ニール・ダイヤモンド/愛のたそがれ(You Don't Bring Me Flowers)
曲目/
A1 The American Popular Song 5:14
A2 Forever In Blue Jeans 3:37
A3 Remember Me 5:02
A4 You've Got Your Troubles 3:52
A5 You Don't Bring Me Flowers Vocals [Duet With] – Barbra Streisand 3:15
B1 The Dancing Bumble / Bee Bumble Boogie 4:53
B2 Mothers And Daughters, Fathers And Sons 4:08
B3 Memphis Flyer 3:10
B4 Say Maybe 4:06
B5 Diamond Girls 3:32
パーソネル
vocal/Neil Diamond
guitar/Richard Bennett, Doug Rhone
bass/Reinie Press
keyboards/Tom Hensley
Symthesizer,piano/Alan Lindgren
drums/Dennis St. John
percussion/King Errisson, Vince Charles
background vocals/Linda Press, Doug Rhone, Gene Morford, H.L. Voelker, Jon Joyce, Julia Waters, Maxine Waters, Ron Hicklin, Tom Bahler, Venetta Fields
編曲、指揮/Alan Lindgren,Tom Hensley
録音/1978 チェロキー、サンセット・サウンド、A&Mスタジオ、インディゴ・ランチ
P:Bob Gaudio
E:Bill Schnee
Columbia FC39425

ニール・ダイヤモンドをご存知でしょうか。来日したことの無いビック・アーティストです。そんなことで、日本での人気はイマイチです。1941年1月24日生まれですから、間もなく76歳になろうとしています。しかし、現役のシンガー・ソングライターで、近年でも精力的に全米やイギリスでコンサート・ツアーを行っています。ウィキによるとビルボードチャートの歴史上で、最も成功したアダルト・コンテンポラリーのアーティストとして、エルトン・ジョンとバーブラ・ストライサンドに次いで3位にランクされているそうです。クリフ・リチャードといいニール・ダイアモンドといいこの元気には脱帽です。彼のヒット曲には、「スィート・キャロライン」、「クラックリン・ロージー」、「ソング・サング・ブルー」、「クランチー・グラノーラ組曲」などなど枚挙にいとまがありません。この中で、スィート・キャロラインは前駐日大使のキャロライン・ケネディを歌ったものです。
シンガー・ソングライターと書きましたが、1960年代のモンキーズのヒット曲「アイム・ア・ビリーヴァー」を書いたのもこのニール・ダイヤモンドでしたし、クリフ・リチャードのヒット曲「燃ゆる乙女」も彼の作曲になるものです。ニールのバージョンで聴いてみましょうか。
ご多分に漏れず彼を知るきっかけとなったのは1974年に公開された映画「カモメのジョナサン」でした。これのサントラを書いたのがこのニール・ダイヤモンドでした。それまで、スィート・キャロラインでかろうじて名前は知っていましたが、こういう才能があるのかと興味を持った次第です。ポップス・シンガーを知る機会も映画が原点であったのです。「カモメのジョナサン」は映画は転けましたがサントラははるかに売れました。この中の「ビー(生きる)」や、「ディア・ファーザー」、「スカイ・バード」なんかは単独でヒットしたものです。そんなこともあり、手に入れたのがこの「You Don't Bring Me Flowers」というアルバムです。
当時はただジャケットにニール・ダイヤモンドの名前を見つけただけで購入した物です。どんな曲がヒットしていたなんかは知りません。ジャケットの裏面はただ曲名が書いてあるだけです。しかし、その最後に「You Don't Bring Me Flowers」とあり、バーバラ・ストライザントとのデュエットという但し書きが書いてあります。で、増々興味がわきました。素晴らしいラブ・バラードです。どうも検索すると日本語のタイトルは「愛のたそがれ」となるようです。歌詞の内容は確かに愛の破局を歌っています。
(女)
You don't bring me flowers あなたは私に花もくれない
You don't sing me love songs 愛の歌も歌ってくれないの
(男)
You hardly talk to me anymore 君は僕にほとんど口も聞いてくれない
When I come through the door 僕がドアを開けて入って来たとき
At the end of the day あの別れの日に
(女)
