「改組 新 第6回日展東海展」2 | geezenstacの森

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「改組 新 第6回日展東海展」

日 本 画 2
 
 今回の日本画で一番注目した作品は加藤晋氏の「昼の月」という作品です。
 
 
 確かに画面上部屋や左に月は出ています。タイトルに惑わされなければ何の変哲もない作品です。何の賞にも入っていない作品ですが、よくよく注意してみると絵の至る所に仕掛けがあります。
 
 
 なんか色合がちょっと違うなぁと思いよくよく見ると、右やや上の林の中には「象」や「豹」が潜んでいます。
 
 
 こちらは一番わかりやすいかわすその小道を歩いている動物ですが、ロバを先頭に続くのは「桃太郎」でおなじみの「犬・猿・雉」です。
 
 
 川岸の木陰には「パンダ」が寝そべっています。
 
 
 左手前の木立の上にはひっそりと小鳥も描かれています。
 
 
 さらには、川岸の手前には子供も描かれています。
 
 
 小道の奥には六体のお地蔵さんが描かれています。そのうち一体は笠をかぶっていません。でも、これは日本昔話の「笠地蔵」へのオマージュでしょうなぁ。
 
 小生はこれぐらいしか見つけられませんでしたが、子供の方がもっとたくさんの生き物を見つけられるような気がします。ぜひ、じっくりとこの作品を楽しんでほしいと思います。
 
内緒の手紙 三谷佳典  特選
 
 この絵を見た時コスタ・ガブラスの「Z」という映画を思い出してしまいました。まさに、背景には画面とは相容れない「Z」の文字が描かれていますし、黒いドレスの女は映画では殺された夫の妻でイレーネ・パパスが演じていました。そして、「Z」の意味は「彼は生きている」という言葉の象徴だったのです。テーブルの上にあるキャップが外された万年筆が時代を感じさせます。
 

海の記憶 土岐佳子 特選

 海から連想する色はブルーですが、ここでは赤と白という色で描かれています。確かに絵をよく見ると海の生物はかにやらタツノオトシゴ、小魚がいろいろと描かれていますが、その中に少女が横たわっています。この少女には海が死にかけているイメージが強いのでしょうか。

 

群像 野原都久馬 特選
多くの人が見とれていた一枚です。JR大阪駅を描いていますが、多分実際はこんなにコントラストは強くないでしょう。画面を引き締めているのは赤色の使い方です。地面を赤にすることで、大阪人のバイタリティというものがひしひしと伝わってきます。
 
大地の灯 倉澤洋子
 昨今テレビで見かけるCMのような構図です。
 
春を待つ 工藤彩 特選
 こちらも海の中を描いた作品です。作者のフィルターを通した目にはチョウチョウウオもモノトーンになってしまうのでしょうなぁ。
 
白い鳩 竹内恵利子 特選
 
共に歩む 鵜飼義丈 特選

 今年から日展の作品は大きさが制限されているそうで、大きな作品はありませんが、その分力作がそろっているような気がします。