講談社 ステレオ世界名曲全集 | geezenstacの森

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講談社 ステレオ世界名曲全集

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 最近全巻ではありませんが、1970年に発売された「 講談社 ステレオ世界名曲全集」を捕獲しました。上の写真がそれです。このシリーズは足掛け3年かけて30センチステレオLP2枚組全18巻が発売されています。講談社ですから音源はグループ会社のキングレコードが作成しています。そして、音源は当時のロンドンレーベル、すなわちデッカの音源を使っています。この頃はこういう全集物のブームでもあったようで、河出書房からは30巻ものの「世界大音楽全集」が発売されていました。こちらはビクター、新世界レーベルが主な音源で音質的にはロンドンと比べるとちょいと見劣りがした記憶があります。こちらも30センチLP2枚組の内容で一部所有していますが、新世界音源はロシアモノに関しては本場物の演奏が収録されていて、中々聴きごたえがありました。他には平凡社から、日本コロムビアの音源を使って「ファブリ世界名曲集」という60巻もののシリーズでした。ただ、レコードのサイズは25センチLPと中途半端で収録時間が短いのが玉にきずでした。そして、演奏者も後の本家コロムビアの「ダイヤモンド1000シリーズ」と共通する内容でいささかB急的なものです。面白いのは既にこの時、アルフレード・ショルツなる幽霊指揮者が登場していることで、諸悪の根源はこの時始まっていました。まあ、コロムビアもCBSを失っていましたからこういうアーティストしかいなかったんでしょうなぁ。ちょっと遅れて1976年頃にはタイムライフが「Great Men of Music」というシリーズを4枚組の30センチLPで出すという本格的なものでした。音源はRCAが中心で当時提携していたエラートや独ハルモニア・ムンディなんかも含んでいました。他には集英社がソニーと組んで「集英社 名曲の森 世界音楽全集」というものを、小学館は東芝EMI音源で「小学館 世界の大音楽」を出していました。まあ、そんなことでこの手のものが大流行していたんですな。

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 そんな中での、この講談社のシリーズは中古でもあまり見かけたことがありませんでした。でも、当時は売れたようで、この企画の進行中に二匹目のどじょうを狙って「映画音楽名曲全集(7枚組)」と「ラテン音楽名曲全集(7枚組)」も発売されています。音源はキングですから映画音楽ものはサントラがかなり含まれています。それに、スタンリーブラックの演奏やマントヴァーニの演奏も収録されていて中々魅力的な内容です。どちらも12,000円のセットでした。ところで、捕獲品はほとんど聴いたことの無いような状態で、このセットには専用のビニールジャケットが付属しているのですが、そこには収録されず、紙のジャケットに収録されたままです。また、こういう全集物につきものの出版社の月報のようなものもそのままついています。「音楽の手帳」というものですが、懐かしい人の対談集なんかの読み物もあり中々興味をそそられます。

 今回捕獲はしませんでしたが、18巻の中にベートーヴェンは1と2があり、その2の方には第九が収録されているのですが、その演奏がアンセルメ/スイス・ロマンド管というのには思わずにやけてしまいました。当時のロンドンにはイッセルシュテットの第九とこのアンセルメのものしかなかったはずですからね。まさか、イッセルシュテットを投入するわけにはいかなかったのでしょう。でも、田園はクライバー/アムステルダム・コンセルトヘボウのものが、運命はショルティ/ウィーンフィルの演奏が投入されています。

 レコード時代ならではのこのシリーズ、シベリウス/グリーグ/ラフマニノフの巻にはエリク・トゥクセン、トーマス・イェンセン/デンマーク放送交響楽団のシベリウスが収録されています。中身を確認していて初めて知った指揮者です。調べてみたら、昨年オーストラリア・エロクエンスシリーズでモノラル時代の彼らの演奏が復刻されていることが分かりました。でも、このLPではステレオでの「フィンランディア」や「カレリア組曲」が収録されています。こちらの方は多分CD化されていないと思われますので貴重な捕獲品となりました。他にも、バルトーク/コダーイ/ガーシュイン編にはスタンリー・ブラックのピアノ、指揮による「ラプソディ・イン・ブルー」やドヴォルザーク/スメタナ編にはマントヴァーニの演奏でレハールの「メリー・ウィドウ・ワルツ」、ヴェルディ/プッチーニ編にはネッロ・サンティ/パリ音楽院管弦楽団のヴォルフ・フェラーリの「マドンナの宝石」間奏曲なんていう掘り出し物の演奏も含まれています。今回は18巻中半分の9巻を捕獲しましたが、暫くはこれで楽しめそうです。