ハイドンの協奏曲集 | geezenstacの森

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ハイドンの協奏曲集

曲目/ハイドン
Trumpet Concerto In E Flat, H 7E
1. Allegro 6:13
2. Andante 3:49
3. Finale: Allegro 4:33
Haydn: Horn Concerto In D, H 7b/3*
4. Allegro 5:34
5. Adagio 6:55
6. Allegro 3:48
Haydn: Horn Concerto #4 In D, H 7D/4 *
7. Allegro Moderato 6:00
8. Adagio 5:35
9. Allegro 4:26
Haydn: Cello Concerto #1 In C, H 7B/1**
10. Moderato 9:08
11. Adagio 7:35
12. Allegro Molto 6:43


 

トランペット/ホーカン・ハーデンベルガー
ホルン/ヘルマン・バウマン
チェロ/ハインリッヒ・シフ
指揮/ネヴィル・マリナー、アイオナ・ブラウン*
演奏/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

 

録音/1986、1987**,1988* 、 ロンドン

 

PHILIPS  432060-2

 

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 フィリップスが一時期発売していたLASER LINE CLASSICSシリーズの中の一枚です。このシリーズ、ハイテクを喘鳴に押し出したシリーズで、音の良さが売り物でした。どちらかというとデモンストレーションの色合いが強く、解説なんかは一切無しのシリーズのラインナップだけを紹介したインナーが付いていました。それでも、内容は充実していたので見つけたら買い込んでいました。これは中でもハイドンの協奏曲ばかりを集めた一枚ということでなかなか魅力あるコンピュレーションになっています。

 

 ハイドンイヤーということでやっぱり今年はハイドンの作品を聴く機会が増えています。で、今日取り上げるのもそんな一枚です。交響曲や弦楽四重奏曲は膨大な作品が残されていますが協奏曲は数えるほどしかありません。あるにはあるのですが偽作が多くハイドンの真作とされているものが少ないのでするその中でもやっぱり一番身近かなのはトランペット協奏曲でしょう。まあ、モーツァルトがこの楽器の為の協奏曲を作曲しなかったということもあるのでしょうが古典派の作品ながら、一番頻繁に演奏される曲でしょうね。

 

 ところで、このそしとでトランペットを吹いているホーカン・ハーデンベルガーなる人物を小生は知りませんでした。早速ウィキペディアで検索してみます。以下のような説明がありました。
ホーカン・ヘルデンベルゲル(H??kan Hardenberger, 1961年 - )はスウェーデンのトランペット奏者。マルメ出身。

 8歳の時に父親から誕生日プレゼントとしてトランペットを贈られたのを機に、地元のボー・ニルソンについてトランペットの学習を開始。15歳でフンメルのトランペット協奏曲でデビューする。その後パリ国立音楽院に入学し、ピエール・ティボーに師事。さらにロサンジェルスでトマス・スティーヴンスらからも師事を受ける。

 パリ、ロンドン、ジュネーヴ、ミュンヘンなどの国際音楽コンクールを制覇し、早くから「地上で最高のトランペット奏者」(タイムズ紙)や「モーリス・アンドレ以来の大器」との呼び声が高い。特にピッコロトランペットによる快活な演奏に定評があり、大変高い音であっても溌剌として生き生きとしている。

 バロック音楽や古典派音楽のレパートリーによってヴィルトゥオーゾとしての名声を速やかに確立するとともに、現代音楽の作曲家(ハリソン・バートウィッスル、ハンス・ウェルナー・ヘンツェ、ロルフ・マーティンソン、マーク=アンソニー・タネジ、ハインツ・カール・グルーバー、アルヴォ・ペルトら)に多くの新作を依嘱してきた。ソリストとして世界各地で演奏活動に取り組んでおり、1989年と1998年に来日した。

 

 でも、この演奏を聴いた限りではとても渋い演奏です。アンドレの明るい音色を聴いたあとではどう見ても不理です。どちらかというとややくすんだ音色でこの曲を演奏しています。ただ、テクニック的には申し分無く、こうして聴いてみると様々な表現方法があるものだと改めて感心してしまいます。それにしても、ここでバックを務めているマリナー/アカデミーはいい仕事をしています。はやりの小学的アプローチではありませんがマリナーも自分のスタイルの集大成のような取り組みで演奏している様な気がします。

 

 ホルン協奏曲は名手ヘルマン・バウマンによる演奏です。デビュー時はナチュラル・ホルンをいとも容易く吹いてしまうそのテクニックでびっくりさせられたものです。ここでもハイドンの2曲のホルン協奏曲を実に楽しく、軽々と吹き切っています。ホルンというともっぱらモーツァルトの作品ばかりが有名で、その他の作曲家の作品がすぐには思い浮かばないほどですが、このバウマンの演奏で聴くとこのハイドンの作品が魅力的な作品に聴こえるから不思議です。茶目っ気もたっぷりで、カデンツァはバウマンの自作を披露していますが、これがまた、トランペット協奏曲の主題をひとくさり演奏したりなんかしちゃっています。ここではバックがアイオナ・ブラウン/アカデミーということで、マリナーとはちょっと違ったサポートになっています。それは通奏低音にチェンバロを使用し雰囲気的にはよりバロックに近い表現です。

 

 最後はまたマリナー/アカデミーのサポートでハインリッヒ・シフがチェロ協奏曲第1番を演奏しています。ここではシフのソロが絶妙なバランスでスケールの大きな演奏を聴かせてくれます。この曲は以前堤 剛の演奏を取り上げていますが、躍動感とテクニックでは遥かに上をいっています。チェロの登場する第1音からしてきらっと輝くものがあり、悠然と音楽が流れ始めます。このハイドンの作品もチェロ協奏曲の名曲の一つだということを再認識させられます。

 

 最近フィリップスはデッカの中に吸収されてしまって新録音もなくなってしまいましたが、小生はCD時代になってフィリップスの録音のよさを再認識しています。こういう録音も既に埋もれてしまってカタログからは姿を消してしまっています。中古で見つけたら即ゲットのシリーズですね。