ナゴヤ帝国の逆襲 |
発行 洋泉社

0歳からの郵貯ライフ、エビへの想い、伝説の美宝堂CM、特殊名古屋弁女優…。名古屋弁という独自言語を持ち、引き算知らずの文化を発展させ、お得と倹約を経済原則の柱とする独立エリア「ナゴヤ帝国」の正体をつきとめる!---データベース---
先日の「マンガ うんちく名古屋」を取り上げた時に、同時入手していたものです。漫画の方がさくっと読めるのでそちらを先に取り上げましたが、内容的にはこちらの方がずっと濃いものになっています。ただ、今となってはもう随分昔に発行された本で、愛知万博があった年に発売されています。ということで、内容的にはちょっと古いのですが、著者のペリー荻野さんは愛知県人で、6歳から30歳までは名古屋は大須に住んでいたということもあってバリバリのナゴヤ人でもあるのです。
大学在学中より地元のラジオのパーソナリティ兼放送作家として活躍していました。個人的にも彼女がプロデュースして時代劇主題歌を集めた「ちょんまげ天国」シリーズ3部作は愛聴しています。現在でも数々の文芸誌にエッセイを寄せていて時代劇のうんちくを披露しています。その彼女が、まったくの畑違いのナゴヤものの本を書いていたとは知りませんでした。
目次には過激な言葉が並びます。名古屋弁という独自言語を持ち、引き算知らずの文化を発展させ、お得と倹約を経済原則の柱とする独立エリア―ナゴヤ帝国。その影の支配者は「おばちゃん」たちだった、という関西のおばちゃんとはまた違うナゴヤのおばちゃんが冒頭で暴露されます。そして、完全無欠の喫茶店情報/0歳からの貯金ライフ/エビへの想い/お蝶夫人と名古屋嬢/天むすが全国制覇を果たしたワケ/地底人帝国へようこそ/値切れ、値切れば、値切るときなどなど、よくもまあ、こんなにネタを集めたものだと思ってしまいますが、それが全部自分の体験に当てはまるのでびっくりしてしまいます。
ケッタという言葉はどうも全国区でないことはこの本で知りました。ケッタとは自転車のことで、東京ではチャリンコというようですが、個人的にはケッタです。色々面白い項目があるんですが、「0歳からの郵貯ライフ」では、「お年玉は家で中身を確かめると、親に没収されて郵貯に入金が当たり前」という、ペリーさんの実体験が紹介されています。実際小生もそうでした。名古屋の「堅実さ」を象徴するようなエピソードですね。そして、地底人定国へようこそ、ではまさにナゴヤの繁華街は地底王国であることを実感します。小生など名古屋駅に出れば、直ぐに地下に潜ります。名鉄、近鉄は地下から乗りますし、名鉄百貨店、近鉄百貨店、メルサ、豊田ビル(今のミッドランドスクエア)、中経ビルなどは全部地下で繋がっていましたから地上を歩くことはありませんでした。そう、JRは地上が駅でしたから利用しませんでした。栄も一緒で、地下で移動出来るオリエンタル中村(現名古屋三越)、丸栄、中日ビル、栄メルサ、栄町ビルも東急ハンズが活動のテリトリーで、地下で繋がっていなかった松坂屋は小生の活動の範囲外でした。この本によると、名古屋駅地下街は1957年のオープンということで、大規模な地下街としては日本で一番歴史があるようです。なにしろ、「もぐらのちかちゃん」というイメージソングまであるほどですからね。そして、一番複雑怪奇なのも名古屋の地下街です。
「個性的発明王国」では、名古屋人が「これは名古屋で発明されたものだで」と自慢する品々を紹介。例えば、インク付印鑑の代名詞「シャチハタ」や、本格的缶コーヒーを世界で初めて販売した「ポッカコーポレーション」も名古屋の企業。今では当たり前になった「ひとつの販売機で温かいものと冷たいものが買える」自販機を開発したのもポッカなんだそうです。一台で二役、お得が大好きな名古屋人気質だからこそ、スガキヤのラーメンフォークも誕生したのでしょう。
この本を読んでいると自分が典型的なナゴヤ人であることが思い知らされます。(^▽^
