今年最初のオペラは「愛の妙薬」 | geezenstacの森

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今年最初のオペラは「愛の妙薬」

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 寒い一日でしたが、18日の日曜日は今年初めてのオペラ「愛の妙薬】を楽しんできました。「愛の妙薬」はガエターノ・ドニゼッティが作曲、1832年に初演された全2幕からなる喜劇的オペラで
す。ドニゼッティは多昨夏で生涯にオペラを70曲程書いていますが、今でも知られてるのはこの作品と、「ドン・パスクワーレ」「ランメルモールのルチア」、「連隊の娘」ぐらいでしょうかね。小生もこの作品、アリアの「人知れぬ涙」で知っていた程度で、全曲などー聴いたこともありませんでした。

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 今回も学生が主体となった公演でしたが、ベルカント・オペラの醍醐味を楽しむことが出来ました。このオペラ、名作ですが、わずか1ヶ月程で間に合わせ的に作曲された作品です。名曲とは得てしてこうやって生まれるものなんでしょうなぁ。そういう早書きの作品ですから登場人物は至って少なく、その為にアリアがよけい引き立つているのかもしれません。

アディーナ - 美人で頭も良いが、ちょっと高慢な富農の娘(ソプラノ)
ネモリーノ - 単純で間抜けな貧農、アディーナに想いを寄せている(テノール)
ベルコーレ - 若くて野心満々の軍曹(バリトン)
ドゥルカマーラ博士 - 口の達者なインチキ薬売り(バス)
ジャンネッタ - 村娘。事情通のうわさ好き(ソプラノ)
村の若者たち - 合唱

 とまあ、合唱の人数を絞り込めば20名足らずで上演出来ます。それでいて、名アリアがちりばめられていますから人気があるのでしょう。

 音楽はピアノの伴奏だけというシンプルさです。いわば、コレペティトゥア上演みたいなものですな。これだと本当に舞台に集中出来ます。キャリアという点では学生は及びませんが、設定の若い恋人という部分では学生による上演の方がぴったり来ます。先の「人知れぬ涙」でも、パヴァロッティの熱唱が映像で残っていますが、とても、若い恋人同士で語り合うアリアというイメージとは一致しませんからねぇ。



 第1幕が約1時間、第2幕が55分と公演としてはちょうど良い長さです。今回も第1幕と第2幕とは主役が入れ替わるという構成でした。ベルカントが聴きものという点では、第2幕の方が出来が良かったように感じます。

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 主役のネモリーノが声を張り上げる肝心の所がオペラ歌唱から完全に地声になってしまっていたのはちょいと残念でした。第2幕の古屋彰久さんは声量といい、演技といい抜群のセンスでこのオペラを非常に魅力のあるものにしていました。そういう意味でははまり役で、「人知れぬ涙」が生きていました。女声人では前回の「コシファン・トゥッテ」でも安定していたアディーナ役の山崎千裕さんが光っていました。そして、なんといっても、全体を通してこのオペラを引き締めていたのはいかさま薬売りのドゥルカマーラ博士役の堀内紀長さんでしょう。

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 物語としては「トリスタンとイゾルデ」をベースとした三角関係の他愛の無い恋物語ですが、音楽が付くとドラマチックになるという典型のオペラでした。秋の次回公演が待たれます。

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