LPの手帖 | geezenstacの森

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LPの手帖

 手元に「LPの手帖」なる冊子があります。年配の方なら1957(昭和三十二)年1月の創刊号以来、一1983年1、2月合併号までの26年間にわたって刊行された。クラシック音楽専門誌の『LP手帖』をご存知でしょうが、ここで取り上げるのは「LPの手帖」です。こんなA5版の104ページの冊子です。

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 200dpでスキャニングしているのでちょっと見にくいかもしれませんが、1年に1冊しか発行されていないキングインターナショナルのプロモーション冊子です。多分昨年の9月ごろタワレコで手に入れたと思います。要はキングインターナショナルが発売しているレーベルのLPカタログです。ただ、普通のレコード会社のカタログとちょっと違うのは安っぽい紙を使った印刷物ではなく、コート紙を惜しげも無く使い、すべての紹介レコードをすべてフルカラーで収録していることです。ALTUSやTOKYO FM、SPECTRUM SOUND」といったレーベルが紹介されています。

 さらに、表紙を見てもわかるように巻末に特集記事として「イギリス音楽の伝道者評論家三浦淳史とディーリアスの世界」と題した評論が30ページ以上にわたり掲載されています。これは氏の単行本著作物には未収録のもので、
・ディーリアス小伝
・楽曲ノート
・「海流」対訳
・三浦淳史略歴--仙波知司
という内容になっています。三浦さんは1923年生まれで1997年に亡くなられていますから、氏の著作にこの歳になって巡り会えるとは思いませんでした。レコード芸術に寄せられていたイギリス音楽に対する温かい視線は今でも忘れられません。

 この冊子はLPレコードのカタログに特化したものですが、さらに興味深いのはそれこそ、「LPの手帖」にふさわしい記事として、「カートリッジのダンパーと、重量盤の話」なるテーマの座談会が収録されています。レコードを聴かない人にとっては「ダンパー」とはなんぞや、ということになるのでしょうが、レコードの針はカンチレバーという針と一体になった金属のノズルを支える役目をしているゴムのことです。このダンパーは定期的に交換する必要があるのですが、使用品度によって寿命には差があるようです。

 小生の手元にあるのは「LPの手帖」の第2号ですが、これには前年に頒布された第1号があり、そこでは「カートリッジの針は磨耗しない」という衝撃の発言が飛び出していました。レコード全盛期にはサファイアの針は2~3000時間、ダイヤモンド針でも1万時間というのが一般的な試用期間と言われていましたが、それが交換する必要がないというのですから目からうろこです。

 といって、今更第1号は手に入らないし・・・・、と思っていたらなんとキングインターナショナルのHPにPDFで収録されているではありませんか。まあ、その言葉の真実はどうぞホームページで確認してみてくださいな。

キングインターナショナルのダウンロードページは以下のURLです。