カル・ジェィダー
「A Fuego Vivo」
曲目/
1.Serenata Written-By – Leroy Anderson 6:56
2.Poncho Con Dos Amigos 7:05
3.Mindanao Written-By – Cal Tjader 7:05
4.Tesoro Written-By – Gary Fostery 5:38
5.Santo Domingo Written-By – Mark Levine 3:28
6.Naima Written-By – John Coltrane 5:53
7.The Continental Written-By – Con Conrad, Herb Magidson 6:13
パーソネル
Vibraphone – Cal Tjader
Bass – Rob Fisher (2)
Congas – Poncho Sanchez
Drums – Vince Lateano
Flute, Soprano Saxophone, Alto Saxophone – Gary Foster
Timbales – Ramon Banda
Piano, Electric Piano [Fender Rhodes] – Mark Levine
Vibraphone – Cal Tjader
Bass – Rob Fisher (2)
Congas – Poncho Sanchez
Drums – Vince Lateano
Flute, Soprano Saxophone, Alto Saxophone – Gary Foster
Timbales – Ramon Banda
Piano, Electric Piano [Fender Rhodes] – Mark Levine
Producer – Carl E. Jefferson
Engineer – Phil Edwards
Engineer – Phil Edwards
録音/1981/08 Live at The Great American Music Hall, San Francisco, CA
Concord Jazz Picante CCD 4176

ヴィブラフォン奏者の中でミルト・ジャクソンと並んで好きなのが、このカル・ジェイダーです。元々、彼を知るきっかけになったのは、ラヴェルの「ボレロ」を演奏するアルバムをバーゲンセールの時に見つけたのが始まりです。小生の音楽のルーツには、歴としてクラシックがあり、そこから派生してジャズなり、プップスに広がっていっています。ジャズに関していえば、最初にMJQがあり、マイルス・デイヴィスがあり、ボブ・ジェームス、ヒューバート・ローズ、ドン・セベスキーといったCTI系のアーティストに広がっていきました。そうした中で見つけたのがカル・ジェイダーでした。ボレロが収録されていたのは、「Last Bolero In Berkley」というアルバムです。

このアルバムのB面の一曲目に「Bolero」という文字を見つけて、思わず抱え込んだのを覚えています。しかし、これを購入した当時はさして気に入っていたとはいえません。肝心のボレロは3分少々の演奏ではじめからボレロのメロディを一本調子で演奏しているだけで深みを感じなかったのですね。でも、その他の楽曲では中々洒落た演奏をしていました。よくよく聴いてみると、、Jackson5 の「Never Can Say Goodbye」「I want You Back」、それからロバータ・フラック&ダニー・ハザウェイで有名な「WHERE IS THE LOVE」、James Taylor「Don't Let Be Lonely Tonight」など名曲のカヴァーがめじろおしです。そんなことで、後にはボレロよりもそちらの曲を良く聴くようになりました。そんなファンキーな演奏の「I want You Back」を聴いてみましょう。
Mindanao |
サンフランシスコ出身の彼は、クールなウェストコースト・ジャズにラテンのリズムを融合させ、ジャズ・マニアのみならず大衆へもアピールすることに成功しました。デイヴ・ブルーベック・バンドのドラム/ヴァイブ奏者としてキャリアをスタートさせ、ニューヨーク滞在中にはジョージ・シアリングとも活動を共にしています。ラテン・クラブへと足を運ぶようになったのも、ちょうどその頃のことです。彼はサンフランシスコで行われたティト・プエンテのショウに参加し、観客のポジティヴな反応に感銘を受け、その後、数週間にわたってスタンディング・オンリーのラフなクラブでの演奏を続けることになります。また、ファンタジー・レーベルからリリースされたマンボのアルバムは、彼がそれまでに制作したどんなストレート・ジャズの作品よりも好セールスを記録し、それは自身が結成したカルテットや、スタン・ゲッツとの作品を凌ぐ結果となりました。そして、ソロ・プレイヤーとしては、ミルト・ジャクソンなどを思い起こさせるほどの腕前であり、60年代中期には、より実験的な方向へと進んでいきます。小編成のグループからビッグ・バンド・サウンド、そしてエイジアン・スタイルまでさまざまな音を探究していきます。クリード・テイラーと組んで録音した「ソウル・ソース」は、そうした時期の作品であり、一般市場でも成功を収めた数少ないジャズ・アルバムです。その彼が死の前年の81年に発表したアルバムがこの「A Fuego Vivo」です。82年、カル・ジェイダーはマニラでのコンサートの真っ最中に心臓発作で亡くなってしまいます。
のっけから南国を思わせる心地良いメロウ・ラテンジャズ「Serenata」に始まり、ドラムとパーカッションのソロが熱い「Poncho Con Dos Amigos」、グルーヴィーでムード満点なダンスチューンの「Mindanao」とつづきます。まずは、「Mindanao」を聴いてみましょう。
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日本では、イマイチメジャーな存在ではありませんでしたが、熱狂的なファンはいました。ま、小生はそうではありませんでしたけれどもね。このアルバムはライブですが、彼の素晴らしいブレーはやはりライブが一番でしょう。この熱い演奏はミルト・ジャクソンのブルース基調のヴァイブとは、一味違う魅力があります。そういう映像が残っていますから、一曲聴いてみましょう。曲は、「guachi guara」です。
さて、このアルバムでも、そのライブの熱い息吹きが伝わって来ます。ジェイダーは、ジョン・コルトレーンの「ナイーマ」のボレロ・バージョンで、モダンジャズ領域にここの1つの標準を示していますし、「サンタ・ドミンゴ」では、爽快なサンバ調のフォスターのフルートの即興演奏が冴えています。まあ、総じて上質なラテンジャズを堪能出来るアルバムです。晩年の一つの頂点ともなっている彼の最良のアルバムでしょう。最後に取り上げるのはコルトレーンの「ナイーマ」です。ここでは、同じフォスターのアルト・サックスが冴えていますし、フュージョンと呼んでも良い領域で活躍していたジェイダーの本領を垣間見る事が出来ます。