アカペラ・カンタービレ・クラシックス
曲目/
1.歌劇「天国と地獄」序曲 2:05
2.G線上のアリア 2:22
3.交響詩「わが祖国」より「モルダウ」 5:05
4.野ばら 1:21
5.カノン 5:49
6.愛の挨拶 2:10
7.交響曲第5番「運命」 0:57
8.カンタータ147番より「こころに主イエスを」 3:41
9.ピアノソナタ第14番ハ短調Op.27-2「月光」 3:43
10.カルメン 1:10
11.ピアノソナタ「悲愴」第2楽章 3:26
12.ヴァイオリンソナタ「春」〜第1楽章 1:35
13.ペトルーシュカからの3楽章より第1楽章「ロシアの踊り」 1:08
14.アヴェマリア 2:55
15.ボレロ 5:05
演奏/瀬川忍
録音/2007
Real Blue Label RBAN-0715

コーラス・グループ、Baby BooのShinobuこと瀬川忍によるクラシック・カヴァー・アルバムだそうです。といっても、これは貰い物なので今まで全然知りませんでした。友人からメールで、面白いから聴いてみて下さい、と紹介されたCDです。調べてみるとインディーズの発売という事で、一般には殆ど流通していないようです。ネットで検索しても、取扱いがあるのはAmazonと楽天市場だけでした。このアルバムの凄いのは、バッハの「G線上のアリア」やベートーヴェンの「運命」など、クラシックの名曲を多重録音によるひとりア・カペラで披露しているという画期的な作品ということです。最初聴いた時は、日本のアカペラも遂にスゥイングル・シンガーズを超えた!!と思ったほどです。個人的にもアカペラは好きで、以前にもタイム・ファイブの「A CAPPELA/TIME FIVE」を取り上げています。
下はYouTubeで探した瀬川忍のモーツァルトのひとり「トルコ行進曲」です。
彼はコーラスグループの「Baby Boo」としても活躍していますが、一人アカペラはそれよりも遥かに聴きごたえのある演奏が展開されている事が伺えます。グループとしては5枚のオリジナルCDと8枚以上のカバーアルバムを発売しています。
で、このアルバムは彼が一人で遊び半分で作ったアルバムといえます。スイングル・シンガーズの場合はクラシックと言ってもバッハやモーツァルト、あっても大半が古典止まりですが、ここでは冒頭の「天国と地獄」から楽しめます。
これを一人でやっているのですから驚異です。根本は一人ですからいくらハモッテも声の質は変わらないという事ではサウンドが澄んでいます。これがこのアルバムの一番の特徴でしょう。グループとなると本当に上手いグループ以外は音に雑味が入って聞いていて座り心地が悪い事があります。欠点といえば、音の幅の変化が乏しいという事で、アレンジが上手くいっていないと平板な演奏になってしまう事です。
ところで、本来の「アカペラカンタービレクラシックス」は複数の合唱団として活動しています。YouTubeにはそちらの演奏がかなりアップされています。このアルバムが発売されたのは2007年ですが、それらの曲目を見るとこのアルバムの実験が実際のコンサート活動のベースになっている事が分ります。ただし、個人的にはこれらの音源は演奏者個人々〃には楽しいかもしれませんが、あくまでもアマチュアレベルという程度で、第3者が聴いてもそれほど面白いとは思えません。
その例が「ボレロ」でしょうか。
足音がうるさすぎて肝心の音楽が忘れ去られています。でも、アルバムのボレロは圧巻です。
お気に召しましたでしょうか。こういう演奏が15曲たっぷり楽しめるアルバムです。しかし、インディーズという事もあるのでしょうが、このアルバムデザインでは中身が何だか分りません。そんなことで注目もされていないのでしょう。