氏のオリジナル曲ばかりの構成で、最終的には22作発表されています。途中には番外編の「音楽畑スペシャル-楽園のやすらぎ」や「音楽畑-オーサーズ・スペシャル」なんかも発売されていますからライフワークだったんでしょうなぁ。この「音楽畑」の中には最も知られている「自由の大地」も含まれています。言わずと知れたTBSの「新世界紀行」のテーマです。
フレンチポップスのような軽やかさはありませんが、上質な日本らしいサウンドで、しっとりとしたストリングスが魅力的です。こういう響きは、欧米のポップスオーケストラでは味わえないサウンドです。すべてオリジナル作品ですから、オリコンなんかのヒットチャートには登場しませんが名曲揃いです。そんな作品の中に「鯨のボレロ」という曲があります。小生の一番好きな曲で、先の「音楽畑スペシャル-楽園のやすらぎ」にも収録されています。
テレビの主題歌もいろいろ簡易ていて、その中で「The Sunset」はフジテレビ系の番組「カノッサの屈辱」のテーマ曲としても使われたものです。
最後に取り上げるのは最後のアルバムとなった「音楽畑22」から「What an Amezing Life」という曲です。
素晴らしい作品の数々です。この音楽畑シリーズ、第1作は価格を下げて再リリースされていますが、この際ボックスセットにして再発してほしいものです。
これらの名曲の数々は日本人の誇りです。ご冥福をお祈りいたします。合掌。