第50回「日春展」 | geezenstacの森

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第50回「日春展」

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 今回の「日春展」は、HPで確認すると、昨今の日展をめぐる改革に絡んで、「日春展」は現在の形での開催は最後という事になるようです。この展覧会には名古屋展の最終日前日に鑑賞して来ましたが、何となく元気のない展覧会の雰囲気が漂っていました。当日は成田環氏のギャラリートークもあったのですが、その席で、松坂屋での開催は今回限りという話もありました。一度解体して再出発という事になるのでしょうかね。そんな事で、リアルタイムで取り上げるのは止めました。

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  「白日夢」 吉岡順一

  この作品は日春展第50回記念大賞を受賞した作品です。ほとんどスケッチ画のような筆のタッチで描かれたファンタジックな作品です。モノトーンの色彩が題材に合致しているかどうかは別として、個人的にはチョイスした作品には含まれていませんでした。選出に当っては、「現在の時代を反映した作品を、未熟でも、新しさのあるものを選んでいった。」ということですが、結果を見れば?マークが付きます。今回の入選作は6点ですが、抽象画3点その他3点と何だか均衡をとったような選出です。その中でも愛知県出身者の作品が3点も選ばれているのはうれしい事ですが、レベル的にはどんなものなのでしょうか。
 
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  「烔烔(とうとう)」 原田玲

 3匹の猫が描かれています。そのうち2匹の猫の眼光は鋭い物があります。ただし、小生にはその2匹の猫を隔てるような白い猫の存在の方が気になります。ただし。この猫だけは後ろを向いているんですなぁ。抽象的ですが、世界の対立に手ワ差し伸べるホワイトな逸のような存在ですが、なんか消極的な印象を受けてしまいます。この作品が゜外務大臣賞」です。

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  「薔薇園」 高木かづ

 この絵の前でははたと悩んでしまいました。薔薇園というと時期的には色とりどりの薔薇が咲き誇っている物ですが、この画面からはそういう華やかな美しさという物が感じられません。まるで死にかけた薔薇園のような印象です。

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   「追憶」 谷野剛史

 これもまた抽象画です。静物画の括りになるのでしょうがポットのような物しかはっきりとは描かれていません。その他は遺跡の発掘品のようにも見えますが、小生には左上の格子窓が気にかかります。空間的に幽閉された追憶なのでしょうか。

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    「日々」 三上友子

 ありふれた日常を切り取った絵なのでしょうが、この絵からはじめじめした梅雨の日の印象しか感じません。集合住宅のベランダを描いているようですが、取り込み忘れた洗濯物が残っている風景は、モノトーン調の色彩の中では却って生活感が漂って来ません。

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    「天岩戸」 行近壯之助

 古代の日本神話に基づく「天岩戸」でしょうか。却ってこういう題材の方が抽象画には向いているのかもしれません。

 以上の6点が入選作という事ですが、どうも、これと言っては気賀感じられる斬新な話題性を感じ取る事は出来ませんでした。まあ、そういう印象は春の院展でもそうですが、雅号が50号までのサイズに限られているせいもあるのかも知れません。どう考えても、秋の芸術のシーズンまでの穴埋めの展覧会という印象です。まあ、ここらで初心に立ち返って出直すのにいい機会かもしれません。

 今回の日春展で小生が注目し、メモした作品は以下の物があります。ただし、画像は公開されていませんのでリストだけにとどめます。

「雨のテラス」 鈴木晴美
「脱皮するとき」 磯部絢子
「さくらさく」 伊藤郁子
「七」 森 恵
「きらめく夜」 村井正之
「幻想安曇野」 岸野圭作
「月」 沼本三郎
「クルナ月」 大田末也
「の下」 岩田荘平
そして伯父の
「夕陽」 鈴木彰

 ぐらいでしょうか。

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