クラシック大学-The Great Hisotry Of CLassical Music | geezenstacの森

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クラシック大学-The Great Hisotry Of CLassical Music

制作 : ソニー・ミュージックハウス

各巻に、12cmDISC3枚、 8cmDISC1枚(特別講義収録)

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  2月に豊橋の友人宅を訪れた際に、ソニーから発売されていた「クラシック大学」という中古CDセットを借りてきました。制作年は分かりませんが、1997年頃のものではないでしょうか。通販用の商品で、一般ルートには流れていなかったようです。全部で10巻のセットですが、友人の嗜好で第10巻の近現代2は購入しなかったようです。

 発売元は「ソニー・ミュージックハウス」ということで、メインはソニーの音源を使っていますが、オペラなど弱いレパートリーは一部EMIの音源を使っています。巻数でいうと第2巻と第6巻です。モーツァルトのオペラはフィガロとドン・ジョヴァンニがジュリーニの指揮、魔笛がハイティンクのものが収録されています。そして、第6巻のイタリアオペラ編ではマリア・カラスの音源が収録されています。ということはモノーラルも含まれているということですな。各巻の構成は以下のようになっています。

1巻 : クラシック音楽の誕生からバロック音楽へ
①グレゴリオ聖歌からバロック音楽へ ②バロック音楽の完成者・バッハ ③交響楽の父・ハイドン
 
2巻 : 古典派音楽(1)
①モーツァルトの旋律美 ②モーツァルトの交響曲と協奏曲 ③モーツァルトの三大オペラ
 
3巻 :古典派音楽(2)
①ベートーヴェン・運命 ②ベートーヴェン・第九 ③ベートーヴェン・三大ピアノ・ソナタ
 
4巻 : 前期ロマン派(1)
①ロマン派の先駆者・ウェバー ②古典的ロマン派・シューベルト ③シューベルトの三大歌曲
 
5巻 :前期ロマン派(2) 
①ピアノの詩人・ショパン ②ロマンの陰影・シューマン ③管弦楽法の父・ベルリオーズ
 
6巻 :後期ロマン派(1)
①ワグナーの「楽劇」 ②イタリア・オペラの頂点・ヴェルディ ③プッチーニの叙情
 
7巻 :後期ロマン派(2) 
①ブラームスの形式美 ②ワルツ王・シュトラウス ③ロマン派の頂点・マーラー
 
8巻 :後期ロマン派(3)  
①〈悲愴〉と三大バレエ・チャイコフスキー ②ロシア国民楽派・ムソルグスキー ③ボヘミアと北欧・ドヴォルザーク
 
9巻 : 近現代(1)
①ドビュッシーの印象主義 ②最後のロマン派・シュトラウス ③20世紀のロマン主義・シベリウス・ラフマニノフ
 
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 ソニー中心のボックスセットは他のものでもそうですが、大体アーティストが限られていてそれをとっかえひっかえしてセットに組み込んでいますから、あまり新鮮みというものが感じられません。このセットでは第1巻に系列のヴィヴァルテのソースをつぎ込んでいますが、ソニー=グールドという図式で、バッハの鍵盤作品は全てグールドの演奏が使われています。オルガン作品はニコラス・ダンビーの演奏で「トッカータとフーガ」が収録されていますが、不思議なことにコラールやアリアはダンビーの録音があるにも関わらず、オルガン演奏ではなく、オーマンディ/フィラデルフィアのオーケストラ編曲ものが収録されています。また、バッハ偏重ということでもないのでしょうが、ヴィヴァルディは四季から第1曲の「春」だけ収録されています。

 このセットではオーケストラものはバーンスタインが中心で、セルの演奏はモーツァルトとシューベルト、ドヴォルザークなどに限られ、オーマンディは先のバッハとヨハン・シュトラウスのワルツものという寂しさです。また、ワルターの演奏は一つも収録されていないという残念な内容です。

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 ただ、このセットには大学と謳われているようにおまけのような形で、8㎝CDで特別講義が収録されています。これは故黒田恭一氏と浅里公三氏の対談が収録されています。まあ、内容は他愛の無いもので、収録曲の紹介が中心となっていますが、作曲家の時代背景や人となりもエピソードを交えて紹介しています。

 1990年代の時代背景もあるのでしょうが、ブルックナーは交響曲第4番の第1楽章だけなのに対して、マーラーは交響曲第1番プラス5番のアダージェットが収録されています。ソニーの音源だとこうなってしまうのでしょうかねぇ。

 そうはいっても代表的な曲を体系的に、ちよっと講義を聴きながら鑑賞するというスタイルは斬新で興味を引かれるものがありました。これを既存の出版社がもう少し内容を充実させて書店ルートで販売していたらもっと評判になったのではないでしょうか、通販専用の企画で終わったのが惜しいですね。
 
 そうそう、音楽CDは「SONY CLASSICAL」のロゴが使われていますが、8㎝CDはCBS時代のソニーのロゴが使われています。レコード世代の人間にとってはこちらの方が親しみがあります。