口入屋用心棒37「御上覧の誉」 | geezenstacの森

geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

口入屋用心棒37「御上覧の誉」
 
著者 鈴木英治
発行 双葉社 双葉文庫

 寛永寺御上覧試合に東海代表として出場が決まったものの、未だ負傷した右腕が癒えない湯瀬直之進は、稽古もままならず、もどかしい日々を送っていた。続々と各地の代表が決まる中、信州松本で行われた信越予選では、老中首座内藤紀伊守の家臣室谷半兵衛が勝ち名乗りを上げる。だが、江戸では内藤家に仕える中間の首なし死体が発見され、内藤紀伊守の行列を襲う一団が現れた。不穏な気配が漂う中、遂に御上覧試合当日を迎える!人気書き下ろしシリーズ第三十七弾。---データベース---

イメージ 1

 前巻からの引き続きの剣術日本一を決める大会のん線のストーリーです。前回が東海地区の地ワウ大会だったので、江戸の動きは全く登場しなかったのですが、この巻は会場が芝の寛永寺ということで、少しは登場人物が増えて、そういう意味ではちょっとホッとします。

 久しぶりに口入屋の米田屋の主人に収まった平川琢ノ介が登場します。このシリーズのタイトルが口入屋用心棒なのですが、すっかり忘れ去られています。まあ、ここでも見せ場は左之助で、最後にまた将軍を救うという活躍が描かれます。この時、主人公の直之進は先の大会で右腕を負傷し、この巻では左腕を負傷して最後は見せ場を作ることができないのですからしょうがありません。

 結論から言って、湯瀬直之進はこのご上覧試合では優勝できません。ここで優勝してしまえば、もうこのシリーズの存在理由がなくなってしまうのですから当然でしょう。されが分かっていて読むのですから、このシリーズとの付き合いはもう惰性ですな。

 例によって、冒頭は敵役の室谷半兵衛の素性が描かれるということで、この巻のストーリーの流れは分かってしまいます。書店で立ち読みするなら、最初の4ページと最後の4ページを読めば、この本は事足ります。あとは子葉の付け足しにすぎません。まあ、救いはこちらも久しぶりに樺山富士太郎と珠吉が登場して、首なし殺人事件を追いかけるという展開があります。ただし、この事件は多分解決しないまま終わってしまうでしょう。どう見ても室谷半兵衛が関わっていそうな事件で、その首謀者が最後に殺されてしまうのですから・・・・それにしても、文中ではこの御上覧試合を平川琢ノ介も樺山富士太郎も見に行くということを語っているのに、そんなことはついぞありません。作者はがいかにこの小説を書きなぐっているかがわかろうというものです。

 ですから殺人事件は中途半端なままですが、もう一つ気がかりな事は秀士館の医学講師である雄晢がが品川に出かけたまま行方不明になっている事です。この事は未解決のまま次巻に話が続きます。

 まあ、続きは暇な時に読む事にしますか。