archcello 溝口肇
曲目/
1.the view 4:08
2.B.M. -Bologna Milano 5:13
3.snowing sky 4:21
4.mikan 5:53
5.flying"R" 5:17
6.layer of notes 3:52
7.pantheon 4:11
8.Once -いつか遠い日 6:38
9.jazz mid cello 4:11
10.red earth 4:50
11.I feel you 4:19
12.extra 0:42
13.Mr. Lonely 3:47
チェロ/溝口肇
ビクター・エンタティメント VICL-61112

Tokyo FMの看板プログラム「JET・STREAM」のテーマ・ミュージック「ミスター・ロンリー」他、全曲書き下ろし新曲10曲を収録したオリジナルアルバムです。もともと溝口肇の音楽は癒しをテーマにした作品が主体ということで、昔はイージーリスニング、今はヒーリングミュージックに分類されることが多いのですが、ここでは、Vc.+Pf+Bassというミニマムな編成を見本にチェロ本来の深い響きを十分にアピールすることをテーマにした作品に仕上げています。
溝口肇は好きな作曲家でチェリストです。出会いは1980年代初めのVHSビデオデッキがまだ珍しい頃、そしてようやくオイルショックから立ち直りTVも深夜放送が復活しはじめたそんな中、ビデオ録画専用ともいうべき番組が放送されていました。4.5時間枠でCMも一社独占の松下だけで4.5時間すべて映画の予告編だけを集めた番組や東京コレクションだけを集めた番組などかなり特異な内容になっていたと記憶しています。
「録画チャンネル4.5」というフジテレビの番組でした。そんな中の一本に「東京幻想曲」と題された番組がありました。東京の風景を音楽とともに綴ったもので、下町の情景が会話とともにショートストーリー的にコラージュされていました。このバックに流れていたのか場面にぴったりマッチするチェロを主体とするインスト音楽で最後のクレジットでそれが「溝口肇」の音楽と知ったのです。彼の音楽との出会いはこのときが初めてで、これらの音源は発売予定が無いというコメントがが発表されていました。小生は残念に思い、録画したテープから音楽だけを抜き出してカセットに録音して聴いていました。
それからほどなくして「ハーフインチ・デザート」というLPが発売されたのを皮切りにこの時使用された音源が次々リリースされました。そこで、これらの作品が初めて日の目を見たのです。以後続々リリースされます。この番組で使われてのは以下の3枚のアルバムでした。
Haifinch Desert ファーストアルバム SRCL-3160 (1995) CD
水の中のオアシス セカンドアルバム SRCL-3161 (1995) CD
A Pretty Dance 3枚目のソロ SRCL-3162 (1995) CD
まあ、溝口肇との付き合いはその後ずっと続いています。このブログでも、「FAR EAST/世界の車窓から」や「Espace~溝口 肇 best」を取り上げています。
ここでちょいと溝口氏のプロフィールを。3歳からピアノ、11歳からチェロを始めています。東京芸術大学音楽学部器楽科チェロ専攻卒業していますが、学生時代から八神純子、上田知華とカリョウビン等のサポートメンバーを務め、大学卒業後スタジオミュージシャンとして6年ほどレコーディングに携わっています。
しかし、24歳の時に自身が起こした自動車事故によってムチウチ症となり、その苦しみから逃れるため「眠るための音楽」を作曲し始める。スタジオミュージシャンとしての経験から「眠るための音楽」は自分自身のソロ楽曲として書きためられ、これが上記の「東京幻想曲」に採用されます。そして、1986年『ハーフインチデザート』(Halfinch Dessert)でCBS SONYよりデビュー。以後、クラシック、ポップス、ロックなど幅広いジャンルで演奏・作曲活動を展開しています。
よく知られている作品には、映画音楽 やテレビ番組の音楽として用いられているものが多く、29年続いている番組「世界の車窓から」のテーマ曲はあまりにも有名ですね。この曲などもともとは番組のための短いテーマ曲でしたが評判になり、「FAR EAST/世界の車窓から」ではフルバージョンとして公開されました。また、日本たばこピースライト、ギャラクシ-企業イメ-ジのCMにも自ら出演し、多くの人々にその姿と音楽を、印象づけることになりました。
さて、このアルバム、コンセプトは「眠るための音楽」ですが、ゲスト・ミュージシャンにジャズ・ヴァイオリンの寺井尚子を向かえてのデュオを1曲披露していますが、どの曲かは聴いてのお楽しみです。このアルバムは2003年にリリースされていますが、ここにはボーナストラックとして2002年10月から担当しているtokyo FMのご長寿番組『Jet Stream』のテーマ・ソング「ミスター・ロンリー」を収録しています。レコーディングはローマのフォーラム・スタジオで行われており全体に透明感のあるサウンドになっています。