クルト・レーデル/パッヒェルベルのカノン
曲目/
A1.パッヒェルベル/カノン Canon à Trois Voix Sur Une Basse Obstinée
A2.パッヒェルベル/シャコンヌ ヘ短調 Chaconne En Fa Mineur
A3ハイドン/メヌエットホ短調 Menuet En Sol Mineur
A4ヴィヴァルディ/冬のラールゴ Largo En Ré Mineur Pour Violon Et Orchestre à Cordes
A5ハインリッヒ・イサック/インスブルックよさらば Chanson "Innsbruck Je Dois Te Quitter"
B1ミヒャエル・ハイドン/ノクターン Nocturne En Fa Majeur
B2モーツァルト/ロンドロ長調K.373 Rondo En Ré Majeur Pour Flute Et Orchestre à Cordes Kv 373
B3グルック/舞曲とメヌエット Danse-Menuet (Extraits D'Orphée)
ヴァイオリン/ジョルジュ・レティイ
チェンバロ/レオナルド・ホアカンソン
指揮/クルト・レーデル
演奏/ミュンヘン・プロ・アルテ管弦楽団
録音/1960年代
仏ERATO EFM8005
多分このアルバムは日本では発売されたことがありません。一応1000円盤の時代に日本コロムビアから名曲集的なものは発売されていましたが曲目が違いますし、RCAから「フォーリ・ムジカーリ」シリーズで発売されたときとも曲目が違っています。同じフォーリ・ムジカーリ」でもフランス本国と日本では内容はかなり違っていたんですなぁ。これは多分いわゆるコンピレーション盤なのでしょう。国によって人気のある曲が違いますからねぇ。ちなみにネットで検索するとこのエラート盤と同じ内容のレコードはフランス、スペイン、ドイツ、イギリス、アメリカで発売されています。なにしろ、イサックの「インスブルックよさらば」です。この作曲家についてはこのレコードで初めて知りました。もちろん、もともとが歌曲ということですが、ここでは器楽演奏で演奏されています。つまりは、このアルバムの演奏はすべてレーデルが編曲アレンジをしているということです。
フランス盤の「フォーリ・ムジカーリ」シリーズは初めて入手しました。日本盤の渋い紺色の色調とは違い明るいピンク色というのはちょっと意外でしたが、ジャケットのバロック絵画とは違和感がありません。これがフランス人のセンスなんでしょうなぁ。解説の下にこのシリーズが42枚発売されたリストが掲載されていますが、なぜか、8007と8015の2枚が欠番になっています。
さて、このカノンですがレーデルを知るきっかけになった演奏で、コロムビアから「バロックの大作曲家たち」というシリーズが発売されたときには飛びついて購入したものです。当時何を血迷ったのかこのシリーズの発売の告知を見て初めてメーカーに手紙を出しました。今となっては何を書いたのか覚えていませんがこのシリーズに期待する胸の内を綴ったものだと思います。ほどなくしてメーカーから2枚組のこのシリーズのサンプラーレコードが送られてきました。今回の写真はその時送られてきたレコードのジャケットです。非売品ですから味も素っ気も無くただ20枚のシリーズのジャケットが印刷されただけの簡素なものです。これには子供心にえらく感激しました。こうして発売前からこのレコードを聴きまくり欲しいものをリストアップしたのですがほとんど全部購入した記憶があります。そして、このシリーズでクルト・レーデル、カール・リステンパルト、ピエール・ピエルロ、ポール・オンニュなどの名演奏家と出会いました。
この試聴盤の中にこのレーデルのカノンもあったんですなぁ。てなことで、この演奏が小生のディフェクト・スタンダードとなりました。決して派手な演奏ではありませんし、しかし、ひたひたと迫ってくる切なさといつくしみの慈愛が音楽の中に広がっていきます。けだし名演です。
それはさておき、レーデルは何度もパッヒェルベルの「カノン」を録音しています。それだけこの曲に愛着が深いんでしょうなぁ。
さて、レーデルの名曲集は、実は色々なレーベルで発売されています。このエラート盤もそうですが、レコード時代はフィリップスからも、デジタル時代になってからはソニーから発売されたものもあります。個人的にはこういう名曲集、フィリップス時代のものは所有しています。このアルバムはそのフィリップスのものに酷似はしていますが、多分違うものでしよう。フィリップス盤でもカノンやヴィヴァルディの冬のラールゴが含まれています。小生はこのフィリップス盤で、ヴィヴァルディのラールゴが自由闊達な演奏でびっくりしたものです。クルト・レーデルはエラートにヴィヴァルディの「四季」を録音していますが、それとは全く違う演奏です。こんな、伸々びとしたラールゴは初めて耳にしました。
B面にはミヒャエル・ハイドンやモーツァルト、グルックといつた古典派の作品が並びます。その中でミヒャエル・ハイドンの曲も初めて聴く曲でした。もともとは八重奏曲の第2楽章を弦楽合奏用にレーデルがアレンジしたものです。編曲にもいい味出しています。
次のモーツァルトではレーデルはソロも撮っています。もともとはヴァイオリンのための作品ですが、レーデルはフルート奏者としても活躍していましたからもともとがフルートのための作品としか思えないような編曲で聞かせてくれます。これも、レーデルは何回も録音しているようで、下はモーツァルト室内管弦楽団を指揮したものです。
多分、今回入手したレコードの中ではピカイチの掘り出し物だったような気がします。