愛知県埋蔵文化財調査センター「春の埋蔵文化財展」2

文化庁は毎年「発掘された日本列島」という本を共同通信社から発行しています。この2017年版は6月に発行され、その内容に基づく展示会が昨年は愛知県でも開催され、安城市の「安城市歴史博物館」で11月18日から12月24日まで開催されていました。それには仕事で行く事が出来なかったので、この展示会を知ったときは喜びました。何しろ、平成29年度の発掘調査成果の展示会を、県内で一番最初に、ここ弥富で開催されるからです。
今回の特に注目すべき遺物は、設楽町マサノ沢遺跡で発掘された縄文時代の土偶です。直方体の胴体の部分が見つかっていて、この形から、顔がハート形になるハート形土偶と考えらているからで、それが公開されています。上のチラシの土偶のイラストがそれです。

人類が一般の動物と違うのは、火を自由に扱う事が出来るからです。そんな事で、展示スペースの正面には、火を扱う道具が展示されています。考えてみれば、江戸時代でも火打石や火打金を使っていたのですから原始人とそんなに違いはなかった訳です。



さて、これが発見された土偶の一部です。

この展示、回転していて文様が両面についている事が確認出来ます。


これが発掘されたときの状態写真です。

石器が色々と出土していて、この遺跡が石器時代のものという事が良く分かります。

こういう土器で出来た棺も発見されています。

館内は写真撮影は自由です。この復元遺物の写真は、係の人がガラスケースをオープンにしてくれたので、ダイレクトに写す事が出来ました。ジクソーパズルのように破片をくみ上げるのは根気のいる仕事です。




異なる文様の土器が一度に出土した珍しい例です。縄文式土器も色々なパターンがあるものです。



新たに発見された遺物です。

常設展も見応えのある展示です。特に石の道具の歴史はこれも道具を使うのは人類の証ですから貴重な展示です。ただ、こちらの展示は入館時には照明も落とされていてまともに見る事が出来なかったので、時間を経て再度見学をしました。





石器の材料として使われた石は「サヌカイト」、「黒曜石」は知っていましたが、「ハイアロクロスタイト」、と「下呂石」がある事は今回初めて知りました。物の本では、九州・山陰では黒曜石(こくようせき)、瀬戸内海沿岸ではサヌカイト、中部・関東では黒曜石、東北では頁岩(けつがん)、北海道では黒曜石といったように、地域によって違う石材を用いているとかかれていますが、下呂石は登場しません。まあ、サヌカイトが讃岐石ということから、下呂石と呼ばれるのでしょう。中部地方に広く分布しているようです。実際良く似ています。

ここでは石の性質を学ぶ事が出来ます。

考えてみれは宝石なんてみんな石ですからねぇ。


砥石や硯石です

こちらは石臼です。

文字を書く石板

現在でも使われる印章や碁石、そして石の置物

寺院と石柱は切っても切れない関係がありますね。

石塔にはこういう違いがあるというのもここで学べました。
歴史、考古学に興味のある人は訪れて損はありません。