日本史大全 意外な結末 | geezenstacの森

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日本史大全 意外な結末

 

著者 日本博学倶楽部

出版 PHP研究所 PHP文庫

 

 

 日本人なら誰でも知っている歴史人物、歴史的事件。しかし、現代の私たちに伝えられるその内容が、ごく一面的な事実にすぎないとしたら……。
本書は、教科書では書かれていない日本史の秘話から、実は知られていない「あの人物」「あの事件」の意外なその後、長い時間の経過で生まれた異説・奇説・珍説・風説までを一挙紹介。
「隋の煬帝からの『返書紛失事件』の真相(小野妹子)」「どれだけ老いても自分は役に立つ! (清少納言)」「信長亡き後も、江戸時代まで生き続けた(?濃姫)」「石田三成に殉じた精神は、宣教師ゆずりか(?大谷吉継)」「控え室に入れず、嫌がらせの毎日(大岡忠相)」「明治時代には『海外逃亡説』まで登場(大塩平八郎)」「行方不明の軍艦『畝傍』に乗って帰ってくる(?西郷隆盛)」など、思わず誰かに話したくなる「想定外」のエピソード満載。
本書一冊で、あなたも日本史の“事情通"になれる決定版! 文庫オリジナル

 

 これまでPHPから発刊されてきた16の関連本を、文庫版オリジナルで再編集したものということで、小生もどこかで読んだことがあるなぁと確認したら、「古代史 キーパーソンたちの意外な『その後』」を読んだことがありました。どおりで、つかみの部分は知ってるぞ!的にニタリとしてしまい、ついつい読み進むことになりました。

 

目次

第1章 古代史、あの有名人物の意外な「その後」
第2章 中世を彩る英雄・美女の驚きの「結末」
第3章 戦国乱世を駆け抜けたあの人物、「その後」の明暗
第4章 泰平の江戸を騒がせたあの人の波瀾万丈の「結末」
第5章 激動の幕末期に活躍した人物の驚きの「その後」
第6章 近代史に名を馳せた英才たちの意外な「結末」

 

 古代史では番外史的な「徐福」の話から始まります。この徐福は秦の始皇帝時代の人物ですが、不老不死の薬を探して日本に来たことになっています。上陸したのが紀伊半島ということで、大和朝廷の勃興と奇妙に一致しているのがなんともロマンがあります。

 

 遣隋使として有名な小野妹子の隋の煬帝からの『返書紛失事件』の真相も興味深いものがあります。日本史では、607年の小野妹子の派遣が第1回遣隋使として記録されていますが、そもそも、最初の遣隋使として派遣されたのは600年で、中国の年号では開皇20年でした。


 中国側の記録で開皇20年の交渉と呼ばれる、遣隋使の派遣は大失敗に終わりっています。広大な中国大陸を統一した大帝国隋にしてみれば、かつて三国時代の魏や晋、南北朝時代に朝貢関係を求めてきた東の果ての名もない野蛮な島国の末裔の使者など、取るに足らない相手でした。翻ってみれば、聖徳太子の17条の憲法は604年に、冠位十二階は603年に制定されていますが、これらは600年の遣隋使の失敗がもたらした結果なんじゃないでしょうかねぇ。この本では言及されていませんけどね。

 

 ちょっと弱いのが江戸時代前半で、戦国時代はめちゃ詳しいのに江戸時代は元禄時代の記述は全く取り上げられていません。真選組は詳しいのに、忠臣蔵には一言も触れられていません。既存本からのピックアップということで、ちょっと安易にまとめられている点がちょっと残念です。