クリスマス協奏曲集~クリスマスのためのバロック作品集 | geezenstacの森

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クリスマス協奏曲集~クリスマスのためのバロック作品集

曲目
合奏協奏曲第8番ト短調op.6-8「降誕の夜のためにつくられた」(コレッリ)
1 Vivace 01:30
2 Allegro 02:16
3 Adagio-Allegro-Adagio 02:39
4 Vivace 01:00
5 Allegro 02:02
6 Pastorale 03:13
協奏曲ホ長調RV270「安らぎ」(ヴィヴァルディ)
7 Allegro 03:48
8 Adagio 01:18
9 Allegro 02:33
10 Grave-Vivace: 02:15
同ト短調op.8-6「聖なる降誕節のためのパストラーレを伴う合奏協奏曲集」より(トレルリ)
11 Largo 01:56
12 Vivace 01:32
ソナタop.13-4~パストラーレ イ長調(ヴィヴァルディ)
13 Pastorale in A major dalla Sonata op.13 No.4, RV 59 02:39
シンフォニア・パストラーレ ト長調(アントナッチ)
14 Allegro 01:20
15 Pastorale: Andante - Canzona:Largo-Pastorale: 03:49
16 Andante: 00:59
パストラール協奏曲ヘ長調(ペーツ)
Concerto Pastorale in F major for two Recorders, two Violins, Viola and B.c.
17 Pastorale:Adagio: 02:32
18 Aria:Presto01:22
19 Aria:Grave 02:28
20 Aria Pastorale:Presto-Adagi 02:11
21 Minuet-Trio-Minue 02:37
22 Passacaglia 05:47
23 Aria 01:24
合奏協奏曲ハ長調op.3-12「降誕節のためのパストラーレを伴う合奏協奏曲集」より(マンフレディーニ)
24 Largo 03:24
25 Largo 01:54
26 Allegro 02:10

指揮/ジョヴァンニ・アントニーニ
演奏/イル・ジャルディーノ・アルモニコ

録音/1991/02月 ルガーノ、スタジオRTSI
Teldec / Das Alte Werk 2292 46013 2

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 クリスマスも近いということで、クリスマス関係のアルバムを取り上げることにしました。例年派手なクリスマス商戦ですが今年はちょっとおとなしめということで、あまり盛り上がっていない様な気がします。そんなことで、今年は渋めにバロックで攻めることにしました。とは言っても、取り上げるのは過激な演奏でおなじみのイタリア人独特のノリの良さで、元気の良い演奏を繰り広げるイル・ジャルディーノ・アルモニコの代表作です。有名なコレルリ、マンフレディーニの所謂「クリスマス協奏曲」に加えヴィヴァルディ、トレッリ、アントナッチ、ペーツらのパストラーレ風の作品を収録しています。クリスマス協奏曲とは、聖書に因むパストラーレ楽章、あるいはそれに相当する楽章を持つバロック協奏曲の通称で、ほとんどがイタリア産になります。

 イル・ジャルディーノ・アルモニコというと激しいアタックを伴ったアグレッシブな側面ばかりが強調されますが、このCDでの聴き所は「降誕の夜のためにつくられた」という副題を持つコレッリの終楽章です。フランスのハーディ・ガーディかと錯覚してしまうようなヴァイオリンの音色は、ベツレヘムの厩で生まれたというキリスト生誕の物語を思い起こさせ、聴き手を素朴なクリスマスの世界へと誘ってくれます。コレルリの協奏曲は冒頭からして過激です。 「バロック音楽はおとなしい」というイメージを一気に払拭する演奏です。 タイコばりにバチバチ弾くリュートと、 アクセントを強調したチェロによる通奏低音も含め、一聴の価値ありです。


ハーディ・ガーディ(ハーディー・ガーディー、英語: hurdy gurdy より)は、弦楽器の一種で、張られた弦の下を通るロジンを塗った木製のホイール(回転板)が弦を擦ることで発音する。ホイールはヴァイオリンの弓と同じような機能を果たしているが、クランク(ハンドル)で操作されており、従ってハーディ・ガーディは一種の機械仕掛けのバイオリンということができる。胴はギターやリュートのような形をしたものが多い。旋律は鍵盤を使って演奏されるが、この鍵盤は「タンジェント」と呼ばれる小さな楔形(通常は木製)を押し下げて弦に押し付けることでピッチを調整している。弦の振動は響板を通じて拡大される。

ほとんどのハーディ・ガーディには、旋律弦の他に複数の「ドローン弦」があり、旋律と同時に常に持続音が響いている。このため、同じようにドローン音を持つバグパイプと似たところがあり、フランスの民族音楽や、現代のハンガリー音楽などでは、バグパイプと同時に、あるいはバグパイプの代わりとしてしばしば使われている。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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 《安らぎ》は副題に「聖なる降誕のために」とあるように、クリスマス協奏曲です。この楽譜にはすべての弦楽器に弱音器をつけて演奏するように指示されているとのことで、この当時に弱音器があったんだ?と感心してしまいます。そういえば少し弱めの柔らかい音色だ。降誕の夜に聴くにはふさわしい、弦のキンキンした音を和らげた優しい音です。メロディーもとても美しく優しく穏やかです。コレルリとは一転してこの音色ですからびっくりしてしまいます。しかし、所々で撥ねるようなアクセントはやはり、イル・ジャルディーノ・アルモニコ独自の解釈です。

 ところで、このアルバムにはヴィヴァルディの「ソナタop.13-4~パストラーレ イ長調むが収録されています。この作品は通称「忠実な羊飼い」と呼ばれています。以前はヴィヴァルディの作品といわれていましたが、現在では「シェドヴィル」の作品だということが分かっています。実はこの作品は初版では先ほど挙げた、ハーディ・ガーディのための作品として出版されていました。今ではリコーダー用の作品として広く流布しています。ここでは、そのハーディ・ガーディを模した響きをヴァイオリンが奏でています。これもちょっとした聴きものでしょう。


 最後に取り上げるのはマンフレディーニの協奏曲です。マンフレディーニはバッハと同時期に活躍したイタリアの作曲家ですが、それほど知られてはいません。でも、このクリスマス協奏曲はちょっとムーディなメロディで、一度聴いたら忘れられないメロディではないでしょうか。ここでのイル・ジャルディーノ・アルモニコはコレルリよりはずっとおとなしい演奏で、すこぶるアットホームな演奏になっています。この地味な雰囲気が窓の外にしんしんと降り積もる雪景色を思い出させてくれます。アルパム最後を飾る曲ですが、いい雰囲気で締めくくってくれています。ここでは第1楽章だけをアップしましたが、是非とも全曲聴いてみて下さい。

メリー・クリスマス!!