名古屋芸術大学フィルハーモニー管弦楽団第4回定期演奏会 | geezenstacの森

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名古屋芸術大学フィルハーモニー管弦楽団

第4回定期演奏会

 

 

 1月の最終日は「名古屋芸術大学オーケストラ第4回定期演奏会」へ出かけてきました。プログラムはちょっと渋くて下記のような内容でした。

 

 

 声楽作品と交響曲というプログラムですが、小生、ちょいと野暮用があり開演の6時30分に少々遅れてしまいました。この6時30分開演というのは仕事持ちにはややハードルが高いもので、バスを一本乗り遅れるともう間に合いません。

 

 そんなことで、休憩までロビーで待機することに。まあ、普通のコンサートなら最初にオーケストラの小品が演奏されることで、その曲の終わりでもって会場に入れるのですが、今回はいきなり大曲のミサが演奏されたものですから、なんと30分以上もロビーで待たされることになりました。そして、実際に会場に着席して聴くことができたのは後半のドヴォルザークのみでした。

 

 でもって、今回はアンコールもありませんでしたから、コンサートは8時チョイ過ぎには終了してしまいました。こんなことならせめて後15分開演を送らせてくれればよかったのにと思ったものでした。

 

 小生のように開演時間に間に合わなかったお客さんは大勢いて、多分最終的には50名以上が前半のプログラムを会場に着席して聴けなかったのではないでしょうか。プロのオーケストラの名フィルはそういうことを考慮してか、コンサートの開演時間は6時45分になっています。さすがお客さんのことを考慮した配慮だと思います。こんご、このオーケストラがプロ化を進めるのならこういった点も含めて考えてほしいものです。

 

 そんなことで、感想はドヴォルザークの交響曲第8番についてだけになります。

 

 

 編成は弦が10-8-5-5-4という編成で2管編成の管楽器に比べるとやや弦の人数が不足しているかなという印象でした。しかし、小生の好みのブルーノ・ワルター/コロムビア交響楽団の演奏も実は弦は編成が小さいものなので、その点は気になりません。

 

 ワルターはこの曲をステレオで残しているということは、何か思い入れがあったのでしょうか。今回の高谷光伸氏の指揮ぶりは実はこのワルターの演奏を思い出させるものでした。第1楽章冒頭の冒頭のチェロとヴィオラで始まる魅力的な旋律はややゆっくり目に始まりますが、ちょっとクレッシェンド気味に膨らませメロディラインを強調していました。なかなか効果的な歌わせ方で、カラヤン/ウィーンフィルも似たようなことをやっています。そして、フルートのソロの後にはティンパニの強打とともに金管の強奏で一気に盛り上がっていきますが、この盛り上げ方もそっくりなアプローチでした。

 

 第2楽章は 静かな午後の野の風景といった印象の、やはりフルートが時折鳥のように鳴く親しみやすさがあり、思い出した激情 のような盛り上がりも見せます。ヴァイオリンの美しいソロも聞かれ、晴ればれとした輝かしさもあります。オーケストラはよく練習をしているようで、指揮者の指示に的確に応え、ソロもみごとです。金管も女性陣が多いのですが、メリハリのある響きで見事期待に応えてくれています。

 

 

 

 オーケストラの奏者にいわせると、この曲は3楽章が好きという人が多いようです。普通はおどけたスケルツォだったりするところなのに、一つ 前の緩徐楽章に加えてもう一つ歌うようなメロディーが聞けてお得感満載です。この一度聴いたら忘れない印象的な ワルツも憂いを含んでいます。そのためか今回の演奏でもこの3楽章に力点を置いた演奏でやや遅めのテンポで十分に旋律を歌わせていました。それが証拠に、指揮者も第4楽章が始まるまでに少し長いインターバルをとっていました。

 

 ワルターの印象と異なったのは第4楽章でしょうか。小生はこの曲で一番好きなのはこの第4楽章で、アレグロ・マ・ノントロッポの店舗をワルターはじっくりとした足取りで演奏しています。しかし、今回の演奏は普通のテンポで颯爽と駆け抜けていくというスタイルでした。微妙なテンポの違いですが、曲のイメージはかなり印象の違うものになってしまいます。そういう意味では、前半はなかなかすばらしいアプローチだったのに後半は個人的にはやや不満足な演奏と捉えてしまいました。参考までに、ワルターの演奏を貼付けておきます。

 

 

 指揮者とともに伸びしろのあるオーケストラですから、プロのオーケストラ目指してがんばってほしいものです。