7月のセントラル愛知交響楽団公開リハーサル

7月4日は病院と「セントラル愛知交響楽団公開リハーサル」が重なったのですが、雨が幸いしてくれて、病院はかなり空いていました。早めに到着したこともあるのですが、いつもは午前中いっぱい掛かるのにこの日は何と10時には終了してしまいました。

そんなことで、車をかっ飛ばして名古屋から稲沢市民会館に出陣です。10時半の開始には10分ほど遅刻しましたが、今月も「マーシー山本教授のどえりゃあわかる!クラシック!!」の講義から参加することが出来ました。
今回のテーマはドボ8こと「ドヴォルザークの交響曲第8番の聴きどころ」でした。最近はそうでもないですが、この曲には「イギリス」というニックネームがついています。ただ単にイギリスの出版社から楽譜が出版されたことによるだけのことなんですが、このエピソードで日本では「イギリス」の愛称で呼ばれています。別に作曲者がネーミンクグしたわけでもないところはベートーヴェンの交響曲第5番「運命」と同じなのですが、ニックネームがあると無いとではディスクの売れ行きがかなり違うようでして、レコード会社の販促のためのネーミングといってもいいんでしょうなぁ。日本だけのことですがレコード時代には帯がついていましたし、CDでは肩カバーといってここにタイトルとかキャッチフレーズが日本語ででかでかと書かれていました。確かにカップリングで、「運命、未完成」、「悲愴、田園」なんて書かれていると目に飛び込んできます。
この講座では映像が使用されていて、今回はプレヴィン/ベルリンフィルとアバド/ベルリンフィルの2種類の音源で、この日の演奏曲目のドボ8の演奏が流されました。講師の山本氏はホルンの出身ということもあり、第1楽章冒頭のチェロとホルンの音のバランスの問題環取り上げていました。プレヴィンの解釈はチェロの響きにウェイトを置いたもので、ホルンは奥に引っ込んでいる演奏でした。カメラワークもチェロを主体に捉えていて、肝心のホルンはアップのないままでした。
アバドの演奏は在任時代もあまり興味がありませんでした。流されたのは第4楽章だけなんですが、このドボ8は押し出しの強いなかなかの力演で、アバドの演奏に久々に注目しました。
ちょいと時間が余ったところでは7月7日のプログラムからラフマニノフのピアノ協奏曲第2番も紹介されました。こちらは辻井伸行とファンホ・メナ/BBCフィルによる演奏でした。当日の演奏では岡田将氏が演奏します。

12時からの公開リハーサルに先立って、ホールのロビーでウェルカムコンサートが開催されました。この日はモーツァルトのホルン五重奏曲から第1楽章と第3楽章が演奏されました。この曲、五重奏の割には編成が変わっていて、第1ヴァイオリンにヴィオラ2、チェロ、そしてホルンという構成です。演奏は2挺のビオラの間にチェロが入るという形で演奏されました。これがまた実にいい演奏で、階段スペースで上から目線での鑑賞は音がわき上がるような印象で、室内楽の魅力を堪能出来ました。この日は、地元中日新聞の記者が来ていて写真撮影を行っていましたので、少なくとも尾張版には掲載されるのではないでしょうか。

左に立っているのが指揮者のスワロフスキー
リハーサルの予定は第1楽章と第2楽章がアナウンスされていましたが、1時間のほとんどが第1楽章のリハで占められました。されに先立ちこのコンサートでのアンコール局がドヴォルザークのスラヴ舞曲第15番から第10番に変更になる旨が伝えられました。まあ、最近は賑やかな曲で締めるよりもどちらかというとしんみりとした曲で終わるのが主体ですから、こういう選択になったんでしょうかねぇ。
さて、リハーサルは音楽監督のレオシュ・スワロフスキーのスピーチから始まりました。けっこう話し好きのようです。第1楽章の冒頭からワンセンテンスずつの演奏で細かい指示が飛びます。かなり弦のアンサンブルにウェイトを置いているようで、最初のチェロの入りから入念に何度もさらいます。どちらかというと管楽器に対してはあまり指示は出ません。そういう意味では弦楽が主体のアンサンブル作りがメインです。
ときには弦のセクションだけでリハーサルも組み込まれます。それも第2ヴァイオリンとヴィオラ、チェロという主旋律ではない部分のアクセントやフレージングの付け方の確認です。こういう内声部の響きが曲の厚みとか奥行きに影響しますから、チェコ生まれのスワロフスキーはそういう部分を大切にしているのでしょう。
第1楽章を通して聴いた感想では、曲のメリハリの部分ではややテンポを落として骨太の骨格で音楽を作り上げていく印象です。仕上げには50分ほどを掛けたことともあり、第2楽章は僅か10分のおさらいでした。第1楽章は金管がかなり活躍するのですが、第2楽章は休みということで管セクションは第2楽章のリハが始まると早々にステージから退席です。スワロフスキーは「なんだ、もうコーヒータイムかい」なんて言葉をかけておくりだしです。でも、残り10分とはいえ、冒頭からのアンサンブルに各弦のパートにバランスの細かい指示を出します。メンバーは必死にスコアにメモで書き留めています。しかし、時計を見て1時間経ったことを確認すると、ぴたっと指揮棒を止め終了を告知します。こういうところは非常にドライです。名フィルのリハでも同様ですが、これが仕事というものでしょう。音楽の世界は国際基準で動いています。

リハがおわっても、コンマスと打ち合わせ中です
次回は8月8日に公開リハーサルが予定されています。