もっとおもしろくても理科 | geezenstacの森

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もっとおもしろくても理科

著者 清水義範
絵 西原理恵子
発行 講談社

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 シミズ教授とサイバラ画伯が文章とマンガで繰り広げる大バトル。進化論、ビッグバン説、遺伝子とDNA、男と女の違いなどなど、笑いながら楽しく、“お勉強”ができてしまう!知ってるようで説明できない苦手な理科もダイジョウブのおもしろ痛快エッセイ。不朽の名作『おもしろくても理科』がパワーアップ!---データベース---

清水教授のお言葉---
 や、だからね、だから私の言いたいことはさ、理科なの。ね、理科。だから私としては、理科をもっと大切にしようと、お父さんお母さんも大切だけど理科も大切なんだぞーと、言いたいわけ。
 や違うな、科学じゃないの。科学というような家賃の高そうなもんじゃなくて、理科でいいの。小学校でやったあの理科。さあ今日は太陽の光を鏡で反射させてみようね、わー光ってまっすぐ進むんだー、の理科。そういう理科をね、みんなに面白く伝えていきたいと、ね、そう思ってるわけよ。

 とうことで理科なんですが、いきなり「おもしろくても理科」を通り越してその続編の「もっとおもしろくて理科」から入ってしまいました。まあ、こっちの本しか見つからなかったということもあるのですが、どうも第1巻が入門編なら続編は応用編的な内容なので、これくらいのレベルならスイスイ読めるのではないかとタカをくくったわけです。で、見事撃沈しました。

 さすが腐っても「理科」です。学生時代に苦手科目としていただけあって脳みそが付いていけないレベルしか記憶が残っていないんです。ははは。続編には次の10のテーマが用意されていました。

進化してますか  
生物と非生物のわかれ目  
動物それとも植物  
男と女の分岐点  
ロはロケットのロ  
理科室からアトムへ  
ビッグバンを疑う(1)  
ビッグバンを疑う(2)  
カエルの子はなぜカエル  
遺伝子とDNAと生物たち

 この本が書かれたのは1995年7月号から1996年7月号で丁度映画「ジュラシックパーク」が大ヒットした後なんですね。ということで最初は恐竜の話しからスタートです。そして、話しは遺伝子に及んでいきます。一応清水先生は学習塾で社会と理科を教えていたこともあってこういうことになったのだと思いますが、話しは中学生レベルなんでしょうが、もう40年以上も前のことなので思い出しながらついていくのがやっとです。それにしても、生物と非生物の違いというのは境界が曖昧なんですね。読んでいてそれを実感しました。昔はここまで深く考えなかったんですけどね。学問というのは40年の月日の中でどんどんと進んでいるということなんでしょうな。この本では食べられる土ということで「テングノムギメシ」というものが登場します。何となく昔テレビで見た記憶があります。まあ、これは本当の土ではなく藍藻類というれっきとした植物なんだそうですが、そういうものを取り上げてこのテーマの本質に迫っています。

 遺伝子については、理科の授業で興味深く習った記憶はあります。XYとXXの関係ですよ。染色体ですな。ところが簡単ではないこの染色体と遺伝情報の関係。男か女かという性質はもう母親の胎内にいる時に決まってしまっているという。そして、聖書ではアダムからイブが作られたことになっているのが実は生物学的にはイブからアダムが作られているという。それが証拠に、たとえばクリトリスかが陰茎になり、大陰唇が袋とじなって陰嚢になっているとのことですな。納得です。

 こういうようなことが、清水博士自身が本人も勉強しながら書いているエッセイだから、一緒に「へ~ぇ。そうなんだ。」とユーモアにつつまれながら楽しくも深く学べるのであります。そして、ここにちょっと思考回路が尋常でないサイバラ画伯のもうさっぱり分からんというノリで、ナンセンス漫画を挿入し思考を撹乱させているのです。このわるのりのつっこみ、今回はやや空振りに終わっているようなところもありますが、それはそれで息抜きには丁度いい案配です。

 むかし、SFに凝っていたこともあり「宇宙の始まり」には非常に興味がありました。で、ここではそのテーマもちゃんと取り上げられています。時間と空間の関係、ビッグバンと相対性理論、宇宙の広さは150億光年とする根拠なんかが分かり易く書かれています。それでも、これを理解しようとすると生半可ではないことが分かります。小生もここでつまずきました。分かっているようで分からないのが宇宙という存在の不思議でしょう。そこは時間の概念がない世界のようでまるでメビウスの輪に入ったようで出口が見つかりません。結局清水博士も明快な方向性は見つけ出せずにこのテーマは終わっています。まあ、アバウトな小生の人生ににて宇宙の概念なんてこんなもんでしょう。

 中で語られる題材は結構広範囲で、遺伝、生物&非生物、男と女、ビックバンに及びます。雑学に入れるにはヘビーな内容のような気もしますが、定義や常識とされている部分の矛盾を正直に語られてておもしろくて考えさせられます。。…しかし、これが「理科?」なんだよなぁ。作者はここで取り上げている話題は理科のごくごく初歩」って言っていますが、「理科」はやっぱり奥が深い。生半可な気持ちではやっぱり文系の人間には理解しがたい部分があるよなあ。

 でも興味津々の中学生が読んだら引き込まれる様な気がします。若い頭にはこれくらいのカルチャーショックが丁度いいのでは?そして、ここで湧いた疑問から将来の科学者ね本当の博士が登場するのではないでしょうかね。こういう軽い感じで書かれたエッセイ本が、授業の副読書ならキット授業がおもしろくなるんじゃないでしょうかね。娘に読ませてみようかな?