日本絵画 evolution! Seven Artist展 | geezenstacの森

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日本絵画 evolution!

 Seven Artist展

 

 

 先に取り上げた「日展東海展」と同じスケジュールで、松坂や美術館では「日本絵画 evolution! Seven Artist展」が開催されていましたのでいってみました。こちらは、1970年~80年代生まれ、現代のアートシーンの最前線を行く若手作家7名による夢の競演となっています。

 

〈岩田壮平〉雪月花時最憶君ー花泥棒

作者によるキャプション

{{{四季、其々をもっとも感じる其々のとき。
あなたは何を考えているのだろうか?と、思う。
花の開きは絶頂を迎え、私の心も絶頂を迎える。
・・・もう、あなたの心を奪いに向かって走り出すしかない。}}}

 

 ということで、画面全体に赤いアネモネの花が咲き乱れていますが中央から右側に1台の自転車が描かれています。ただ、手の位置とジーパンの足の位置がどうも理解出来ませんでした。

 

〈神戸智行〉星に願いを

作者によるキャプション

{{{金魚は、約500年前に中国から伝わったフナ科の生き物です。

品種改良が進み、多くの種類の金魚が生まれました。様々な種類の金魚は同じ空間で泳いでも、争わず共存することができます。

様々な国々、異なる人種や思想の人々も、この金魚のように他者と自己の両方を尊重しながらも同じ空間を共有し、未来の担い手である子どもたちにつないでいけたらと思い描きました。}}}

 

 色とりどりの金魚が無数に泳いでいます。ただ、画面が細かく分断されていることに何の意味があるのか、理解に苦しみました。

 

〈山本大貴〉Aeolian Harp/不在

作者によるキャプション

{{{誰にでもTVやラジオ、ネットで馴染んだ思い出の1曲があるのではないでしょうか。
美術も同じように、身近で親しみのあるものであってほしいと願っています。}}}

 

 画面左が「Aeolian Harp」、で右が「不在」という作品です。ただ、どちらも伸び君的なアングルで書かれているのが気にかかります。

 

〈呉亜沙〉Mother
作者によるキャプション
{{{この作品の舞台は教室です。
教室は世代を意識するフィルターをかけて覗くと同世代が同時期に同空間に居るという特殊性が浮かび上がります。
その中に蝶を次々スカートの裾から産み続ける女性が中央に立っています。
蝶のモデルは「モルフォオオムラサキ」という国蝶オオムラサキの劣性遺伝で登場した青みが強い希少品種です。
現在モルフォオオムラサキは人工繁殖によって数を増やそうとしています。
人の意図によって少しずつ世界が変わります。

子供(他者)を産むという事も大きな意図、意志を持った行為です。いずれこの教室から退室していく他者。世代のつなぎ目はここにあると思いました。}}}

 

 

 

 この作品には本物の「オオムラサキ」と「モルフォオオムラサキ」の標本も展示されていました。それにしても画面からはみ出したところも作品という位置づけなんでしょうなぁ。方らはまらない世界観がいいですね。

 

〈金子富之〉沙羯羅龍王

作者によるキャプション

{{{沙羯羅龍王は仏法守護の八大龍王の一柱。その源流は古代インドの蛇神ナーガであり、インドコブラの神格化である。仏陀の迷走の深さに感服しその姿を背後から光背の様に守護するナーガの造形が多く造られた。

後に中国に伝播した時に龍王とみなされ天候を操る水神と考えられた。

名前の意味は“大海”を意味する。ナーガ・カルト(蛇神信仰)はアジア全域で古くから深く原始的に根付き、蛇は最も世界的な神話の広がりを持つ神獣の一つである。}}}

 

 確かに画面いっぱいに広がるのは蛇神です。

 

〈大竹寛子〉Spring

作者によるキャプション

{{{Feel of 4 seasonsのSpringを横構図に大きな画面で改めて描きました。

春、花が咲き始め、新しいことが起こりそうでワクワクした気持ち。

それと同時に日本では春は別れの季節でもあり、桜が咲いては一瞬で散っていく様な刹那的な、儚い人間のひと時を感じます。

画面下の金箔から蝶が舞い上がり、春を喜び、画面上では銀箔に焼けた蝶を描くことにより短い蝶の一生の終わりを表現しています。}}}

 

 どうもオリジナルの作品は4部作のようです。ここでも蝶がシンボルとして描かれています。

 

〈入江明日香〉L′Alpha et I′Oméga

作者によるキャプション

{{{タイトルの「L′Alpha et I′Oméga」(仏語)は、ギリシャ文字のA(アルファ)と最後のΩオメガで、「始まりと終り」「全て」「永遠」という意味を持っています。
今現在、作者が表現できる全てのものを投入した大作です。}}}

 

 現代風劇画の屏風絵といった趣きでしょうか。