フィードラー/ニール・ダイヤモンド・ソングブック | geezenstacの森

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ARTHUR FIEDLER AND THE BOSTON POPS PLAY 
THE NEIL DIAMOND SONGBOOK

曲目/
1.Crunchy Granola Suite* 4:20
2.Dear Father 3:34
3.Skybird 2:12
4.Cracklin' Rosie 2:45
5.Prologue (Hot August night) / Child song 2:23
6.Play me* 4:55
7.Holly Holy 4:25
8.Morningside Interlude / Brooklyn Roads 3:53
9.Song Sung Blue** 3:31

 

指揮/アーサー・フィードラー
演奏/ボストン・ポップス管弦楽団
編曲/リー・ホルドリッジ、ロバート・ボックホルト*、リチャード・ヘイマン**

 

録音/1975
P:トーマス・モーレイ
E:ギュンター・ヘルマンス

 

Polydor USA PD 6053
  
イメージ 1

 

 映画「カモメのジョナサン」が公開されたのは1973年でした。ニール・ダイヤモンドが映画音楽を担当したというので当時話題になりました。映画はカモメしか登場しないので全くヒットしませんでしたが音楽は当時のラジオからはひっきりなしに流れていたのを覚えています。60年代後半から70年代前半は多分ニール・ダイヤモンドの全盛期だったでしょう。そんな彼のヒット曲を網羅した素敵なアルバムがこの一枚として登場したのは1975年です。「スィート・キャロライン」なんてヒット曲が無く、9曲しか収録されていないのがちょいと不満でしたがまさにツボにはまるレコードだったので見つけた時は即買いしたのを覚えています。思い出深いのは、このとき初めてサンフランシスコのケーブルカーに乗ってウォーターフロントの「タワーレコード」まで買いにいった事です。そんな事で、ジャケットには$3.99のシールが今でも残っています。

 

 このアルバムの特徴は編曲の大半をリー・ホルドリッジが担当している事です。彼は「カモメのジョナサン」のサントラでも編曲を担当していて、そのアレンジがここでも生きています。曲目中2、3、7がその「カモメのジョナサン」の挿入曲になっています。トップを飾るのは「Crunchy Granola Suite(燃える珊瑚礁)」です。この曲は1971年に発表した『Stones』に収録されており、軽快なリズムに乗った古き良き時代のポップ・ソングに仕上がっています。彼の作る良質な楽曲は様々なアーティストによってカバーされていますが、この曲もムード・ミュージックの巨匠であるパーシー・フェイスによってカバーされています。小生も、その演奏でこの曲を知った口です。アップテンポの曲をシンフォニックなアレンジで、見事に演奏しています。日本のポップオーケストラだと、こういう演奏はドラムスを前面に出しすぎてどうも座り心地が悪いのですが、さすがはボックホルトのアレンジとボストンポップスの演奏、すばらしいバランスで軽快に歌い上げてくれます。

 

 

 「Dear Father」 、「Skybird」はリー・ホルドリッジですからサントラ並みの美しいストリングスを生かしたアレンジを期待してしまいますが、そこはボストン・ポップスという事でちょいとひとアレンジ加えています。ただ「Skybird」の方はエレキギターを加えてしまってやや野暮ったいアレンジになってしまっているのは残念です。まあ、サントラがあまりにもすばらしいのでそのイメージで聴くとややがっかりしてしまうという所でしょうか。それよりも、「Prologue (Hot August night) / Child song」や「Morningside Interlude / Brooklyn Roads」のほうが、シットリトしたアレンジでこちらの方がリー・ホルドリッジの本来の力が発揮されている様なストリングスを主体にしたシットリトしたアレンジで楽しめます。

 

 

 最後は大御所、リチャード・ヘイマンのアレンジによる「Song Sung Blue」です。最初はハープの響きでソフトタッチに始まり、やがてフリューゲル・ホルンがちょっとけだるい響きで主メロディを奏でます。続いてピアノが加わり、やがて知らないうちにフル・オーケストラに盛り上がっていきます。こういうアレンジを聴いているとやはり、ヘイマンは格が違うなぁと感じてしまいます。リズムセクションもドラムスだけでなく、ティンパニまで配置したフル・オーケストラを知り尽くしたアレンジでポップス・オーケストラの響きの醍醐味を満喫する事が出来ます。そういう曲を最後に配したこのアルバム、妙に納得してしまいます。