手持ちベートーヴェン交響曲全集
緊急事態宣言を全国に発令されて、いよいよ政府は新型コロナ対策に本腰を入れたようですなぁ。遅きに失した感はありますが、ズルズル対策をすれば来年のオリンピックなんて吹っ飛んでしまうことにようやく気がついたのでしょう。
職場も新型コロナの影響で仕事が自宅待機となり、時間がたっぷりあるので、手持ちのベートーヴェンの交響曲全集がいくつあるのか調べてみました。
1.コンヴィチュニー/ゲヴァントハウス管弦楽団
2.カラヤン/ベルリンフィル1960
3.カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団
4.カラヤン・ベルリンフィル 1970
5.ヘルベルト・ケーゲル/ドレスデンフィルハーモニー管弦楽団
6.ロジャー・ノーリントン/ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ
7.ロン・グッドウィン/ハノーバー・バンド
8.サイモン・ラトル/ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
9.クルト・ザンデルリンク/フィルハーモニア管弦楽団
10.岩城宏之/NHK交響楽団
11.ヘルベルト・ブロムシュテット/ドレスデン・シュターツカペレ
12.レナード・バーンスタイン/ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
13.レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック
14.エーリッヒ・ラインスドルフ/ボストン交響楽団
15.リチャード・エドリンガー/スロバキア・フィル他
16.アンタル・ドラティ/ロンドン交響楽団
17.クラウディオ・アバド/ヘルリンフィル
18.ダヴィッド・ジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
19.ダニエル・バレンボイム/ベルリン・シュターツカペレ
20.ロリン・マゼール/クリーヴランド管弦楽団
21.オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団
22.オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団 1960ライブ
23.アンドレ・クリュイタンス/ベルリンフィル
24.ブルーノ・ワルター/コロムビア交響楽団
25.オイゲン・ヨッフム/ロンドン交響楽団
26.オイゲン・ヨッフム/コンセルトヘボウ管弦楽団
27,アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団
28.ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア
29.ヘルマン・シェルヘン/ルガーノ放送管弦楽団
30.ヴォルフガング・サヴァリッシュ/コンセルトヘボウ管弦楽団
31.ハンス・シュミット=イッセルシュテット/ウイーンフィル
32.ネヴィル・マリナー/SMIF
33.セルジュ・チェリビダッケ/ミュンヘンフィル
34.クリストファー・ホグウッド/エンシェント室内管弦楽団
35.ベルナルト・ハイティンク/コンセルトヘボウ管弦楽団
36.エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団
37.カール・ベーム/ベルリンフィル他-シンフォニー100収録
38.フルトヴェングラー/ベルリンフィル他-107枚ボックス収録
39.ウィーンフィル-オムニバス-ウィーンフィルボックス収録
40.リッカルド・ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団
41.ピェール・モントゥー/ボストン交響楽団他
追加
42.アーノンクール/ヨーロッパ室内管弦楽団
番外
シプリアン・カツァリス-ピアノ版
自分でも驚いてしまう量の全集が手元にあります。今は処分してしまいましたが、これに加えてレコード時代にはイッセルシュテット/ウィーンフィル、トスカニーニ/NBC交響楽団のセットを所有していました。
ざっと見渡したところ、大物指揮者で単独の全集を所有していないのはジョージ・セルとカール・ベーム、、そしてクルト・マズアぐらいでしょうかねぇ。いずれも、レコード時代は「エロイカ」主体に単品でいくつか所有していたものですが、どうも全集には触手が伸びなかった記憶があります。
CD時代に最初に購入した全集は、デジタルとして世界で最初に発売されたケーゲル/ドレスデンフィルのものでした。たぶん初出は1983年ごろだったと記憶しています。カラヤンよりも早かったんですなぁ。手元にあるのは1987年にその頃は元気のあった「新星堂」が直輸入した新星堂特選の文字が刻まれたボックスセットです。通常のプラケースを5枚セットにしたもので、当時としては破格値で販売していたと思います。
個人的に衝撃を受けたのはクルト・ザンデルリンク/フィルハーモニア管弦楽団の全集でした。最初は「英雄」のみを単独で購入したのですが、これが素晴らしかったので改めて全集を買い足したものです。ザンデルリンクがムーティにバトンを渡す過渡期に録音したもので、ご褒美みたいな録音だったのですが、これが素晴らしい出来でした。ただ、国内盤としてはレコードが数枚発売されただけでCDとしては2012年にタワレコの企画盤としてようやく日の目を見ています。
古楽器ものの演奏もいくつか所有していますが、一番インパクトがあったのは、この手のものでこれまた最初に録音されたロイ・グッドマン/ハノーバー・バンドのセットです。日本ではまともな発売窓口がなかったので評判にもなりませんでしたが、初期のニンバスのリリースものの中ではピカイチの出来でした。これに刺激されて、ノーリントンやホグウッドが次々と古楽器による全集を発売しています。
あまり目立ちませんが、小生はヨッフム/コンセルトヘボウの全集がレコード時代は愛聴盤でした。LSOも所有していますが、録音とかアンサンブルの充実度を勘案するとこちらの方が好きでした。
1968年の来日時にハイティンクとともにコンセルトヘボウを指揮していました。ちょうど同じ年、カラヤン/ベルリンフィルが来日し同じ頃にNHKがテレビで両者の「田園」を収録していて放送したことがありました。中学生の時音楽の時間でその演奏が話題になり、先生はカラヤンをベタほめだったのですが、小生は一人、このヨッフムの田園の方を支持しました。
ここでのヨッフムはゆったりとしたテンポで丁寧に一音一音を慈しみながら奏でる「田園」は味わい深さも格別です。弦楽のふわりとした肌触り、木管の柔らかな歌、金管のぴんと張りつめた輝き、常に瑞々しさを失わないコンセルトヘボウの音色の素晴らしさにも脱帽です。日本ではカラヤン/ベルリンフィルにどうしてもマスコミの目がいってしまいますが、天才クレバースやマヒューラ、ブルワーザーなどが在籍していたコンセルトヘボウ管は当時最強のオーケストラでした。それが証拠に、ヨーロッパでのオーケストラランキングではベルリンフィル、ウィーンフィルを差し置いてコンセルトヘボウが1位という評価が当時の「グラモフォン」誌に掲載されていました。
デッカでの録音でのベートーヴェン交響曲全集は一セルシュテットがウィーンフィルと録音したものがレコード時代から話題になっていましたが、デッカが最初にベートーヴェンの交響曲全集は実際にはアンセルメ/スイス・ロマンどだったことはあまり知られていません。日本でもこの演奏はレギュラープライスで発売されたことがなく、1968年の来日に合わせて、ミッドプライスで発売されています。商売にはならなかったんでしょうなぁ。でも、これ食わず嫌いなところがあります。レコードで、この来日記念盤の中から「英雄」を買いましたが、これが目からウロコの怪演で、ドイツスタイルに漬かっていた耳にはむちゃくちゃ新鮮に聴こえました。近年の演奏で言ったら90年代に話題になったジンマン/チューリッヒ・トーンハレを彷彿とさせる演奏ですまあ、さすがに1960年の録音ですから、第1楽章のコーダではトランペットは高らかに主旋律を吹かせていますけどね。
これらの全集、其々に思い出がありますが駄演は一つもありません。そして、どれもが皆ベートーヴェンの音楽になっています。改めて、ベートーヴェンの偉大さを感じた今日この頃です。