講談社版 ステレオ世界音楽全集6   シューマン、メンデルスゾーン | geezenstacの森

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講談社版 ステレオ世界音楽全集6  

シューマン、メンデルスゾーン

 

LP1

 メンデルスゾーン

○交響曲第4番イ長調 作品90『イタリア』

 指揮:ゲオルグ・ショルティ

 演奏:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

○ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64

 ヴァイオリン:カンボーリ

 指揮:サー・エードリアン・ボールト

 演奏:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

○結婚行進曲―『真夏の夜の夢』作品61より

 指揮:エルネスト・アンセルメ

 演奏:スイス・ロマンド管弦楽団

LP2

○序曲『フィンガルの洞窟』作品26

 指揮:ペーター・マーク

 演奏:ロンドン交響楽団

○『歌の翼に』―歌曲集 作品34より(リスト編)

 ピアノ:ジュリアス・カッチェン

 シューマン

○『子供の情景』作品15

 ピアノ:クリフォード・カーゾン

○ピアノ協奏曲イ短調 作品54

 ピアノ:フリードリヒ・グルダ

 指揮:フォルクマル・アンドレーエ

 演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 

 

 

 

 

 1969年に発売された講談社版 ステレオ世界音楽全集全18巻のうちの6卷目がこの卷です。この卷で取り上げられているのはシューマン、メンデルスゾーンなんですが、収録内容を見てみてもメインはメンデルスゾーンになっています。こういう全集はレコード会社が単独で発売してレコード店経由で売るものより、書店販売の方が遥かに流通ルートがしっかりしていますから販売量が違います。そのため、レコード会社も新たにプレス用の原盤を制作してレコードを制作しています。キングレコードは講談社のグループですからその音源である当時のロンドン、でっかの音源をふんだんに使うことについては当然でしょう。

 

 ただ、得てしてこの時代に投入された音源はキングレコードでももうとっくに旧譜になったものが主体で、ここで登場しているものを見渡しても最新のものは一つも含まれていません。そういう意味では原盤使用権が安くあがったのではないでしょうか。

 

 ここでちょっと斜め読みすると講談社としては親会社として「シューマン、メンデルスゾーン」としたのでしょうが、音源を提供するキング側としては売れるものを作りたいということで、シューマンとメンデルスゾーンのバランスが変わってしまったといったところでしょうか。まあ、この時代デッカはメンデルスゾーンの音源は豊富に持っていましたからねぇ。

 

 で、今回はこの中からカンポーリのメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を選んでみました。カンポーリといっても若い人は知らないでしょうなぁ。アルフレード・カンポーリは1906年10月20日、ローマ生まれのヴァイオリニストです。サンタ・チェチーリア音楽院のヴァイオリン科の教授だった父から手ほどきを受けました。そして、1911年一家はロンドンに移り、10歳で正式デビューしています。少年期には各地のコンクールで上位入賞をさらった。カンポーリは主にサロン音楽のヴァイオリニストとして活躍していましたが、1950年前後からはデッカに様々なクラシック音楽を録音するようになりました。このディスクに収録されているヴァイオリン協奏曲は、ステレオ初期にカンポーリが残した名盤として知られています。1702年製のストラディヴァリから醸し出される美しい音色と、イタリア人らしいベルカントの情感溢れる演奏で聴衆を魅了しました。日本には1960年と66年に来日しています。

 

 カンポーリはモノラルでも1949年にオランダの名指揮者ベイヌムとともに第1回目の録音を残しています。このステレオでの再録音は1958年5月6日、8日、キングズウェイ・ホールで収録されています。

 

 

  この50-60年代の録音では個性的なヴァイオリニストが数々活躍しています。小生はこのカンポーリを初め、ミッシャ・エルマン、ヨーゼフ・シゲティ、ミシェル・オークレールなどを良く聴きました。どれも個性的な演奏で、その時代を楽しむことができました。

 

 このカンポーリもその一つで、何ともいえない艶やかなメンデルスゾーンで、テンポ設定もこれがメンデルスゾーンの響きなんだと納得したくらいです。今でもそうだと思いますが、この曲の名盤はハイフェッツのものが定番なんでしょうが、あの少し速めのテンポにはついていけないので、個人的にはそれ以来ハイフェッツは選択しにはありません。物事第一印象がその後にも影響するもんですな。

 

 このステレオでの再録はモノラルよりも若干遅めのテンポ設定で演奏しています。ベイヌムとの響円盤も捨てがたいのですが、カンポーリの歌うような弾き熟しが十分に熟しているのはこのボールトとの競演といえるのではないでしょうか。下はそのベイヌムとの1949/05録音のものです。

 

 

 まるでアリアを歌うようなカンタービレを聴かした第2楽章は思わず聴き惚れてしまいます。

 

 

 オークレールの演奏なんかを聴いているとやはりどこか女性らしさ輪感じさせるところがあるのですが、カンポーリは同じようなロマンティックな表現でも、底辺にはしっかりとした男性的な力強さが流れていて、決して甘くなるようなところは感じられません。

 

 

 久しぶりに心が洗われるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を聴きました。