バリー・ワーズワースのハイドン
交響曲第92番「オックスフォード」
ハイドン/
Symphony #85 In B Flat, H 1/85, "La Reine"
1. Adagio, Vivace 8:23
2. Romance: Allegretto 4:47
3. Menuet: Allegretto 4:21
4. Finale: Presto 3:45
Symphony #92 In G, H 1/92, "Oxford"
1. Adagio, Allegro Spiritoso 7:34
2. Adagio 8:13
3. Menuet: Allegretto 5:41
4. Presto 6:03
Symphony #103 In E Flat, H 1/103, "Drumroll"
1. Adagio, Allegro Con Spirito 9:15
2. Andante Più Tosto Allegretto 7:56
3. Menuet 4:45
4. Finale: Allegro Con Spirito 5:54
指揮/バリー・ワーズワース
演奏/カペラ・イストロポリターナ
P:カロル・コペルニッキイ、ヒュバート・ゲシュワンダー
録音/1990/03/1-5 モイゼス・ホール、スロヴァキア
ナクソス 8.550387
ここで取り上げるのはごく初期のナクソスのアルバムです。我が家にはその初期のバリー・ワーズワースが指揮したハイドンの「15 Famous Symphonies」なるボックスセットがあります。既に廃盤ですが、何のことはない例によって既存のアルバムを5枚纏めて発売しただけのものです。上の写真がそれです。今日取り上げるのはその中の一枚、「王妃」、「オックスフォード」、そして「太鼓連打」の3曲がおさめられたものです。
あまり知られていませんが、ナクソスにもハイドンの交響曲全集があります。34枚組で、其れこそこのワーズ・ワースを始めガロワ、ドラホー種、ミューラーブリュールなどのアーティストによる分担で完成させています。その中で後期の有名な15曲をこのワーズ・ワースが担当しているという訳です。
そんな理由でこのワーズ・ワースはごく初期に録音されたもので、あまり評価が高くないというか殆ど評価されていません。確かに小生も、82番の「熊」とか「軍隊」、「時計」といった有名曲はあまり感心しません。そんな中で、このアルバムに収録されている「オックスフォード」だけは評価出来ると思って取り上げてみました。
92番の演奏で一番のお気に入りは、ルネ・ヤーコプス/フライブルク・バロックの演奏ですが、その演奏に肉薄する演奏がこれだといってもいいと思っています。
もともと演奏するカペラ・イストロポリターナは1983年に結成されたスロヴァキアフィルのメンバーからなる室内管弦楽団で規模は大きくありません。現在のスロバキアの領土で最初に設立された大学の名前にちなんでいます。
大編成のオーケストラでは味わえない軽快さがあります。序奏はそれなりにゆっくりしたものですが、主部に入ると快活なテンポで突き進んでいきます。バリー・ワーズワースは一般にはバレエ音楽が得意な指揮者といわれていますが、そういう先入観なしに聴くと、なかなかリズミカルな演奏で。もともと彼はレオンハルトにチェンバロを師事していますから、古典には精通しているといってもいいでしょう。
オックスフォード大学から博士号を授与されたときのお礼としてこの交響曲を自らの指揮で演奏したために、「オックスフォード」というニックネームがつけられています。
ハイドンがこの曲を選んだのにはそれだけの自負があったのでしょうが、小生は交響曲作家としての完成度の高さを感じます。ためにハイドンの「エロイカ」という呼ばれていることに納得です。