ベルリンフィルのワルトヴューネコンサート | geezenstacの森

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ベルリンフィルのワルトヴューネコンサート

ベルリン・フィル
ワルトビューネ・コンサート2017
<曲 目>
シューマン/交響曲 第3番 変ホ長調「ライン」 
 ワーグナー/
楽劇「ラインの黄金」から「ワルハラ城への神々の入場」
楽劇「神々のたそがれ」から
      「ジークフリートのラインの旅」と「ジークフリートの葬送行進曲」 
楽劇「ジークフリート」から「森のささやき」
楽劇「ワルキューレ」から 「ワルキューレの騎行」   
<アンコール>
楽劇「トリスタンとイゾルデ」から「愛の死」
歌劇「ローエングリーン」から第3幕への前奏曲
パウル・リンケ/ベルリンの風 

<出 演>
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:グスターボ・ドゥダメル、ダニエル・シュタブラーヴァ

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 今年のテーマは「シューマンとワーグナー」。毎年行われるこのコンサートは7月1日におこなわれました。この日はあいにくの雨だったようで、傘をさしたり、レインコートを着ての鑑賞となったようです。指揮は、ベネズエラ出身の「音楽で子供達を貧困と犯罪から救うためのエル・システマ」から誕生した若き天才、グスターボ ドゥダメルが登場しました。ドゥダメルがこの野外コンサートの指揮を行うのは今回で何と3回目ということです。なお、2017年のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートで注目を集めた俊英ドゥダメルが、ベルリンでも活躍ということになり、まさにドゥダメル旋風がヨーロッパを席巻しているといった感があります。

 テーマにシューマンが上がっているとはいえシューマンは冒頭の交響曲第3番の「ライン」だけでした。そんなこともあり、メインがワーグナーの「リング」の管弦楽曲であった事は明らかです。2015年にパリでシモンボリヴァルSOとワーグナーを演奏しているのですが、冒頭がベートーヴェンの交響曲第5番であったのが違うだけでワーグナーはほぼ同じでした。その演奏がこちらです。


 このプログラミングを見ると、今回のプログラミングはドゥダメルの希望が通ったという様な気がします。上のコンサートとの違いは、最後のローエングリーンの第3幕への前奏曲が演奏されなかった事ぐらいでしょう。この映像ではシモンボリヴァルも健闘はしていますが、やはりベルリンフィルの演奏とは差があります。ドゥダメルはベルリンフィルでワーグナーを響かせたかったのではないでしょうか。映像を見ると納得のいく演奏で、そこここで笑顔がこぼれているのが分ります。

 アンコールで演奏された「トリスタンとイゾルデ」の「愛の死」は静かな演奏で始まりますが、ゾクゾクするものを感じました。そして、最後のローエングリンの「第三幕前奏曲」は華やかな曲で締めくくると言う切れ味鋭い演奏でした。それだけ充実した演奏だったのでしょう。最後の最後はお約束、ワルトビューネはこれと決まっているというパウル・リンケ作曲の「ベルリンの風」では指揮のドゥダメルが、この日のコンマス ダニエル・シュタブラーヴァに変わってヴァイオリンを受け取るとコンマス席に座ってそのヴァイオリンを弾きました。となりに座っていた樫本大進ともに笑顔で演奏していました。ボウイングもしっかりと合っていた所を見ると仕組まれた演出である事か分りますが、お客さんにとっては予想外の出来事だったでしょう。前の方の観客は立ち上がって聴き入っていてまるでポップスのコンサートと見間違う盛り上がりでした。

 楽しいコンサートという意味では今年はベルリンフィルの方が良かったのではないでしょうか。