東海道・中山道 旅と暮らし | geezenstacの森

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東海道・中山道 旅と暮らし

 

著者:新田時也、志田威、 中澤麻衣 

発行:静岡新聞社

 

 江戸期の中心街道だった東海道・中山道の「旅と生活」にスポットを当てた歴史解説書。当時の人々の旅の様子や、街道筋の住民の暮らしを多角的な視点で紹介する。第1部は、今も残る伝統的な建築物から、江戸期の文化や風俗を読み解く。第2部は、広重の浮世絵や十返舎一九「東海道中膝栗毛」を題材に、巡礼の様子や各地の名物、近代化による生活様式の変遷を考察。旅人たちのファッションについてもコラム形式で紹介している。---データベース---

 

 

 愛知県には江戸時代、宮、鳴海、池鯉鮒、岡崎、藤川、赤坂、御油、吉田、二川の9つの宿場がありました。最も多いのは静岡ですが、神奈川と並んで多い県です。それもあり、やはり自然と興味がありました。また、中山道の通る木曾は尾張藩の領地だったということもあり、こちらも深いつながりがあります。その二つの街道を扱った本ということで手にしてみました。もちろん、ここでは著者の一人に志田威氏が名を連ねている点も見逃せませんでした。これは、2018年12月26日に名古屋市中区役所ホールで開催された「第2回 東海道57次交流会」の講師であり、東海道は57次あったという主張を述べられたのが非常に印象に残っていたこともあります。

 

 この本でも題材としては歌川広重の「東海道五十三次」を取り上げていますが、基本的には東海道は五十七次あったという視点で記述されています。

 

目次

第1部 東海道・中山道の「旅と生活」

幕府の街道施策と旅人支援

遺構が伝える「宿場生活と街道の旅」

困難な旅路を克服した知恵と努力

街道の歴史が伝えるもの

第2部 浮世絵と文学から見る街道文化

大江戸の誕生ー化政文化

大江戸時代における街道の旅

東海道における食文化の変遷

絵画と文学から見る生活の変容

 

 広重は「東海道五十三次」の浮世絵を何種類も残していますが、ここでも、保永堂版、隷書板、行書版に加え歌川豊国との合作となる「双筆五十三次」などの図版も取り入れ、江戸時代の庶民の生活の様子を解説しています。また、十返舎一九の滑稽本「東海道中膝栗毛」を読みくだしながら当時の旅の様子を伝えています。こんなものです。

 

 

 同様に渓斎英泉と合作となる「木曽海道六十九次」も特徴的な宿を宿場生活と街道の旅を視点に現在の遺構を取り上げながら解説していて非常にわかりやすいものになっています。

 

 旅の名産の食べ物も取り上げて、名物「姥が餅」とか丸子の「とろろ汁」小田原の「ういろう」なんぞのうんちく話もあります。

 

 大学の講座のつもりで読むとなかなか興味深い本です。