
名古屋音楽大学 成徳館12階ホール |
E.シャブリエ/スペイン狂詩曲
H.ベルリオーズ/劇的交響曲「ロメオとジュリエット」より マブ女王のスケルツォ
P.デュカス/魔法使いの弟子
L.v.ベートーヴェン/エグモント序曲 作品84
J.ブラームス/交響曲第3番ヘ長調 作品90
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指揮:後藤龍伸 演奏:名古屋音楽大学オーケストラ |
雨が心配されましたが、降られる事も無く参加する事が出来ました。ここは、交通の便が悪いので行きにくいのが難点ですが、コンサート自体は非常に充実していました。
このコンサートは新入生が入っての最初の演奏会という事で、毎年、大学のある成徳館12階ホールで開催されています。今回は指揮が名フィルのコンサートマスターでもある後藤龍伸氏という事で期待大でした。いつもテーマが決められているという事で、今回はへ長の音楽と言うこだわりでした。要するにへ長調、へ短調の曲を集めたというわけです。
改めて調べてみると交響曲には調性が書かれますが、その他の管弦楽曲には調性が書かれてい無いので殆ど気がつきません。確かにベートーヴェンの「エグモント」序曲はへ短調からヘ長調へ転調する典型の曲ですし、冒頭で演奏されたシャブリエの狂詩曲「スペイン」も調べるとヘ長調の曲なんですなぁ。
オーケストラは総勢で90名ほど、ただし、弦楽とそれ以外のバランスは悪く、第1ヴァイオリンで4.5プルト、チェロとコントラバスは各3名という編成でした。で、フルートは12名、クラリネットは7名、ホルン9名という大所帯です。高校までは吹奏楽という学生が大挙して入学したという所でしょうか。これは演奏曲目にも困りますわな。まあ、そんな事で近代フランスの作品が選ばれたのでしょう。
冒頭の狂詩曲「スペスン」は弦の刻むピッツィカートのリズムから始まり、続いてファゴットとトランペットによって主題が登場する作品ですが、最初は譜面を追っかけるのが精一杯という音をなぞるだけの響きでした。しかし、中盤以降は余裕も出て来たのか音楽が流れるようになり後藤氏の巧みなバトンさばきで音楽として成立しました。
2曲目は珍しい作品で、ベルリオーズの「ロメオとジュリエット」の第4部スケルッオです。ベルリオーズらしい大編成の曲で、この火のコンサートでもハープ2台が投入されるという演奏になっていました。合唱を伴う作品で滅多に演奏されませんが、これでも交響曲なんですなぁ。初めて聴きましたが美しい曲です。なんでもトスカニーニの十八番というこの曲、オーケストラがしごかれた様が目に浮かびます。
デュカスの「魔法使いの弟子」はへ短調の作品です。実演では初めて聴きますが、なかなかの難曲です。指揮者も交通整理が大変そうですが、吊り下げ式シンバルも登場する打楽器郡は充実していました。
後半はベートーヴェンとブラームスというドイツ音楽が並びました。もちろんへ調の作品です。ブラームスは低弦楽器が少ないので重厚な響きとまでは生きませんでしたが、第3楽章のチェロの旋律は教授陣が2名も参加しているので、さすがに安定した美しい響きで魅了されました。ヴァイオリン群はイマイチアンサンブルが整っていなくてちょっと残念でした。
アンコールは弦楽だけの演奏で、これもヘ調の曲なんですなぁ。アンコールのためにハーピストがふたたび登場です。最近のアンコール曲はしっとりした作品が多いです。しかし、こういう曲なら演奏会のイメージを台無しにする事無く、余韻を楽しむ事が出来ます。

この日も35℃に迫る猛暑日で、それに相応しいサマーコンサートを楽しむ事が出来ました。