I remember when 私はあの頃を思い出すの
You couldn't wait to love me あなたは私を愛するのをいつも待ちきれなかった
Used to hate to leave me 私を一人にしておくのを嫌がったものだったわね
Now after lovin' me late at night そう、夜更けに私を愛したあとは
(男)
When it's good for you, babe それが君の好みだったときはね、ベイビー
And you're feelin' alright そして君はそれで十分だと満足していた
(女)
Well, you just roll over そうだったわね、ただ、あなたは体を回して
And turn out the light そして灯りを消してくれた
And you don't bring me flowers anymore でも、もう、あなたは花さえくれないのね
とまあ、こんな調子で歌われています。実はこの曲、ニールの前作のアルバム「I'm Glad You're Here With Me Tonight」に含まれていた曲です。そこではソロで歌われていたようですが、バーバラ・ストライザンドがこれを「ソングバード」というアルバムでカバーしました。それをケンターッキー州のルイビルのラジオ局のディレクター、ゲイリー・ガスリーが2人の曲をミックスし、仮想デュエット版として放送したところこれが人気となり、実際に2人はデュエット版を録音して発売したという訳です。これは1978年ナンバーワンヒットとなり、3回目の全米No.1に輝いています。それが、次のこのアルバムに収録され、あやかってタイトルも「You Don't Bring Me Flowers」となった次第です。
勿論、当時はそんなことは知るわけがありません。LPではこの曲はA面の5曲目に収録されています。トップは「American Popular Song」というストリングスで開始される曲です。何処となくカントリーっぽいナンバーですが中々ポップな曲です。
2曲目が、もっとカントリーっぽい「Forever in Blue Jeans」で、個人的にはこの曲がこのアルバムの中では一番好きです。それはいまでも、普段着のパンツはブルー・ジーンズだそうです。丈夫で長持ちというのはありがたいものです。別に特定のメーカーを意識していなかったといいますが、GAPを想定して書いた曲だそうです。こちらの曲も、「愛のたそがれ」に続いてシングルカットされましたがヒットしませんでした。「カモメのジョナサン」ではブレークしたニール・ダイヤモンドですが、それから4年後のアルバムということで日本ではそれほど話題にはならなかったようです。いい曲なんですがね。まあ、聴いてみて下さい。
Money Talks お金はしゃべります
But it don't sing and dance けど歌ったり踊ったりはしません
And it don't walk そして歩いたりもしません
As long as I can have you here with me 僕が君とここでいられる限り
I'd much rather be 出来ればそうしたい
Forever in Blue Jeans ブルージーンズを永遠に履いて
Honey is sweet 蜂蜜は甘いものです
But it ain't nothing next to baby's treat けどそれは赤ちゃんの授乳食の次ぐらいでしかありません
And if you'll pardon me そしてお赦しくださるなら
I'd like to say 僕は言いたい
We'd do okay 僕らはそう、OKなんだ
Forever in Blue Jeans ブルージーンズで永遠に
Maybe tonight 多分今夜
Maybe tonight by the fire 多分今夜、火のほとりで
All alone you and I 君と僕は二人だけ
Nothing around but the sound Of my heart and your sighs 僕の心臓の音と君のため息しか何も無い
B面の「The Dancing Bumble Bee / Bumble Boogie」はリムスキー・コルサコフの「熊ん蜂の飛行」のリズムにのせたナンバーです。ですが、何処となくドリフターズの「ズンドコ節」に聴こえるので笑っちゃいます。こういう曲が満載のアルバムです。でも、国内盤CDはありません。
どうです、楽しいでしょ。どうして日本のプロモーターがニール・ダイヤモンドを招聘しないのか不思議です。ぜひとも来日してほしいアーティストです。ニール・ダイヤモンドは自身で著作権を保有するアーティストの一人です。同様のアーティストに、ポール・サイモンやビリー・ジョエル、ピンク・フロイド、クイーン、ブルース・スプリングスティーン、ジェネシス、ジョニー・リヴァーズなどがいます。現在の彼の音源の発売窓口は自身のHPで確認すると「キャピトル」のようで、ビートルズと同じように版権はユニヴァーサルが持っています。