バロック名曲1000シリーズ 1
バロック協奏曲選集
曲目/
1.バッハ/ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ハ短調BWV.1060
2.バッハ/オルガン協奏曲イ短調BWV.593
3.ヴィヴァルディ/弦楽のための協奏曲ト長調Op.51
4.ペルゴレージ/小協奏曲第5番変ホ長調
5.ヘンデル/オーボエ協奏曲ト短調
ヴァイオリン/ウルリッヒ・レーマン 1,4
オーボエ/アンドレ・ラルドロ 1,3-5
オルガン/アントン・ハイラー 2
指揮/エドモンド・シュトウツ 1,2,4
アントニオ・ヤニグロ 3,5
演奏/チューリッヒ室内管弦楽団 1,2,4
ザグレブ室内管弦楽団 3,5
録音/1965
キング GT-1085(ヴァンガード原盤)
書庫だけ作ってまだ一つも記事を上げていませんでした。最近やたらとレコードを購入しているのでそちらを記事にするのが忙しかったのでつい疎かになっていました。まあ、別の書庫のレコードも廉価盤といえばそうなんでしょうけど、一応ここは国内盤の1000円から1500円で発売されていたものを取り上げることにします。
レコードの1000円盤は小生のベースとなるコレクションで多くの名曲を各社の廉価盤で知ることになりました。くさ分けはコロムビアのダイヤモンド1000シリーズですが、ブームの時代にはすべてのメーカーの中から選んで選んで弁当の昼食代も節約して小遣いに回し、ライブラリーを充実させていきました。
で最初に取り上げるのがこの一枚です。コロンビアからエラート原盤を使って発売した「バロック時代の大作曲家たち」というシリーズに対抗して発売されたものです。
後発とあってか、かなり踏み込んだマニアックな内容になっていましたが、当時の契約のあった「Vanguard」レーベルのソースをフルに使ってラインナップしていました。
このレコードでもこの曲を知りました。そして、オーボエのアンドレ・ラルドロもこのレコードで聴いて痛く感動しました。ただ、レコードにはラルドロについては全く解説がありません。エラートに録音しているアーティストにはジャック・ランスロとかピエール・ピエルロ、そして大御所ピエール・ランパルなど数多の管楽器の名手がいましたが、ラルデの名前は見つけることができませんでした。
ラルデはフランスはヌベールの生まれです。パリ音楽院を卒業後、最初はザルツブルクやベルリンで活躍後スイス放送局のオーケストラのソロ・オーボエ奏者になり、バーゼル音楽院でも教えるようになります。ここでは、しっとりとした落ち着いたそれでいて息の長い音色を楽しむ腰ができます。
指揮者のシュトウツは度々来日してレコーディングも少なからずありますが、今やほとんど忘れ去られている指揮者でしょう。スイスはチューリッヒに生まれチューリッヒで1997年に亡くなっています。いろいろな楽器をこなし、最初はチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団のチェロ奏者、打楽器奏者として活躍し、のち指揮者に転じチューリッヒ室内管弦楽団を結成しています。
米ヴァンガードやEMI などに録音していますが、本来は現代音楽の指揮者でした。このレコードではバッハやペルゴレージを指揮しています。
レコードからの演奏ですが、その丁寧な演奏ぶりが伝わってきます。
アントン・ハイラーの名前もこのレコードで知りました。そして、ここで演奏されている曲はもともとはヴィヴァルディの作品の編曲版であることもここで知ることになります。そういう新しい発見を次々と体感させてくれたアルバムでもあります。
そして、B面には実演で聴いた指揮者として今でも記憶に残るアントニオ・ヤニグロの名前が登場します。バッハからつながるヴィヴァルディの通称「ア・ラ・ルスティカ」と呼ばれる曲です。ここでは「田園風協奏曲」として記載されていますが、こんな呼び方いまでもするのでしょうかねぇ。
ここではモノラルバージョンで収録されているものしか見つかりませんでしたが、レコードにはれっきとしたステレオで収録されています。今からするとちょっとのんびりしている演奏ですが、当時は「四季」以外にこんな曲もヴィヴァルディにあるんだという新鮮な気持ちで聴いていました。
最後はまたラルデがソロを取るヘンデルの「オーボエ協奏曲第3番」が収録されています。キングはヴァンガードの音源で名曲集のようなオムニバスを作っているわけですが、まさに入門用にはうってつけの選曲ですなぁ。ここでのオーボエも素晴らしいソロを披露してくれています。
エラートは一枚一枚がオリジナルのママ発売されていますが、キングは入門用と割り切って一枚のレコードに様々な作曲家の作品を詰込むという体裁をとっています。バロックの愛好家を増やすにはこういうアプローチもあったんですなぁ。まあ、小生もそのお膳立てに乗っかり、いろいろな作曲家の作品をこのシリーズで幅広く知ることができました。