ジョン・バリー・コレクションーズール戦争他

FAT BOY RECORDS FATCD418

監督: サイ・エンドフィールド
音楽: ジョン・バリー
出演: スタンリー・ベイカー、ジャック・ホーキンス、マイケル・ケイン、ウーラ・ヤコブソン、ジェームズ・ブース、ナイジェル・グリーン
1964年 パラマウント映画
一時期、ジョン・バリーのサントラ盤を好んで集めていました。ただ、CD時代になってからはジョン・ウィリアムズに話題を持っていかれたか、このイギリスのジョン・バリーは殆ど注目されませんでした。ということで、日本盤のCDは期待出来なかったのでせっせと輸入盤をあさっていて見つけたのがこの4枚組のアルバムでした。
その中の一枚に、この「ズール戦争」のサントラが含まれていました。この映画は、19世紀、植民地支配化の南アフリカでイギリスの統治に反発するズール族とイギリス軍の死闘を描いた史劇ものです。これは史実に基づく作品だそうで、4000人のズール族と100名足らずのイギリス軍守備隊との戦いを迫力の映像で描いています。この音楽を書いたのがジョン・バリーでした。
当時ジョン・バリーは、既に007の映画で名を知られていました。1964年というと007ものも第3作の「ゴールドフィンガー」と同時期の作品です。007でもかなりシンフォニックな作風を披露していましたが、ここでは打楽器によるアフリカ大陸を感じさせるリズムと金管の分厚いサウンドが冒頭を飾ります。
1964年の6月には日本でも公開されていたようですが、全く記憶にありません。この時代ですからサントラ盤なんて発売されていないでしよう。映画自体は135分の大作で、日本ではパラマウントが配給していました。
ビデオで鑑賞しましたが、今の戦争もののように血しぶきが飛んだり、首が飛んだりはしませんが、脚本と演出の素晴らしさで最後まで飽きさせません。所謂植民地主義時代の映画で、舞台は1877年の南アフリカです。銃剣を付けた単発ライフルで、押し寄せるズール族と闘ったイギリス兵の恐怖とそれを克服する勇気はほんとすごいと感じました。当時は単発式の銃ならではの3列撃ちも見ることが出来、当時の射撃法を知る上でなかなか興味深いものがあります。
その一方で、裸同然の格好で槍と盾だけで突進してくるズール族の勇敢さもみものです。アメリカインディアンのように馬で突撃する訳でなく、駆け足で突進するのみです。戦国時代の歩兵の突進とだぶってしまいます。
ただ、このアルバム、LPでいえばB面にあたる部分はサントラとは関係の無い音楽が収録されています。今でいえばインスパイアー作品とでもいうものでしよう。一応テーマは使っていますが、時代を反映してかロックアレンジのポップサウンドです。CDでは「SELECTION OF ZULU STAMPS」として収録されています。
手持ちのCDはFAT BOY RECORDSという所から発売されたもので、このCDは4枚組の一枚です。不思議なセットで、もう一枚日本未公開の1965年の作品「FOUR IN THE MORNING」
のサントラも収録されています。
3枚目はジョン・バリー・オーケストラによる演奏ものですが、曲目からして「ロンドンのエリザベス・テイラー」(1963)が含まれていることから、その当時のアルバムでしょう。
4枚目はプロデューサー兼アレンジャーとして活躍していた頃のソースから、スティーヴ・キャシディ、フィリップ・ローリー、チャド・&ジェレミーとの共演が収録されています。また、アニー・ロスのアルバムはバリーがプロデュースしたものです。当時のアルバムにはクレジットされていませんが、こういうアルバムの制作にも携わっていたのですなぁ。改めて、彼の才能の多彩さに感服です。