「レット・イット・ビー」のレコード販促ポスター
整理していたら、映画「レット・イット・ビー」のポスターが出てきました。学生時代は映画を見た時にはせっせと、サントラレコードを筆頭に、関連するチラシやポスター、パンフレットを集めていました。それらは今ではオークションで殆ど処分してしまい、ほぼ手元に残っていないのですが、どうしたことか、この「レット・イット・ビー」のポスターだけは巨大なSLのポスターの中に紛れ込んでいて処分を免れていたものです。
サントラの書庫で、2014年にこの映画「レット・イット・ビー」のサントラは取り上げているのですが、その時点でもこの映画の正式なDVDが発売されていないことを書いています。そして、噂は色々流れていますが、2018年の今現在もこの「レット・イット・ビー」の正式な発売はなされていません。
ビートルズの映画は何本も公開されていますが、後にも先にも、劇場に足を運んで見たビートルズ映画はこれ一本だけでした。それが幻の映画になるとはつゆにも思いませんでした。そして、サントラ盤は輸入盤で所有していますが、このポスターは国内盤のものです。多分、販促で作られたものでしょうが、今となっては貴重です。
さて、以下の記事は2014年に書いたものの再録です。
{{{ 年代からいってビートルズ世代なのでしょうが、小生はいたってクールな目でしかビートルズを評価しません。で、ビートルズのアルバムを最初に購入したのはこの「レット・イット・ビー」でした。それも、純粋にビートルズのアルバムとして購入したのではなく、サントラ盤として購入したのです。ジャケットには一言も「オリジナル・サウンドトラック」と表記はありません。まあ、実際のところフィル・スペクターがオーケストラ伴奏やらコーラスを付け加えていますから本当の意味でのサントラでは無いのかもしれません。ですが、小生の中ではれっきとしてサウンドトラックです。というのも、劇場で公開された映画「レット・イット・ビー」をリアルタイムで観ているからです。後にも崎にも、ビートルズの映画で映画館で観たのはこの作品だけです。付け加えるならば、この作品は国内ではビデオもDVDも発売されていません。海外では一時RCAからビデオやレーザーディスクが発売されたようですが、クレームが着き直ぐに四条から消えてしまいました。そういう意味では、未だに幻のビートルズ映画という事になります。ただ、海賊盤としてはアンダーグラウンドで販売されています。以前はYouTybeにも映像がアップされていましたが今はすべて削除されているようです。
さて、このアルパム、ビートルズの最後のアルバムとしてサントラとしてではなく通常のビートルズの作品としてリリースされました。小生が所有するのはその初期のアメリカ盤です。イギリス盤と初期の日本盤は「THE BEATLES GET BACK」と題された写真集が付属してい多様ですが、アメリカ盤は見開きジャケットの内側にその抜粋の写真が9点掲載されているだけで、何の説明も無い簡素なものです。レコードのマトリックス番号を確認するとA面が17500-14#5 、B面が 175001-14#6となっています。また、珍しいPhil+Ronnieという人名らしい刻印があります。一体何の意味があったのでしょうかね。さらに手書きで sf のサインとアンテナのようなマークがあります。このマークはキャピトル・レコードのウィンチェスター工場でプレスされたレコードに付けられるマークですから、 レコード会社はAPPLEでもキャピトルでプレスされたものでしょう。
しかし、同じように見えても細かい違いがいくつかあります。まず目につくのは、UK盤にはあった4人の写真の白い縁取りが、US盤ではなくなっていることです。クレジット関係では、まずプロデューサー、フィル・スペクターの記載が、 UK盤では「Phil Spector」となっているのに、US盤では「PHIL SPECTOR」とすべて大文字になっています。 写真の下の「Thanks to~」の部分に、UK盤にはない「Harold Seider」氏の名前が加えられています(って、だれなんだろう?)。リンゴのマークはUKファースト・プレスと同じ赤リンゴですが、その下のレコード会社のクレジットの部分に 「An abkco managed company」の名が追加されています。US盤のレーベルにはA面B面ともに、「Reproduced for disc by PHIL SPECTOR」というクレジットが入っています。小生の所有するレコードが初期盤と分るのはファースト・プレスはSide-1最後の「Maggie Mae」の作曲者のクレジットが 「P.D. arr. Lennon; McCartney; Harrison; Starky」になっているそうで、まさにその表記になっています。後期盤はこの部分が単に、単に 「P.D.」と記載されているそうです。
さて、ビートルズのアルバムはなかなか意味深なところがデザインに隠されています。ポール死亡説が噂された「アビー・ロード」が一番話題になりましたが、この「レット・イット・ビー」もジャケットからして最後にふさわしいデザインで、遺影を思わせる黒縁の写真に、四つ枠に区切られた4人のポートレイトがあしらわれています。しかもポール以外の3人は同じ方向を向いており、ポールだけが正面を向いているという象徴的な構図で、ポールの孤独を暗示しているように勘ぐられます。内容の方は、ポールの想いの詰まったアルバムといえます。第1曲の「Two Of Us」からジョンへの想いが満載です。二人少年時代の思い出を紐とき、なんとかあの時へ帰りたいという願いに満ちています。しかし、彼らの話を抜きにしても、なんとも哀愁があり、爽やかさもある名曲となっています。
映画としての「レット・イット・ビー」は様々な曲が演奏されていますが、アルバムにはそのほんの一部のフルコーラスで歌われたものしか採用されていません。映画のクライマックスはよくいわれる「ルーフ・トップ・コンサート」でしょう。映画プロジェクトの元々の構想では最後にライヴ・ショー(1966年8月29日にサンフランシスコのキャンドルスティック・パークで最後のツアーを終えてから初の公式なライヴ・パフォーマンス)で終わるというものであったようです・それがメンバーの意見が紆余曲折して、最終的にアップルビルの屋上でのライブという形に落ち着いたようです。ここで演奏されたのは、「ゲット・バック」、「ドント・レット・ミー・ダウン」、「アイヴ・ガッタ・フィーリング」、「ワン・アフター・909」と「ディグ・ア・ポニー」です。しかし、ゲット・バックはライブの最初と最後の2回演奏されています。ところが、2階目のゲット・バックのとき、この時点で近隣の住民から苦情があったということで、警察が屋上に現われ「音を下げろ」と警告したため、マル・エヴァンスがジョージとジョンのアンプを切ります。しかし、接続を確認し、アンプが切られたことに気付いたジョージが電源を入れ直し、それを見たマルはジョンの電源を入れ直すのです。そのシーンがこちらの映像では残っています。ひょっとすると削除されるかもしれませんからお早めにどうぞ。
この「Get Back」、これはジョンとヨーコに向けた直球のメッセージソングでしょう。最初はジョンにBeatlesに帰ってこい、と。次はヨーコにニューヨークの芸術村へ帰れと。しかし、こんな曲を当の二人を前にして、よく堂々と歌えるなと思ってしまいます。しかも映像で確認すると、ジョンは必死になってギターソロを取っていますからね。

ジャケットのインナー写真。左の写真を見ると、映画『レット・イット・ビー』冒頭の、トゥイッケナム・フィルムスタジオの寒々としたシーン
さて、何はともあれ、「レット・イット・ビー」です。 }}}